10月。 秋口、と呼ばれるこの季節は、私にとって、何ら不穏のない時期だった。 かぼちゃ味のスイーツを買ってみるハロウィン ロンT1枚で出かける休日 読書の秋を言い訳に、ついつい多めに買う書籍 ちょっとだけ奮発する、夫の誕生日 ささやかながらに心地よい温度を守っていた私の10月は、産後、まったく知らなかった暗い顔を、新米母に突き付ける。 旧暦では神無月。 まさに神も仏もない、苦しく長い闘いだった。 「保活」シーズンの、幕開けである。 重要で切実で祈りのつまった、ただの紙切れ急に冷え込んできた11月の上旬。 自宅からバスで20分ほどの区役所にやってきた。 両腕の間には、抱っこヒモの中におさまる、やっと生後3カ月になった娘。 まだクビは座っておらず、インサートがあるとはいえ、頼りないフニャフニャの体に、全神経をとがらせる。 そんな赤ん坊を支える左手には、茶色い封筒が握られている。 中身は来年度の