南部地方でよく見られる母屋と馬屋が一つとなった曲り屋で、人と馬が抱き合うようにして暮らしている一家でした。寝藁をおくるみに、馬の吐息を子守歌代わりに聞いて育った澄子は、自然と「馬っこ」大好きな少女になりました。 妹スケによると、彼女はもう3歳の時には馬に乗っていたといいます。 そんな幼い子がどうやっていたかというと、澄子が「乗るよ」と声をかけると、馬の方から首を下げてきたのだそうです。小さな澄子は、鼻面からヨイショヨイショとよじ登り、それから、背中の方へ器用に「チャッ」と回るのでした。 大人が5人かかっても馴らせない暴れ馬も、澄子が乗ると嘘のようにおとなしくなりました。 「すみは馬の生まれ変わりだ、『馬がすみかすみが馬か』って言われてたんでがんす。まるで馬っこと話ができるみてえでした」 「年頃になって結婚」で自身の才能を終わらせなかった 細貝さやか『斉藤すみの孤独な戦い』には、妹スケが幼少
![「世界初の女性騎手」は日本人だった…一度もレースに出場することなく29歳で世を去った斉藤澄子の数奇な運命 胸をさらしで巻いて7年間も男を演じ続けた](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/25091c21aad742091e2d0d2c268906f81dda6864/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fpresident.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2F5%2F1%2F1200wm%2Fimg_511f38119366a57ba5e9f2c064f8914d4563514.jpg)