バカが「東大大学院」に行く (SAPIO 2010年3月31日号掲載) 2010年4月8日(木)配信 2ページ中 1ページ目 前のページ | 1 | 2 | 次のページ 文=小谷野敦(比較文学者) おバカ大学生の増殖は、最高学府の頂点に君臨する東京大学をも蝕んでいた。09年3月に、「さらば東大!」の捨て台詞を残して非常勤講師を退職した小谷野氏が嘆く。 私は『すばらしき愚民社会』(新潮文庫)などで、大学生の学力低下について書いたが、もう二流、三流、さらに底辺大学の実態のひどさは世間に知られてきている。底辺校など、学力も生活態度もまるで中学校のようで、日本と並んで、米国、韓国など大学が過剰に多くなると、そういうことになる。 だが、このところ、私は「東大院生の学力低下」をひしひしと感じている。東大生そのものも、私の頃に比べるとずいぶん基礎学力、特に教養がなくなってきているが、院生が特に問題なの