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  • 高度成長は「一度きりの幸運」だったのか : 池田信夫 blog

    2010年10月29日17:45 カテゴリ経済 高度成長は「一度きりの幸運」だったのか 日のいわゆるデフレの実態は長期不況であり、それを脱却するには成長率を上げるしかない――これは多くの経済学者のコンセンサスだが、ではどうすれば成長率が上がるのか、という点についてはコンセンサスがない。書は戦後の高度成長の時期についての多くの実証研究をサーベイし、それが一度きりの幸運だったのかもしれないと示唆している。 日の戦後の成長の要因を、終戦直後の「傾斜生産方式」や、銀行による産業金融などの計画経済的な手法に求める見解が多いが、書は実証データにもとづいてこうした通説を否定し、戦後の日経済の出発点を1940年代末からのドッジ・ラインに求める。それは統制経済をやめてインフレに終止符を打ち、日経済を「普通の自由市場」にした。それは90年代のアジア金融危機に際してIMFの行なった介入と同じく、短

    高度成長は「一度きりの幸運」だったのか : 池田信夫 blog
    kodaif
    kodaif 2010/11/06
    "それが失われて先進国として成熟した日本の成長率が上がる可能性はないということになる。あまり喜ぶべき結論ではないが、それほど悲嘆にくれることもない「普通の老大国」になるということかもしれない。"
  • 生産性とは何か : 池田信夫 blog

    2010年11月06日15:46 カテゴリ経済テクニカル 生産性とは何か 今週のメルマガとアゴラ連続セミナーのテーマは「経済成長」。きのう紹介した増田悦佐氏も、その前の大来洋一氏も、労働移動が高度成長の最大の要因だったという点では共通している。これは、実はイノベーションを考える上でも重要だ。 成長率のうち資蓄積と労働投入で説明できるのは半分以下で、残りが生産性(TFP)だというのはよく知られているが、このTFPとは何かについてはいまだに定説がない。このため「リストラして生産性を上げるとデフレになる」といったナンセンスな話が繰り返されるが、成長理論でいう生産性はリストラとは関係ない。少しテクニカルになるが、その説明としては次のようなものがある:技術進歩:新古典派成長理論やRBCなどでは、TFPを偶然の「発明」と考えて外生変数として扱うが、これではもっとも重要な変数が説明できない 研究開発:

    生産性とは何か : 池田信夫 blog
    kodaif
    kodaif 2010/11/06
    "生産性が低いことではなく、企業の新陳代謝が進まないことなのだ。その大きな原因が、優秀な人材が「終身雇用」によって生産性の低い官庁や銀行やITゼネコンなどに囲い込まれ、新しい企業が出てこないことにある"
  • 合理的市場という神話 : 池田信夫 blog

    2010年09月29日23:09 カテゴリ経済 合理的市場という神話 金融市場が合理的に動かない、というのは金融危機のあとで出るとしてはさほど新鮮な洞察とは思われないが、書はそれが強欲な銀行家のせいではなく、ノーベル賞を受賞した世界最高の知性の作り出した神話によるものだと主張する。現代の金融理論のコアである効率的市場仮説(EMH)には厳密な理論的基礎がなく、現実にも例外だらけだ。 しかしEMHもCAPMもブラック=ショールズ公式も、過去の多くの危機を生き延びてきた。それは現実の市場データに合致しているからではなく、市場がどうあるべきかを示しているからだ。複雑で予想しにくい市場では、トレーダーは取引の基準を求める。彼らがCAPMに従って取引すれば、CAPMに合致した価格がつくのは自明の理である。それは「太陽の黒点活動が活発になると景気がよくなる」という理論でも同じだ。 著者も指摘するよ

    合理的市場という神話 : 池田信夫 blog
    kodaif
    kodaif 2010/09/30
    "定義しているので数学的に単純で美しく、計量分析にも乗りやすいからだ。こうした数学的スキルは頭のよさをシグナルするには便利だから、競争の激しいアカデミズムで研究者を選別する道具として使いやすい。"
  • 大卒はなぜ職にあぶれるのか : 池田信夫 blog

    2010年08月07日13:31 カテゴリ経済 大卒はなぜ職にあぶれるのか 茂木健一郎氏の新卒採用についてのツイートが話題になっているが、経営者に「新卒一括採用はよくない」などと説教したって始まらない。それは日的雇用慣行の中核にある年功序列システムの一環であり、人事システム全体を変えないで新卒一括採用だけをやめることはできない。それより問題は、なぜ大卒労働者の超過供給がここまでひどくなったのかということだ。 書も指摘するように、その最大の原因は大学の定員を増やしすぎたことにある。1985年に26.5%だった大学進学率は2009年には50.2%になり、学生数は184万人から284万人に増えた。90年代前半までは「団塊ジュニア」が増えたので大学の定員を増やしたのはやむをえないが、学齢人口の減った90年代後半以降も文科省は大学の認可を増やした。 それによって定員割れが起こると、「AO入試」

    大卒はなぜ職にあぶれるのか : 池田信夫 blog
    kodaif
    kodaif 2010/08/07
    "経営者に「新卒一括採用はよくない」などと説教したって始まらない。それは日本的雇用慣行の中核にある年功序列システムの一環であり、人事システム全体を変えないで新卒一括採用だけをやめることはできない。"
  • 国家資本主義の呪縛 : 池田信夫 blog

    2010年06月20日09:04 カテゴリ経済 国家資主義の呪縛 政府の「新成長戦略」をみると、依然として「環境産業や健康産業で成長する」という類のターゲティング政策が並んでいる。このように政府がビジョンを打ち出して民間を指導する国家資主義は、先進国ではとっくに終わっているのに、今ごろ「よい公共事業」という形で墓場からよみがえるのは困ったものだ。書は世界の国家資主義を概観したもので、その中心はもちろん中国である。 健全な民主主義が機能している国では健全な資主義が発達するが、その逆は必ずしも真ではない。かつての韓国台湾のように、民主主義がなくても「開発独裁」によって成長することができる。目的が明確で資の足りない後発国で「追いつき型近代化」を急速に進めるには、国家資主義で戦略産業に資を集中することが効率的である。 中国ロシアは、かつては軍事的脅威だったが、今は経済的脅威で

    国家資本主義の呪縛 : 池田信夫 blog
    kodaif
    kodaif 2010/06/20
    "兆候は見えないが、政府主導による成長には限界が来るだろう。過剰な労働人口を低賃金で使って安価な製品を輸出する路線は、賃金が上がると終わる。そして所得が増えると、人々は精神的な自由を求めるようになる。"
  • 電波行政とサンクコスト : 池田信夫 blog

    2010年05月01日10:41 カテゴリIT 電波行政とサンクコスト きのうのUstream中継で、FTTHについてはともかく、700MHz帯については全員の意見が一致した。おもしろかったのは、ツイッターの「ソフトバンクは700/900MHzペアでOKしたんじゃないのか」という質問に、松徹三さんが「最初は当社もITSやFPUの見直しを訴えたが、電波部に却下された。電波部の決定は絶対なのであきらめていたが、今回は大臣が再検討を指示したので、当初の主張をあらためて申し上げる」といったことだ。 日の官僚機構の特徴は、その極端な手続き的整合性の重視である。真珠湾の前夜にも、陸軍省整備局の報告では、日米の戦力や補給力に大きな差があり、2年以上は戦えないとされていたが、東條内閣は企画院に生産力を誇大に見積もった報告を出させて御前会議を強行突破した。その後も戦争を避けようと努力する近衛首相を、東條

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    kodaif 2010/05/02
    "前例主義は、霞ヶ関に独特の意思決定方式によるものだ。表向きは官僚は審議会に「諮問」し、「学識経験者」の結論をもとにして決めることになっているが、実質的な意思決定は諮問した段階で決まっている。"
  • 天皇制と2ちゃんねる : 池田信夫 blog

    2010年05月02日02:23 カテゴリIT経済 天皇制と2ちゃんねる きのうのニコニコ生放送は、「ネット上の誹謗中傷を考える」というテーマで、3時間もつのかな・・・と思っていたら、冒頭から田原総一朗さんが「私はネットはよくわからない」といって30分ぐらいで題を切り上げ、「天皇制は是か非か」といったすごい話題になった。そのとき、無理やり題に戻そうとして、私が「2ちゃんねるは天皇制の鏡像だ」と話したのが、意外に受けたので、ここで解説しておく。 昔のコラムで書いたように、2ちゃんねるのパワーの源泉は、会社に不満をもちながら、それを上司にはいえない平社員のストレスだと思う。そこでは、会社は定年まで脱出できない共同体として自分のアイデンティティでありながら、他方では組織の強い同調圧力がストレスの原因になっている。このように会社の求心力が強いのは、日が平和だったため国家の最高指揮官としての天

    天皇制と2ちゃんねる : 池田信夫 blog
    kodaif
    kodaif 2010/05/02
    "それを上司にはいえない平社員のストレスだと思う。そこでは、会社は定年まで脱出できない共同体として自分のアイデンティティでありながら、他方では組織の強い同調圧力がストレスの原因になっている。"
  • ニューケインジアン・フィリップス曲線 : 池田信夫 blog

    2010年01月31日15:30 カテゴリ経済 ニューケインジアン・フィリップス曲線 アメリカ人の66%が天地創造を信じていると聞いて日人は笑うだろうが、日にも似たような人々は多い。たとえばけさの日経新聞に「量的緩和でもマネー回らず」という記事が出ている。紙では「実体経済への効果はみえず、大量のマネーは短期金融市場にとどまったままだ。昨年12月の全国銀行の貸出残高(月中平均)は4年ぶりに減少に転じた」と書いている。しかし、これを読んでもリフレ派はこう答えるだろう:さて、この処方箋は簡単だ。インフレ期待を起こせばいい。これほど簡単なことはない。日銀行がお金をいっぱい刷り、これからも当分そうしますよ、といえばいい。いままでの日銀による金融緩和は、お金はとりあえず刷るけれどすぐやめますからね、と言い続けていたのでインフレ期待はまったく上がらなかったのだ。「お金を刷る」のは日銀ではなく国立

    ニューケインジアン・フィリップス曲線 : 池田信夫 blog
    kodaif
    kodaif 2010/02/03
    "「絶対インフレにするぞ!」と宣言して緩和すればきくと主張するわけだ。この命題は反証不可能である。日銀が彼らの「政策提言」を受け入れる可能性はまったくないので、この命題の真偽は実際に確かめようがない"
  • 存在論的ブラック・スワン : 池田信夫 blog

    2010年01月26日23:56 カテゴリ経済 存在論的ブラック・スワン タレブが"Black Swan"の第2版で追加した部分をツイッターで紹介している。あれを読んだとき誰もが感じる疑問は、彼はフランク・ナイトを読んだことがないのかということだが、これに反論してタレブは、ナイトのリスクと不確実性の区別は質的ではないという。 たとえば世界貿易センタービルで働いていた人にとって9・11は確率ゼロのブラック・スワンだったが、そこに突っ込む飛行機に乗っていたテロリストにとっては確率1に近い出来事だった。両者を知っている神がいれば「存在論的リスク」は計算可能かも知れないが、神はいないので、すべての社会現象はナイトの意味で不確実なのだ。それが機械的なリスクに見えるのは、特定の座標軸を固定した場合の錯覚にすぎない。 Black-Scholes公式に代表される経済学の理論は、社会の質的な複雑性を捨象

    存在論的ブラック・スワン : 池田信夫 blog
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    kodaif 2010/01/28
    "捨象することによって経済学は成り立ってきた。このような「パラダイム自閉症」は、学問が職業として成り立つ上で避けられないバイアスであり、重要なのは、それを使う側がバイアスをわきまえて使うことだろう。"
  • 教育改革はなぜ失敗するのか : 池田信夫 blog

    2009年08月16日12:50 カテゴリCulture/Science 教育改革はなぜ失敗するのか 日のサービス産業の効率が低いことは周知の事実だが、教育サービス(特に高等教育)はその中でも最低の部類だろう。私立大学の過半数が定員割れで、中国人留学生で定員を埋めている状態だ。一時、文科省が「大学院重点化」によって乱造した大学院大学も、ほとんどが定員割れで「学歴ロンダリング」の温床になっている。 こういう状況について何度も改革が試みられたが、ほとんど改善されていない。その根的な原因は、企業システムにある。拙著(第5章)でも書いたように、日の企業のガバナンスは資主義の原則である所有権(ownership)による支配ではなく、長期的関係にもとづいた会員権(membership)による支配だから、大事なのは組織に忠実で協調性の高いことで、専門的技能は必要ないのだ。 前にも書いたように、日

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    kodaif 2010/01/25
    "価値は上がらない。長期雇用・年功序列システムの特長は、需要の変化に対応して多くの部門に配置転換できる柔軟性なので、へたに博士号をとったりして「専門バカ」になると、つぶしがきかなくて使いにくい。"
  • 雇用の常識 「本当に見えるウソ」 : 池田信夫 blog

    2009年05月08日21:47 カテゴリBooks 雇用の常識 「当に見えるウソ」 雇用問題ほど、いろいろな神話が一人歩きしている分野はない。書はその神話を具体的なデータで反証する。たとえば 一度も転職しないという「終身雇用」はもともと存在しないが、長期雇用は崩壊していない。転職率はここ20年で1~2%ポイント増えているが、世界でも極端に低く、雇用の流動化は進んでいない。 大学生が「就職後3年で辞める」傾向は、ここ15年ほど変わっていない。離職率は増えているが、その原因は大学進学率が大幅に上がったこと。 「成果主義賃金」をとっている企業はほとんどない。実態は上司の査定による「能力主義賃金」で、これは中高年の賃下げを行なうため。 年功序列は崩れ始めている。年齢給が減って査定部分が増え、50代で昇給はほとんどなくなる。 「派遣を正社員にしろ」というが、実際にやったら正社員として就職できる

    雇用の常識 「本当に見えるウソ」 : 池田信夫 blog
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    kodaif 2010/01/24
    "一発勝負で人生が決まる、労使双方にとってリスキーな雇用形態を多様化することだ。場当たり的な規制強化を繰り返すのではなく、柔軟で多様な雇用形態を実現するための雇用規制の包括的な見直しが必要だ。"
  • 京のお茶漬け : 池田信夫 blog

    2010年01月21日07:42 カテゴリその他 京のお茶漬け 私が京都生まれの京都育ち(高校まで)だというと、驚かれることが多い。テレビに出てくる京都人は、ていねいで物腰の柔らかい人々で、私のようにストレートにものをいうのは「江戸っ子」だと思われているようだ。しかし実際の京都人は、排他的で冷たい。ていねいに話すのは、「よそ者」に気を許していないことを示しているのだ。 これには理由がある。京都には1000年以上にわたって国家権力の中心があり、街中が戦乱に巻き込まれる体験を何度もしている。権力が変わると、きのうまでの隣人が敵に回るといった経験が繰り返されてきた結果、「一見さん」を信用しない習性が根強く残っているのだ。魯迅の小説に描かれているように、人間が国家権力と隣り合って生きていると猜疑心の固まりになる。幸い日人は国家に対峙した経験があまりないが、京都だけは例外的に権力を意識し続けた都市

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    kodaif 2010/01/21
    "国家が永遠に債務を返済してくれると信じる人や、派遣村で貧しい人々を救えと国家に求める人は、権力に裏切られたことのない幸福な日本人の典型にみえる。そういう人に限って「反権力」を語ったりするのだが。"
  • 資本主義とエントロピー : 池田信夫 blog

    2010年01月17日15:17 カテゴリ経済 資主義とエントロピー きのうの大学入試センター試験の国語に、岩井克人氏の『二十一世紀の資主義論』(*)が出題されていた。けっこうむずかしい文章だと思うけど、高校生にこの論旨が理解できるんだろうか:産業革命から250年、多くの先進資主義国において、無尽蔵に見えた農村における過剰人口もとうとう枯渇してしまった。実質賃金率が上昇しはじめ、もはや労働生産性と実質賃金率とのあいだの差異を媒介する産業資主義の原理によっては、利潤を生み出すことが困難になってきたのである。あたえられた差異を媒介するのではなく、みずから媒介すべき差異を意識的に創りだしていかなければ、利潤が生み出せなくなってきたのである。その結果が、差異そのものである情報を商品化していく、現在進行中のポスト産業資主義という喧噪に満ちた事態にほかならない。これは一時「ポストモダン的な資

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    kodaif 2010/01/18
    "イギリスのように没落したが、いま多国籍企業が行なっているのは資本統合によるグローバルな鞘取りである。これに受動的に対応しているかぎり、単純労働の賃金が国際水準に引き寄せられることは避けられない。"
  • 資本主義はバブルである : 池田信夫 blog

    2010年01月16日16:29 カテゴリ経済 資主義はバブルである 先日の国債についての記事に、しつこく似たようなコメントがくる。どうやら世の中には財政赤字はフィクションだと気で信じている人が、かなりいるようだ。彼らの論理は単純で、「日の政府債務が永遠に借り換え可能であれば、債務がいくら大きくなってもデフォルトは起こりえない」というのだ。この論理は(トリヴィアルに)正しい。問題は、この結論が正しいかどうかだ。 この結論が正しいとすれば、「外債は危ないが内国債は大丈夫」といういこともありえない。債務不履行が起こらないのだから、どれだけ債務が膨張しても外債を保有し続けてくれるはずだ。「日には個人金融資産が1400兆円ある」という話もよくあるが、世界全体の金融資産は100兆ドル以上あるので、それをすべて借りれば、政府債務がGDPの20倍以上あっても大丈夫だ。 ・・・ということに論理的に

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    kodaif 2010/01/17
    "論理的に誤っている。債務不履行のリスクがゼロであれば、暴落も債務の激増も起こりえない。「対外債務をファイナンスするために通貨を増発するとインフレになる」というが、国内債務ならインフレにならないのか。"
  • 国債についての迷信 : 池田信夫 blog

    2010年01月13日08:54 カテゴリ経済 国債についての迷信 AERAの特集が話題を呼んでいる。「インフレがくる」というタイトルはやり過ぎだと思うが、中身はそう荒唐無稽なことが書いてあるわけではない。今すぐにインフレがくる可能性はないが、そう遠くない将来に国債の価格が暴落すると邦銀が一斉に売り逃げ、それを買い支える日銀のオペで通貨が大量に供給され、インフレが起こるというシナリオだ。 問題は、この国債バブルがいつ崩壊するのかということだ。櫻川昌哉氏によれば、向こう100年間に日の財政が破綻する確率は99.91%だが、それが1年後なのか99年後なのかはわからない。資金需給から考えると、あと5年ぐらいはもつと思われるが、10年もつかどうかはかなりあやしい。こういう警告に対して、「金利が低いから大丈夫だ」とか「内国債だから問題ない」とか「政府の純債務は小さい」などという人がいるが、これは迷

    国債についての迷信 : 池田信夫 blog
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    kodaif 2010/01/13
    "10年もつかどうかはかなりあやしい。こういう警告に対して、「金利が低いから大丈夫だ」とか「内国債だから問題ない」とか「政府の純債務は小さい」などという人がいるが、これは迷信である。"
  • 新興国バブル : 池田信夫 blog

    2010年01月10日10:12 カテゴリ経済 新興国バブル このごろ証券会社の営業がすすめる投信に、日株がまったくなくなった。民主党は日が「株主至上主義」だと思っているのかもしれないが、先進国で最低のパフォーマンスしか出せない日株には、証券会社も愛想をつかしたようだ。その代わり、彼らがすすめるのは中国、ブラジル、インドなどの新興国株である。 この背景には、金融危機で各国政府や中央銀行が金融機関に巨額の資増強や資産の買い取りを行なった結果、世界的な資金過剰が生じている状況がある。先進国の金利は1%を下回り、ドルにペッグしている新興国も金余りに巻き込まれている。キャリー取引がまた始まり、オーストラリア・ドルへの投資が人気だ、とEconomistは報じている。 株価は昨年3月の最低水準から70%も上がり、特にブラジル・中国・インドの株価は2倍以上になった。こういう国々が長期的に成長する

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    kodaif 2010/01/10
    "断言できない。新興国は何事もなく成長を続けるかもしれないし、各国政府は財政赤字をコントロールできるかもしれない。しかしマーケットが「これはバブルだ」と思った瞬間に、それはバブルになるのである。"
  • コンセンサス型企業の終焉* : 池田信夫 blog

    2010年01月07日09:32 カテゴリ経済テクニカル コンセンサス型企業の終焉* きのうの記事には意外に大きな反響があり、いろいろなコメントやTBもついたが、すべてに答えることはできないので、MITの大学院生からの「会社は当に株主のものか?」というTBに簡単にお答えしておこう。 きのうも書いたように、株式会社が株主のものであることは法的には自明である。しかし企業を公開会社にしなければいけないという法律はないのだから、「株主至上主義」がいやな経営者は、MBOで閉鎖会社にすればよい。現にアメリカでは公開会社の「閉鎖化」が進行している・・・というのが彼女への短い答である。 少しテクニカルな話を補足すると、学問的には株式会社より効率的なガバナンスがあるかどうかについては長い論争がある。特に日企業のパフォーマンスが高まった80年代には、マイケル・ポーターなどが「長期的視野」で経営できる日

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    kodaif 2010/01/07
    "交渉権を与えることは理論的には望ましくない。むしろ労働市場を柔軟にし、教育によって習得可能な専門的技能を労働市場で配分するることが望ましく、IT産業では技術の標準化によってそういう傾向が強まっている"
  • 日本のメガリスク : 池田信夫 blog

    2010年01月04日02:24 カテゴリ経済 日のメガリスク Economist誌によれば、日の「失われた20年」の勝ち組は、国債を買った邦銀だ。図のように、なんと78%も値上がりしている。これは歴史上もっとも長いブームの一つだという。 しかしブームにも、いつか終わりは来る。Bloombergは、それが近く来るかもしれないと予想している。日の名目GDPは471兆円と、1991年の水準に落ちた。今年の税収は、四半世紀ぶりの低さだ。2010年度予算はかつてない規模にふくらんだが、鳩山首相は財政赤字を抑制する道筋も示していない。高齢化によってまもなく貯蓄は減少に転じ、国債の需給は悪化する。 国債が消化できなくなる非常事態のはるか前から、金利は上がり始める。4月までに1ドル=130円ぐらいまで下落すると、国債の投げ売りが始まる「ティッピングポイント」が来るかもしれないと警告するアナリストも

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    kodaif 2010/01/04
    "1980年代にアルゼンチンで起ったようなハイパーインフレのリスクがある。国債バブルは必ず崩壊するが、地震と同じでいつ崩壊するかはわからない。10年後かもしれないし、今日かもしれない。"
  • 浜矩子氏のシャイな保護主義 : 池田信夫 blog

    2010年01月04日13:24 カテゴリ経済 浜矩子氏のシャイな保護主義 けさの朝日新聞で、1ページにわたって浜矩子氏が、また「ユニクロ型デフレ」を指弾している。毎日新聞の新春座談会にも出て、文藝春秋にも大きく出ていた。不況になると保護主義に人気が集まるのは、左右を問わないようだ。 浜氏の議論がナンセンスであることは、アゴラでも論じたので繰り返さないが、彼女の話は自分で信じているほど新しくない。保護主義はアダム・スミスの昔からある主張で、労働組合が「**の低賃金労働がわが国の雇用を奪っている!」と関税引き上げや資移動規制を求めるのも毎度おなじみだ。違うのは、かつて**に入るのは日だったが、最近はここに中国が入ったことである。 ただおもしろいのは、かつては米政府が日の「不公正貿易慣行」を攻撃してスーパー301条などの露骨な輸入制限を主張したのに対して、浜氏の保護主義は「99円セーター

    浜矩子氏のシャイな保護主義 : 池田信夫 blog
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    kodaif 2010/01/04
    "どこの国でも人気のある「一段階論理」で、特に労組をバックにもつ民主党がそういう主張を行なってもおかしくない。それが日本で出てこないのは、たぶん日本が「貿易立国」で成長をとげてきたという体験による"
  • 生産性格差デフレ* : 池田信夫 blog

    2010年01月02日13:32 カテゴリ経済テクニカル 生産性格差デフレ* Tyler Cowenが、なつかしい部門間シフト(sectoral shift)について議論している。これは1980年代に提唱され、Fischer Blackが部門別の一般均衡理論として定式化したが、学会誌には掲載されず、忘れられた。もともとこの種の理論は30年代に、ハイエクなどオーストリア学派が大量失業の原因として提唱したもので、古い産業から新しい産業へ労働人口が移行する過程で起る部門間の摩擦が失業の主要な原因だというものだ。 Menzie Chinnも示唆するように、たぶんアメリカではこの問題はそれほど重要ではないだろう。80年代以降、大規模な部門間シフトによって製造業からサービス業に労働人口が移動したため、かつては大きかった部門別の失業率の差がほとんどなくなった。しかし日では、部門間の格差が大きい。次の図

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    kodaif 2010/01/02
    "賃金の抑制が続いている。つまりグローバル化による新興国との競争が、労働市場の硬直性によって増幅され、全部門で労働者の賃金が間接的に新興国の水準に引き寄せられ、賃金と価格のデフレをもたらしているわけだ"