今ほど日本の官僚が堕落し、やりたい放題という時代は近年なかったのではないだろうか。森友問題では、官僚の頂点に鎮座する財務省が改竄の音頭を取る。文科省の局長は我が子を医大に裏口入学させる。厚労省は、「働き方改革」で裁量労働制についてデタラメデータを国会に出す。防衛省は南スーダンPKOで日報隠し。直近では、中央官庁が横並びで障害者雇用の水増し。 官僚人事を官邸が握っていることもあって、「忖度」がはびこり、「腐敗」が日常化している。本書はそうした情けない官僚の姿を、歴史的、国際的な視点も交えながら指弾する。 「ニッポン不全」に陥っている 著者の塩原俊彦さんはユニークな経歴の人だ。慶応大の経済学部を出て、一橋大の大学院で学び、いったん日経新聞に入った後、朝日新聞に移る。経済部やアエラ編集部を経てモスクワ特派員も経験、現在は高知大学人文社会科学学部大学院准教授だ。『「軍事大国」ロシアの虚実』(岩波書