●初出:月刊『潮』1994年1月号「市民講座」●執筆:坂本 衛 投棄廃棄物は約九〇〇トン ロシアが日本海で核廃棄物を投棄して 問題になりましたね。詳しく教えてください。 はい。ロシア海軍のタンカー「TNT-27」は、一九九三年十月十七日、ウラジオストクの南東約二〇〇キロメートルの日本海に液体放射性廃棄物を投棄しました。捨てたのは、解体された原子力潜水艦で使っていた原子炉冷却水など約九〇〇トンと見られています。同船は、固体放射性廃棄物も、投棄できるように積み込んでいましたが、こちらは捨てずに持ち帰りました。 この海洋投棄は、国際的な環境保護団体として有名なグリンピースが調査船を出し、終始監視していました。グリンピースが付近の大気中の放射能を測定したところ、通常の一〇倍から七〇倍の放射能が検出されたそうです。 これに対して外務省は十月十九日、ロシア駐日大使を呼び「極めて遺憾」と抗議するとともに