阿久根市で12万羽の養鶏業を営む西平良将さん(37)にとって、昨年11月8日は忘れられない日だ。同市の竹原信一市長のブログにこう記されたからだ。 〈高度医療のおかげで以前は自然に淘汰(とうた)された機能障害を持ったのを生き残らせている〉 内容は事実だと思った。まさに自分の長男(6)がそうだ。だが、行政の長の物言いとしては許せなかった。機能障害を持ったの――。「うちの長男は、モノか?」 1月、竹原市長の解職を視野に入れた「阿久根の将来を考える会」ができた。西平さんは隣の薩摩川内市で暮らすが阿久根で長く育ち、長男も阿久根の幼稚園に通う。ごく自然な流れで「考える会」に入った。いまは「阿久根市長リコール準備委員会」のメンバーとして活動する。 2004年、予定日より2カ月早く生まれた長男は体重が2キロに満たず、酸欠で仮死状態だった。命はつなぎとめたが、手と足を連動して動かせない運動障害などが残った。