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ブックマーク / xtech.nikkei.com (99)

  • AIブームで進行する第4次“熱危機”、スピン利用で消費電力が1000分の1に

    電子スピンの集団、つまり磁化の向きで情報を記録するMRAMがいよいよ実用化時期を迎えている。混載用フラッシュメモリー(eFlash)や揮発性のSRAM、DRAMの代替が当初のターゲットだ。最大のインパクトは、1/100から1/1000という異次元の消費電力低減効果。今後のコンピューター、特にIoT端末やAIチップに破壊的変化を起こしそうだ。 次世代不揮発性メモリー技術のMRAM(MagnetoResistive RAM、磁気抵抗効果型メモリー)がいよいよ格的な実用化時期を迎えつつある。その影響は大きく今後のコンピューター技術を大きく変えていく転換点になりそうだ。 熱対策が技術革新に MRAMが変えるのはメモリー技術というよりもむしろコンピューター自体である。コンピューターの歴史ではこれまで計3回、マイクロプロセッサーなどからの熱発生量がシステム許容量の限界に近づいた後、ブレークスルーをも

    AIブームで進行する第4次“熱危機”、スピン利用で消費電力が1000分の1に
  • 北薩トンネル崩落は大雨による水圧上昇が原因か、技術検討委員会が初会合

    鹿児島県の「北薩(ほくさつ)トンネル」で壁面が崩落し、土砂が流入した事故は、2024年7月中旬に降り続いた大雨による地下水圧の上昇が原因と見られることが分かった。今後、対策工法の検討に向け、ボーリング調査などを実施する。県が9月12日に開いた技術検討委員会(委員長:酒匂一成・鹿児島大学教授)の初会合で明らかにした。

    北薩トンネル崩落は大雨による水圧上昇が原因か、技術検討委員会が初会合
  • 直径約5cmの「銅ボール」が30年続くプリント基板工場から消える理由

    層間の導通確保のために銅めっき 銅めっきラインは、PCBの表面に銅膜を張る工程の設備であり、銅膜の元になる銅の供給源が銅ボールである。しかしそういう以前に、銅めっきラインがなぜ必要なのか、実は最初のうち分かりにくかった。 というのは、PCBの材料は銅張積層板と思っていたためだ。銅張積層板はガラス繊維に熱硬化性プラスチックを含浸させるなどして造った板の両側に銅箔を張ったものであり、その銅箔を部分的に溶かして残ったところを回路にする。銅は最初から材料に付いているではないか、と思ってしまった。 実際には「多層基板で層間を電気的につなぐ」(OTC)ために、銅を付着させる工程が必要になる。何層もの回路が積み重なる多層基板では、層と層を電気的に接続して回路を機能させる。その目的で多層基板に穴(スルーホール)を開けると、穴の内面には地層のように、内層の回路を形成する銅箔と、基板材料であるガラス繊維入りプ

    直径約5cmの「銅ボール」が30年続くプリント基板工場から消える理由
  • 東海第2原発の施工不良、コンクリート未充填を鉄筋で補完へ

    原子力発電(原電)は、安藤ハザマなどの共同企業体(JV)が施工している東海第2原発(茨城県東海村)の防潮堤で基礎に施工不良が見つかったことを受け、対応策をまとめた。コンクリートの未充填箇所の一部で補充を見送り、鉄筋の追加で強度を確保する。2024年1月12日に発表した。

    東海第2原発の施工不良、コンクリート未充填を鉄筋で補完へ
  • 高効率ペロブスカイト型太陽電池の製造コストが大幅低減

    スイスの大学 Ecole Polytechnique Federale de Lausanne(EPFL)の研究者は、変換効率20.2%と高いペロブスカイト太陽電池をこれまでより大幅に低い製造コストで作製する技術を開発したと発表。論文も学術誌「Nature Energy」に掲載された。 ペロブスカイト型太陽電池は、最近変換効率が目覚ましく向上しているタイプの太陽電池である。最近では、21.0%という変換効率の報告もある。 ベースとなったのは、酸化チタンと色素などから成る従来の色素増感型太陽電池だ。ぺロブスカイト型では、“色素”の代わりにペロブスカイト材料を用い、正孔(ホール)輸送(HTL)材料としてのヨウ素溶液の代わりに、Spiro-OMeTADなどの特殊材料を用いたものが多い。 実はこのHTL材料が大きな課題だった。ここで利用するぺロブスカイト材料は鉛(Pb)と有機材料から成り安価だった

    高効率ペロブスカイト型太陽電池の製造コストが大幅低減
  • 成田空港の滑走路延伸が本格化、22年秋に東関道切り回しへ

    成田空港の機能強化を目指す成田国際空港会社(NAA)は2022年秋ごろ、B滑走路の延伸に向けた準備工事を始める。新設するC滑走路では、23年度に準備工事に着手する。NAAが21年12月23日に計画概要を公表した。 機能強化は、年間の発着容量を現在の30万回から50万回に増やすため、空港の敷地(面積1198ha)を1099ha拡張。B滑走路(延長2500m、幅員60m)を北側に1000m延伸し、C滑走路(延長3500m、幅員45m)と誘導路(延長7471m、幅員23m)を新たに建設する。いずれも28年度末までに整備を終える予定だ。 NAAは19年11月、航空法に基づく空港等変更許可を国土交通相に申請。20年1月に許可を得た。その後、滑走路や誘導路の建設予定地で埋蔵文化財など各種調査を進めながら、整備計画の具体的な内容を検討してきた。

    成田空港の滑走路延伸が本格化、22年秋に東関道切り回しへ
  • フレキシブルディスプレーの長寿命化と省電力化を実現する新材料、NHKが開発

    NHKは2020年8月31日、巻き取りや折り曲げができるフレキシブルディスプレーの長寿命化や省電力化に向けて、有機ELの新たな電子供給層の材料を開発したと発表した。開発は、NHK放送技術研究所が日触媒と共同で行った。 これまでNHK放送技術研究所は、プラスチックのフィルムで形成するフレキシブルディスプレーの長寿命化を目指して、陰極から発光材料に電子を供給する電子供給層の材料を開発してきた。今回、長寿命化に加えて省電力化も実現できる新たな電子供給層の材料として、独自のフェナントロリン誘導体を開発した。 有機ELでは、電子供給層が陰極から電子を取り出す際のエネルギーを小さくできると、ディスプレーを省電力化できる。開発した独自のフェナントロリン誘導体は、陰極を構成する金属元素と強い配位結合を形成して、有機ELの電子供給層の材料として広く使われているリチウムよりも小さいエネルギーで電子を取り出す

    フレキシブルディスプレーの長寿命化と省電力化を実現する新材料、NHKが開発
  • カリウムイオン電池台頭、「リチウム」に閉塞感 45秒満充電・高出力密度

    既存のリチウム(Li)イオン2次電池の性能向上に対する閉塞感が高まる中、Liイオン以外の電池内キャリアを用いる2次電池技術に注目が集まっている。その代表例がナトリウム(Na)イオンを用いた2次電池(NIB)だったが、ごく最近になって、カリウム(K)イオンを用いた2次電池(KIB、またはPIB)にも脚光が当たり、論文数が急増している(図1)注1)。 Kイオン2次電池やKイオンキャパシターについての年間論文数の推移。2004年にイランの研究者が正極にプルシアンブルー、負極にK金属を用いた2次電池を発表したが、10年以上顧みられなかった。2015年に東京理科大学の駒場研究室が、負極にグラファイトを用いて、LIBと同様なインターカレーションで動作するKイオン2次電池(KIB)を提唱。2017年には、この負極とマンガンを一部含むプルシアンブルー正極で4V級のKIBを開発した。これらの研究によってKI

    カリウムイオン電池台頭、「リチウム」に閉塞感 45秒満充電・高出力密度
  • プログラミングは要らなくなる、Pythonが示す未来

    自分が最近どんな記事を書いているかを振り返る機会があった。そこで分かったのは、プログラミング言語のPythonに関する記事がとても多いということだ。 このコラム連載でも、Pythonに関する記事はよく読まれている。ここ半年で最も読まれたのは、Pythonを学ぶべき理由を紹介したコラムだ。次に読まれていたのは、Python 2がサポート対象外になるというコラムである。 関連記事: プログラマーだけではない、全ての人がPythonを学ぶべきたった1つの理由 寿命は年内限り、もはや「Python 2」は使ってはならない 私は日経クロステックだけでなく、ネットワーク技術者向けのメディアである日経NETWORKにもPythonの記事を書いている。2019年7月号には「知っておきたいPythonの基礎」という8ページの記事を書き、日経NETWORKの読者に初めてPythonを紹介した。 2019年10

    プログラミングは要らなくなる、Pythonが示す未来
  • 現行Liイオン2次電池超えの電池が台頭、2020年にLi-S系が実用化へ

    現行のLiイオン2次電池(LIB)の開発者にノーベル化学賞が送られた2019年の翌年に、LIBを超えるリチウム硫黄(Li-S)2次電池が実用化される。Liイオンを使わない新型電池も実用化に近づいてきた。多くが現行LIBの2~5倍のエネルギー密度を備え、それでいて量産時の価格は大幅に安くなる。電池の革新が新用途開拓につながる流れは当面続く。 2019年は、現行のLiイオン2次電池(LIB)†を超える「Beyond LIB」への期待がこれまで以上に高まった年だった。理由は、現行LIBの2つの限界がいよいよ顕在化してきたことにある。 †Liイオン2次電池(LIB)=狭義の定義では、正負極共にLiイオンをインターカレーションさせる、つまり金属Liなどに析出させることなく、イオンのまま材料の隙間を出入りさせることで、充放電できる電池を指す。 2つの限界とは、(1)エネルギー密度の目立った向上がもはや

    現行Liイオン2次電池超えの電池が台頭、2020年にLi-S系が実用化へ
  • 京都市が基幹系刷新で2度目の失敗、2020年1月の予定だった稼働時期が「未定」に

    延期の原因は新福祉系システムのバッチ処理で生じている「不具合の収束が年中に見込めないこと」(総合企画局の資料)である。開発ベンダーであるキヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は2019年12月13日、京都市に対し「ほとんどの評価項目に残課題があり、2020年1月の番稼働の品質に満たないため、品質確認のためのテストが必要」との旨を報告した。稼働延期により京都市は「現行システムの端末経費等が生じる」として追加費用を見込んでいる。 京都市は2014年から80億円以上を投じて基幹系刷新に取り組んでいる。バッチ処理を巡っては一度失敗しており、仕切り直したものの再び失敗を重ねた格好だ。

    京都市が基幹系刷新で2度目の失敗、2020年1月の予定だった稼働時期が「未定」に
  • 「2030年まで全固体電池は商品化しない」、CATLの真意

    2020年代前半の実用化を公言するトヨタ自動車をはじめ、多くの企業が全固体電池の開発を急いでいる。“次世代電池の命”への熱気が高まる中、全固体電池と距離を置く戦略を採るのが中国・寧徳時代新能源科技(CATL)だ。世界最大の電池メーカーであるCATLの真意を探った。 「全固体電池は開発中で、サンプルも作った。だが、商品化するのは2030年以降になるだろう」。CATLで電池開発を担当する幹部は明かす。 別の幹部は、「当に全固体電池は必要なのか。現行の液系リチウムイオン電池を効率よく使いこなすことが、コスト面でも航続距離の面でも電気自動車(EV)にとって最善だ」と述べ、全固体電池の開発ブームに疑問を投げかける。 電池コストは50ドル/kWhが目標に 全固体電池は、電解液を固体にしたもので、現状のリチウムイオン電池を超えるエネルギー密度を実現できる可能性を秘める。冷却機構などの周辺部品を簡素化

    「2030年まで全固体電池は商品化しない」、CATLの真意
  • EVはもうからない、EV戦略で正反対のVWとトヨタ

    同氏によれば、その理由は2つある。1つは、欧州市場と中国市場への依存度の高さである。両市場は、いずれも環境規制が厳しい国・地域。欧州連合(EU)では2021年に新車の乗用車の平均二酸化炭素(CO2)排出量の規制値を95g/kmに強化する予定。加えて、2030年には同排出量を2021年比で37.5%減らすことで合意済みだ。 95g/kmという2021年の規制値は、欧州の試験サイクルであるNEDC(New European Driving Cycle)モードを前提とした値である。2030年の規制値は、これを国際基準のWLTP(Worldwide harmonised Light vehicle Test Procdure)モードに換算し、37.5%減らした値になる見込みだ。ただ、現時点の比較のために95g/kmに対する37.5%減を計算しておくと59g/km。60g/kmを切る非常に厳しい値だ

    EVはもうからない、EV戦略で正反対のVWとトヨタ
  • グーグルの最新AI「BERT」のインパクト、ついに読解力も人間超え

    文章読解の分野でもAIが人間の平均レベルを超え始めた。米グーグルGoogle)の新AI技術「BERT」が壁を突き破った。検索や情報収集などの効率が飛躍的に高まる可能性が出てきた。 AIに文章読解は不可能――。数年前までこれが常識だった。日の国立情報学研究所(NII)が2011年に始めた「ロボットは東大に入れるか(東ロボ)」プロジェクトでも、AIは大学入試センター試験の英語試験で長文読解問題や単語の並べ替え問題に全く歯が立たなかった。東ロボのAIが2016年にセンター試験の英語問題を解いた際の偏差値は「45.1」。東大合格はとうてい不可能なレベルだった。 ところがグーグルが2018年10月に発表した新技術「BERT」で常識が一変した。BERTが文章読解問題を人間より高い正答率で解いたからだ。 BERTは文章の「言語らしさ」を予測する「言語モデル」というAI技術だ。言語らしさの予測は、AI

    グーグルの最新AI「BERT」のインパクト、ついに読解力も人間超え
  • 休日に「家でゴロゴロ」実は逆効果、仕事の疲れが取れない3つの理由

    多忙なITエンジニアは心身ともに疲労しやすい。ここでは日経SYSTEMSの過去記事を紹介。大切なのが休日における疲労回復だ。不適切な方法で失敗しないように、正しい疲労回復法を学ぼう。 計測機器メーカーでSEを務めるCさんは、組み込みソフトの開発者だ。組み込み機器に対する品質の要求度は高く、心身ともにプレッシャーが大きい。そのため「休日は、疲労を回復するために家にこもることが多い」と話す。 Cさんに限らず、休日になると、家の中で1日中ゴロゴロしているITエンジニアは少なくないだろう。休日くらい自分のペースで、家の中でテレビでも見ながら過ごしたくなる気持ちは理解できる。 実際、家の中で静かに休息を取ることは、体の疲労回復が見込める。手軽で確実な疲労回復法の1つだ。 しかし、1日中室内にこもったままだと、逆に疲労回復を妨げる結果につながることは意外に知られていない。こもってはいけない理由は大きく

    休日に「家でゴロゴロ」実は逆効果、仕事の疲れが取れない3つの理由
  • 「もうレベルの話はしない」、ボルボが自動運転で大転換

    「安全」の領域で絶対の自信を見せるスウェーデン・ボルボ(Volvo Cars)が、自動運転に対する姿勢を大転換させた。自動車メーカーによる自動運転技術の“レベル上げ”競争と決別した。 各社は、米自動車技術会(SAE)が定める自動運転レベルに沿って開発を進めている(図1)。実用化が進んでいるのは、運転支援機能に該当する「レベル2」で、運転者が事故の責任を負う。事故の責任が自動車メーカーに移る「レベル3」の自動運転は、今のところ実現できずにいる。

    「もうレベルの話はしない」、ボルボが自動運転で大転換
  • 《日経Robotics》グーグル系AI企業が作った3次元空間を解釈するディープラーニング技術、物体の裏側も“想像”

    3次元空間を自在に解釈し、想像するディープラーニング技術が登場した。 何らかの物体が置いてある部屋などの空間について、任意の地点の座標を指定すると、そこから見える光景をディープニューラルネット(DNN)が正確に“想像”。まるでカメラで撮影したかのように画像として生成する技術「neural rendering」である(図1)。 文字通り、CG(computer graphics)のレンダリング(rendering)に相当するような処理を、3次元モデルの作成などをすることなく、機械学習によって実現する技術といえる。2次元画像の情報のみから、その空間の3次元的な構造を類推する技術である。 neural rendering技術を使うと、ある空間を描画した2次元RGB画像を数枚例示するだけで、その空間の3次元構造をDNN(ディープニューラルネット)が類推し、空間内の全く別の任意の地点の光景を生成でき

    《日経Robotics》グーグル系AI企業が作った3次元空間を解釈するディープラーニング技術、物体の裏側も“想像”
  • 主役を奪うグーグル動画仕様AV1、現行H.265を大幅に上回る圧縮率達成

    映像符号化方式(動画コーデック)の主役へと駆け上がる「AV1(AOMedia Video 1)」。現行規格「H.265/HEVC(High Efficiency Video Coding)」と比べて優れているのは、特許料を無料にする「ロイヤルティーフリー」の仕組みだけではない。性能面で優位に立つ点が多い(表1)。 最も重要な指標である動画圧縮率では、AV1の方が高い。AV1を開発した米国の非営利団体アライアンス・フォー・オープン・メディア(AOM)が公開している標準の符号化アルゴリズムを、符号化技術に関わるある企業が試したところ、AV1の動画圧縮率はH.265に比べて21%高かった。圧縮率が向上すれば、同ビットレートで比較した際の画質も良くなる。 加えてAV1の対応機器数はまだ少ないが増えつつあり、近い将来に対応機器数でAV1がH.265を上回りそうだ。AV1対応のSoC(System o

    主役を奪うグーグル動画仕様AV1、現行H.265を大幅に上回る圧縮率達成
  • 沈むH.265、グーグル動画仕様AV1が主役へ アップル採用で加速か

    動画の放送や配信の中核技術である映像符号化方式(動画コーデック)。国際機関で標準化された“正統”な現行規格が、主役から引きずり降ろされる異例の展開になっている。 米グーグルGoogle)や米アップル(Apple)、米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)などが推す“異端”の新規格が、「事実上の標準(デファクトスタンダード)」として主役に立つ。世界で急伸する動画配信サービスで、米国勢の台頭を勢いづかせる。 新規格とは、米国の非営利団体アライアンス・フォー・オープン・メディア(AOM)が2018年に公開した「AOMedia Video 1(AV1)」である(図1)。グーグルやアップルなど多くの大手IT企業が参画する。 最大の特徴は、特許料を無料にする「ロイヤルティーフリー」を掲げることだ。映像関連事業を手掛ける費用を大きく削減できる。現行の標準規格である「H.265/HEVC(Hig

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  • 量子コンピュータ 9000兆倍の破壊力

    「巡回セールスマン問題」など数々の難問を一瞬で解き性能はスーパーコンピュータの9000兆倍に──。夢の計算機、量子コンピュータの研究が世界で急加速している。IBMとグーグルなどの米国勢は試作機を公開。欧州連合や中国政府も研究開発に巨額を投じている。「用途は科学技術分野など限定的だろう」との考えは正しくない。産業分野に応用できるアルゴリズムが突然見つかり、「明日にも企業が使えるようになる可能性がある」と専門家はみる。9000兆倍の破壊力を持つ新技術の今を追った。 2017年5月、米IBMは17個の「量子ビット」を備えたプロセッサを試作したと発表した。同社初となる商用の量子コンピュータ用プロセッサの試作品となる。 IBMが量子コンピュータの商用化へ気で取り組み始めた。ジニー・ロメッティCEO(最高経営責任者)は同年3月期の業績発表で「量子コンピュータなど新技術を提供し、企業の複雑なビジネス課

    量子コンピュータ 9000兆倍の破壊力