本書は映画化を視野に入れたストーリー性重視のノンフィクションで、ゲームの内容やテクノロジーよりも、企業の競争戦略や個性的な登場人物たちの葛藤や苦悩、生き様などに焦点を当てた点がユニークな作品となっている。著者はゲーム業界をビジネス的観点から描くことで、マーケティングや営業の現場が創造的プロセスにどんなインパクトを与えたかを、興味深いエピソードを積み重ねながら明らかにしていく。もちろん、熾烈な市場シェア争いを描いたビジネス戦記として読むことも可能だし、最近はやりの「お仕事小説」としての側面も備えた、読み応えたっぷりの娯楽作品である。 2016年の『ポケモンGO』ブームや、最近最終作が公開された映画『バイオハザード』シリーズなどは、日本発のゲームやキャラクターが世界に与えた影響力の大きさを物語る最新事例だが、本書(原題は Co
![『セガ vs. 任天堂 ゲームの未来を変えた覇権戦争』 - HONZ](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/8d7e6b36026aa38a61d5aab723d98abe4e4ac8ed/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fimages-fe.ssl-images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F51QJ6sXXnpL.jpg)