第7回:「極悪非道の千葉真一」2本立て 面白い映画に悪党が出ているとは限らないが、魅力的な悪党の出ている映画は、まずまちがいなく面白い。これは格言に近い。私の経験からいってもほぼ正しい。 悪党は、負の感情を解き放つことが許されている。悪党は、モラルに縛られない。いいかえれば、魅力的な悪党は快楽的だ。魅力的な悪党は知性が高い。そんな悪党の出ている映画を探してみよう。昔ながらの「2本立て=ダブル・ビル」形式を借りて、幻の映画館で悪党と悪党を競わせてみよう。第7回は、日本映画史上最も凶暴で最もユニークな悪党を演じた千葉真一にスポットライトを当てることにする。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 千葉真一のキャリアは長い。テレビ映画「新七色仮面」(1960年。波島進の後継者だった。私はよく覚えている)に始まり、いまなお現役の俳優として活躍