「ぶん殴る」や「ぶん投げる」の「ぶん」はどこから来たのだろう。「ぶーん」と音を立てて殴ったり投げたりするから?やはり、そんなことはないだろう。ヒントは、これと似た言葉である「ぶっ殺す」「ぶっつける」などの「ぶっ」にある。「ぶん殴る」や「ぶん投げる」では「ぶん」の後の動詞が「なぐる/なげる」とN音で始まるから、これに引かれて「ぶん」と、最後が音便化している。一方「ぶっ殺す」「ぶっつける」の方は「ぶっ」の後がK,T音だから、こちらは-KK、-TTと促音便化し、ひらがなで「っ」と書かれる。そうすると「ぶん」と「ぶっ」はその次に来る動詞の最初の子音によってどちらかが自動的に選ばれるだけで、本来は同じ物なのに違いない。「ぶっ殺す」は「ぶち殺す」とも言うから、「ぶん」と「ぶっ」は「ぶち」が変化したものだろう。語源は動詞の「ぶつ」と思われる。しかし、「ぶち殺す」や「ぶちつける」はいいとして、「ぶち殴る」