KANSAI CEDECで立命館大学ゲーム研究センターは「ゲームの『ナラティブ』がどうしてこれほど問題になるのか?」というパネルディスカッションを実施しました。セッションでは、ふだんゲームで当たり前のように扱われている「物語」や「物語体験」という行為について、「物語を体験するプレイヤー」との関係性の中で、あらためて捉え直すことの重要性が指摘され、さまざまな議論が展開されました。 登壇者は立命館大学ゲーム研究センター&国際大学GLOCOMの井上明人氏、立命館大学ゲーム研究センターの吉田寛氏、そしてユニティ・テクノロジーズ・ジャパン&慶應義塾大学大学院KMD研究所の簗瀬洋平氏です。このように議論は学術的なバックグラウンドから展開されたため、今ひとつゲーム開発者にとって腹落ちしにくい部分もありました。そこで本稿では内容を大ざっぱに整理しつつ、議論の概要についてレポートします。 さて、ナラティ
1987年からゲームグラフィッカーというキャリアをスタートし、数社を経て、アニメーションスタジオのピクサーに入社。16年の間にピクサーを代表する複数のアニメの制作に従事。2011年にいまのDynamightyというデベロッパーを立ち上げて再びゲーム業界に戻ってきたMark Holmes氏。 Dynamightyが昨年プレイステーション4やiOS/Androidでリリースした『CounterSpy』(日本国内ではSCEから配信)は、ゲーム性もさることながらビジュアルスタイルでも非常に高い評価を受けました。ピクサーで多くの事を学んだというHolmes氏。デザインに対する考え方やピクサーでの経験について語りました。 Holmes氏は「良いデザインとは何か?」と聴衆に問いかけてこう答えます――「物語を支えるデザインこそが良いデザインである」と。これはピクサーの教えだと言います。 約10年間の
KANSAI CEDECの基調講演で、大阪芸術大学キャラクター造形学科長もつとめる漫画家の里中満智子氏が登壇し、「キャラクター造形とデジタルエンターテイメントについて」と題して講演しました。里中氏は日本人の文化的特性や自身のストーリーテリング論などについてユーモアを交えて語り、聴衆を魅了しました。 高校生でデビュー後、代表作『アリエスの乙女たち』『天井の虹』をはじめとして、漫画界の第一線で活躍し続けてきた里中氏。一方で公益社団法人日本漫画家協会常務理事、マンガジャパン代表、NPOアジアMANGAサミット運営本部代表など社会活動にも積極的で、外務省国際漫画賞審査委員長をはじめ、文化人・学識経験者としても幅広く活動を続けられています。 そうした経験から諸外国との漫画における文化比較について考えさせられることも多いという里中氏。講演は日本の漫画の特徴からスタートし、ストーリー性とオリジナリテ
本年1月にヤフーグループの一員として、新たにスタートしたGameBank株式会社。その指揮を執るのがCOO(最高執行責任者)をつとめる椎野真光氏です。これまでさまざまなオンラインゲームの開発を手がけてきた椎野氏に、ヤフーがゲーム開発に本格参入する狙いや、理想のゲーム像、会社が求める人材像などについて伺いました。 ―――簡単に自己紹介をお願いします。 前職はセガネットワークスで、代表作は『Kingdom Conquest』シリーズとなります。最終的には開発本部の戦略企画部長と、事業部の編成副部長をしていました。もともとセガでドリームキャストの立ち上げの頃から、一貫してオンラインゲームの開発に携わっていました。『サカつく』『やきゅつく』シリーズや、『龍が如く』シリーズのモバイル版などにも係わりましたね。 ―――率直にいって、セガネットワークスからヤフーに転職された理由はなんですか? ご
CEDEC 2014にて、株式会社ウェブテクノロジ代表取締役の小高輝真氏、フリーランスプログラマの東田弘樹氏によるセッション「工程の手戻りを最小限に 2Dエンジン活用における傾向と対策」が開催されました。 本セッションでは、2Dゲームを作成するために使いやすいゲームエンジンはどれか、という部分に焦点を当て、開発ツールとしての使いやすさ、完成したゲームの処理速度などを多面的に比較した情報が語られました。 ウェブテクノロジと言えば、「OPTPiX」シリーズを始めとしたゲーム開発ツールメーカーとして知られています。ただ本セッションはそれらをアピールするものではなく、純粋に世にある2Dゲーム向けエンジンを紹介・解説するという内容になっています。なお講演のスライドは、ウェブテクノロジのブログで公開していますので、そちらも合わせてご覧ください。 ■2DゲームエンジンはUnityとCocos2d-
ディー・エヌ・エーのビジネス・アナリティクス部に所属する野上大介氏は昨年に引き続いてCEDECに登壇し、ソーシャルゲームの世界で散見される誤ったデータの使い方について語りました。本セッションはスポンサードセッションにも関わらず超満員で立ち見が出るほどでした。 野上氏のビジネス・アナリティクス部では社内の各種分析や改善提案を行っているほか、複数の外部デベロッパーに対する分析のコンサルティングを主な業務としています。野上氏はゲーム業界でデータを見るときに「収益ばかりの話が目に付く」と苦言を呈します。「ゲームの規模が大きくなるにつれ、面白さをメンバーの阿吽の呼吸だけで維持するのは難しくなっています。そうした際にデータは便利な道具になります。ゲームが理想像に近づいているかを"データも"活用した分析をしていきたい」と語りました。 ■失敗1: リリース前のKPI予測 問題: リリース前にLTV(
任天堂、NFC機能を利用したフィギュア展開を発表 ─ 複数タイトルと連動し、新たな形のプラットフォームを提案 任天堂は、本日公開した決算説明会の社長発表において、ビデオゲームとの連動性を有する、NFC機能を埋め込んだフィギュア群の展開を公開しました。 NFCこと「Near Field Communication」とは、簡単に言えば「かざす」だけでデータ通信のやりとりを可能とするもので、昨今では電子マネーの決済などで活躍する場面が増えています。 キャラクターIPを積極的に活用していく方向性を明らかとしていた同社はこのたび、ライセンス事業の拡大と共に、キャラクターIP資産の新たな運用として、ビデオゲームとの連動性を含めたNFC機能を埋め込んだフィギュア群の展開を発表。同社はこの商品群を、「NFP」という開発コード名で呼び、NFP自身をプラットフォームとして捉える姿勢を露わとしました。NFP
ゲームが人にどのような影響を与えるのか、というのはゲーム開発者のみならず、心理学研究者、子どもを持つ親、教育者などからいつの時代も注目を浴び続けているトピックのひとつではないでしょうか。「デジタルゲームが人の認知機能に与える影響:ゲーム研究最前線 Todai Baba Game Lab」というショートセッションでは、東京大学大学院学際情報学府の吉川真人氏が、近年における認知機能とゲームの関連研究を紹介しました。 セッションは、この手の問題でつきものと言ってもいい「ゲーム脳」の話題から始まりました。2002年に出版された書籍『ゲーム脳の恐怖』は当時大きな話題を呼びましたが、その後、実験内容に問題があると指摘されているのは周知のことでしょう。吉川氏は『ゲーム脳の恐怖』の実験について、そもそも脳波パターンの考察や解釈に疑問点が多かったこと、テレビゲームの比較対照群が認知負荷の高いクレペリン検査
今回のGDCで任天堂は2つの開発者向けセッションを予定。最初に行われたのは「Nintendo Wii U Application Development with HTML and JavaScript」(HTMLとJavaScriptを使ったWii Uアプリケーション開発)と題したセッション。講師は任天堂の環境制作部の島田健嗣氏です。 Wii Uの最大の特徴であるWii U GamePadは、手元にある第2のスクリーンとして、テレビ画面と連携することによって、多くの人々と体験を共有しながら、操作性の良さを同時に実現することができます。任天堂は昨年末の発売から、ゲームソフトだけでなく、『YouTube』や『ニコニコ動画』、あるいは『Wii Street U』といったアプリケーションをリリースしてきました。これらは元々、ウェブサービスとして提供されているものですが、リビングでの体験へと変化
雑誌「WIRED」は、1993年に創刊されたテクノロジーが開拓する未来をテーマにすえた個性的な雑誌です。US版の編集長、クリス・アンダーソンはロングテールなどの概念を提唱するなどインターネット以降の我々の社会や文化に影響力を持つ人物です。近著の「MAKERS」では誰でも商品の製造が可能な「21世紀の産業革命が始まる」と提言、先日11月9日には日本での講演も行ないました(期間限定で動画も配信中)。 一方、日本版「WIRED」は、年4回雑誌の刊行を行なうと共に、テクノロジー、教育、医療、文化、ファッションといった様々なトピックについてウェブサイトで発信しています。今年2012年の4号目になるVOL.6では、『THE AGE OF GLOBAL GAMING』と題した特集において「ゲームの世界標準」を探っています。内容は日本のトップクリエイターの水口哲也氏の未来予測から、海外のゲームの最前線を
本コーナーの連載を開始してちょうど20回目となる今回は、ソーシャルゲームというものに対して世間一般の人々がどういった適性を持っており、またそれがどのように類型化されるかという、マクロ視点によるユーザーセグメンテーションデータをご紹介いたします。 以前にも述べたことがありますが、このようなテーマの調査では被験者それぞれの本人意思を単純集計するような手法ではなかなかその本質に迫ることは困難です。そこで、今回も多変量解析を用いたアプローチを試みました。 対象としたのは10歳から59歳までの男女約38,000名。ソーシャルゲームの経験有無はスクリーニング条件としていません。つまり、ソーシャルゲームを現在プレイしている人(現役ユーザー)、かつてはプレイしていたが今はやらなくなっている人(休眠、あるいは卒業ユーザー)、まだソーシャルゲームをプレイしたことがない人(未経験ユーザー)の全てを対象とした調査
前回は、クリプトン・フューチャー・メディア(以下、クリプトン)の熊谷友介氏から初音ミクが如何に誕生したのかを伺いました。そこで、「初音ミク」爆発的普及の背景にクリプトンの二次創作も含めた「クリエイティブな活動」に対するリスペクトのカルチャーがあったことが明らかとなりました。 これが新規キャラクターであった「初音ミク」の認知度を飛躍的に向上させるとともに、様々な企業とのコラボレーションを可能としたのです。その様々形のコラボレーションを果たしながら、その力は『初音ミク -Project DIVA-』シリーズとして本格的にゲームビジネスでも発揮(以下、『Project DIVA』シリーズ、『1st』、『2nd』、『extend』)。更に2009年8月31日、ミクFES'09(夏)で初音ミクはついに2次元の壁を飛び越えます。 最新3DCG技術を駆使しライブパフォーマンスを展開。大成功を収めたのです
コナミが発表した平成24年3月期第1四半期業績は、売上高549億1500万円(3.3%増)、営業利益70億2400万円(144%増)、税引前四半期純利益67億0600万円(173.5%増)、純利益40億4300万円(219.7%増)となりました。 売上高では僅かな伸びとなりましたが、利益率の高いソーシャルゲームが急伸したことにより利益を大きく押し上げました。主力であるゲーム等のデジタルエンタテインメント事業の利益率は前年同期の9.4%から23.2%になっています。 GREEやMobageで提供するソーシャルゲームの会員数は800万人を超え、中でも昨年9月からGREEで提供しているは『ドラゴンコレクション』は37週連続総合1位を獲得するなど、300万人を超えるユーザーを獲得しています。また、Mobageでは『戦国コレクション』を展開。150万人を突破しています。現在約10タイトルを展開し、第
3月3日の13時半より、著名なゲームデザイナーであり、GDC 2004 のGame Developers Choice AwardsにてLifetime Achievement Award(生涯功労賞)を受賞したMark Cerny氏によるセッション「Classic Game Postmortem - MARBLE MADNESS (クラシックゲーム総括 - マーブルマッドネス)」が行われました。 今回のGDC 2011の目玉企画の1つがこの「Postmortem」でした。『マーブルマッドネス』以外にも『パックマン』『ポピュラス』『プリンスオブペルシャ』『マニアックマンション』などといった歴史的名作のクリエイターが製作当時を振り返って語る、というセッションが多数用意され、古株の開発者には懐かしく、若い開発者にとっては憧れのクリエイターに会えるチャンスということもあり、プログラムの発表直後
仕事は好きだけど、今の会社に不満がある。ならばあれこれ悩むより行動に出て、環境を変えていこうという前向きな提案が「社内交流のススメ!得られる効果は無限大!?」でなされました。 長野賢司氏は株式会社スクウェア・エニックスに入社して2年。社歴が浅く、自ら「下っ端」であるといいます。そんな氏は、上司が部下を叱りつけることで近くにいる他の社員までもが「ダークな気分になる」ことなど、日ごろから不満を抱いていました。 不満には「我慢する」「避ける」「変える」の3つしか対応策はありません。「我慢」は辛くストレスを伴い、「避ける」は一時的な対処でしかない。となると、残された手段は・・・というわけで、長野氏は現状を「変える」行動に出ることにしました。 氏は「変える」ためのヒントや解決法を社内交流で見つけたといいます。同じように不満や悩みを持つ人たちと情報を共有することで、それらが得られるというのです。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く