武蔵小杉というと現在はタワーマンション街として有名だ。おかげで住みたい街としての人気も上昇し、私の調査でも横浜、川崎市居住で東京都に勤務する人に限ると24%が住みたいと回答し、横浜みなとみらいに次いで2位である。東横線、目黒線、南武線、横須賀線という4線が選べることにより、都心、副都心に直通で行けるのが人気の理由だろう。 タワーマンション街になる以前の武蔵小杉は、戦前から工場街だった。横須賀線と南武線は昔は貨物線であり、武蔵小杉、向河原駅周辺は日本電気などの多くの工場や東京銀行や第一生命のグラウンドなどが並んでいた。 東急東横線の武蔵小杉駅は戦前にはなく、今の同駅の南側に駅があり、駅名を「工業都市駅」(1939年開業。53年に武蔵小杉駅に統合されて廃止された)といい、今の駅の北側の南武線(当時は私鉄の南武鉄道)と交わる駅は「グラウンド前駅」(1927年開業)といったのである。 では武蔵小杉