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書評に関するlabochoのブックマーク (126)

  • 私たちがやったこと - 情報考学 Passion For The Future

    ・私たちがやったこと 受賞作「体の贈り物」で知られる現代アメリカ作家のレベッカ・ブラウン短編集。7の中から以下に印象に残った作品を3つ概要紹介。 表題作「私たちがやったこと」 「安全のために、私たちはあなたの目をつぶして私の耳の中を焼くことに合意した。こうすれば私たちはいつも一緒にいるはずだ。二人ともそれぞれ、相手が持っていないもの、相手が必要としているものを持っているのであり、二人ともそれぞれ、相手に何が必要なのか、相手をどう世話したらいいかが完璧にわかっているのだ。」 このに収められた連作はどれも満たされない愛、すれ違う愛、ほどけていく愛を幻想的に描いている。甘くはない愛のおとぎ話といった感じ。現代的。 レベッカ・ブラウンはレズビアン作家として知られている。作品には中性的なセクシュアリティの登場人物が多くて、読んでいて「この主人公は男かな、女かな」と明確な記述がでるまで落ち着かない

  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 東大、京大、北大、広大の教師が新入生にオススメする100冊

    毎年この時期になると、「東大教師が新入生にオススメするベスト100」という企画で紹介してきたが、飽きた。 ほとんど変わり映えしないリストにも飽きたし、毎年「ベスト1はカラマーゾフ!」とハヤすのも飽きた。カラ兄が最高であることはさんざん宣伝してきたから、皆さんご承知だろう(異論・反論大歓迎、これを超えるものがあるならね)。 だから、今回はスコープを広げてみる。 ■ この企画の趣旨 東京大学に限らず、新入生を迎えるにあたって、センセイたちは思うところがある(はずだ)。ゼミにくる前に、せめてこれぐらいは読んでおいてもらいたいと望んだり、若かりしころハマったで自分語りをしてみたり。そうした願望を吸い上げているところもいくつか見つけた。以下のとおり。 リスト1 「北海道大学教員による新入生への推薦図書」 リスト2 「京都大学新入生に勧める50冊の」 リスト3 「広島大学新入生に薦める101冊」

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 東大、京大、北大、広大の教師が新入生にオススメする100冊
  • 心の起源―生物学からの挑戦 - 情報考学 Passion For The Future

    ・心の起源―生物学からの挑戦 心とは何かを科学者が哲学的に探究する。面白い。 著者は記憶こそ心の基であるという。記憶には想起、記銘、保持といった機能が生物学的に備わっている。こうした記憶の照合作用から、時空(位置や時間の堆積)、論理(原因と結果の堆積)、感情(快不快の堆積)という3つの基的な枠組みがでてくる。そしてさらに統合能力としての統覚が、記憶の中の離散的なもの(時刻、位置、事象、快苦)の中から連続的なもの(時間、空間、因果律、好悪)を見出し、世界の認識に至る。 著者のアプローチは心を物質に還元しない。物質世界、生物世界、心の世界が入れ子構造になっているが、それぞれの世界に独自の法則が働いていると考える。心も遺伝子の乗り物と考えるようなドーキンス的アプローチとは一線を画す。 まず各世界を特異点(開闢)、基要素、基原理、自己展開といったキーワードで分析していく。物質世界の自己複製

  • 聖家族 - 情報考学 Passion For The Future

    ・聖家族 正月休みに、何かにとり憑かれたかのように読んだ長編。紛れもない大傑作である。2段組730ページの分厚いだがこの体積の中には一つの宇宙が丸ごと取り込まれている。今、絶対的に圧倒的な作品を読みたければ、まずこれである。特別賞だ(何かの)。 日の歴代の支配者達は古代から明治になるまで、鬼門の方位にある異民族を制圧する将の意味である「征夷大将軍」を名乗ってきた。その抑圧と抵抗の東北の歴史の中で、不思議な魂の交信能力を脈々と受け継いできた青森の名家 狗塚家の700年間にも及ぶ年代記だ。 現代の狗塚家に生まれた三兄弟、牛一郎、羊二郎、カナリア。牛一郎は行方不明。死刑囚として牢屋にいる羊二郎と、先祖や胎児と話す能力を持つカナリアの二人を中心に物語が語られる、超越的な語り手によって。この語り手は人間ではないだろう。それは東北の土地そのものといえる。土地に残された過去の記憶が、なにも知らずに今

  • 考えることの科学―推論の認知心理学への招待 - 情報考学 Passion For The Future

  • 視界良好―先天性全盲の私が生活している世界 - 情報考学 Passion For The Future

    ・視界良好―先天性全盲の私が生活している世界 先天性全盲である著者が、聴覚、触覚、嗅覚をフル稼働させて、どのように世界を認識しているかを書いた。この表現が適切かどうかわからないのだが、”目から鱗が落ちる”記述の連続である。そして面白い。 生まれてから世界を一度も見たことがない著者にとって、見えないということは何かが欠落しているということではない。視覚ナシで全方位の世界認識を確立しているわけであり、その視界は常に良好なのである。 著者の日常生活の記述は、視覚アリの人にとっては、非日常であり、驚きと気づきの連続である。たとえば「目が見える人が絵を描くとき、目で捉えられないものは描かないという話は私にとって大きな衝撃でした」という一文から、世界認識の大きな違いが見えてくる。 このは、日々の生活や幼少時代を振り返った短いエッセイで構成されている。それぞれのエッセイには、読者を引き込むトピックが

  • 「いき」の構造 他二篇 - 情報考学 Passion For The Future

    ・「いき」の構造 他二篇 日民族独自の美意識「いき(粋)」とは何かについて書かれた昭和5年の古典。 このにでてくる表現としての「いき」についての記述を集めてみた。 「まず横縞よりも縦縞の方が「いき」であるといえる」 「縞模様のうちでも放射状に一点に集中した縞は「いき」ではない」 「模様が平行線としての縞から遠ざかるに従って、次第に「いき」からも遠ざかる」 「一般に曲線を有する模様は、すっきりした「いき」の表現とはならない」 「一般に複雑な模様は「いき」ではない」 「幾何学的模様に対して絵画的模様なるものは決して「いき」ではない」 「「いき」な色彩とは、まず灰色、褐色、青色の三系統のいずれかに属するもの」 これだけだとよく分からないが、ビジュアル表現として、何らかの二元性を内包していないと「いき」ではない、ということなのである。 それはいきの構造と関係がある。 まず「いき」とは、男女の関

  • Subject To Change -予測不可能な世界で最高の製品とサービスを作る - 情報考学 Passion For The Future

    ・Subject To Change -予測不可能な世界で最高の製品とサービスを作る ユーザーエクスペリエンス重視のコンサルティング会社として有名なAdaptive Path社のメンバーが執筆した製品開発の方法論集。イノベーション創造型ベンチャーの経営指針として有益なヒントになりそう。 「マーケティングの世界では、顧客が事実上ヒツジとして見られている。多数意見と宣伝文句という卓越風によってあっちこっちへと流される従順でのろまな生き物だ。人間に対するこうした見方が、何百万というフォーカスグループや市場調査を生み、追跡に熱中し、またポジショニングやパッケージ、広告などによって嗜好に影響を与えようという試みを引き起こした。」 多くの企業がユーザー調査から導かれる答えにばかり頼ってしまうのは、自分の考えで冒険するよりもリスクが少なくて、提案を通しやすいからという事情もありそうだ。調査結果に基づく提

  • 戦場の生存術 - 情報考学 Passion For The Future

    ・戦場の生存術 1942年生まれ、1961年慶応大学在学中に傭兵部隊の一員としてコンゴ動乱に参加、その後、フランス外人部隊教官を経て、アメリカ陸軍特殊部隊に加わる、というプロフィールの日人傭兵が書いた、正真正銘のサバイバル術。そんじょそこらの趣味的サバイバルとはレベルが違う。 前半では実戦の常識が語られる。たとえば敵の数の把握の仕方として足跡からの推測法などが紹介されている。山で遭難したとか、外国で誘拐されたとき、など非常事態に使える(かもしれない)ノウハウとして参考になる(ような気がする)。 「アメリカ陸軍の方式は、かなり人数がいても正確に出る。すなわち75センチから90センチ程度の間隔の線を、足跡がたくさんあるあたりに引く。それから線にひっかかっているのを含め、すべての足跡を算え、その総数を単純に2で割る。これでやると何と18人くらいまでほとんど確実に割り出すことができるのだ。」

  • 予想どおりに不合理 - 情報考学 Passion For The Future

    ・予想どおりに不合理 面白い。 人間は伝統的な経済学の理論ほど合理的な決断をしていない。だがその不合理な行動は十分に系統だって予想可能なものである。それが「予想どおりに不合理」というタイトルの意味である。消費者行動を操る心理学。 値の張るアントレをメニューに載せると、それを注文する人がいなくても、レストラン全体の収入が増える。5000円と3000円のコースが2つだけしかなければ安い3000円が売れるが、8000円のコースを加えると5000円を選ぶ人が増えるからである。メニューの作り方だけで消費者行動を操る実例がいくつも示されている。 たとえば25ドルのペンを買うときには7ドル安い店が近くにあれば移動してそちらで買う。しかし2000ドルのスーツを買うときには1993ドルの店が近くにあっても、今いる店で買うだろう。大きな買い物をするときは端数部分の金額の大きさが気にならなくなってしまう。 社会

  • ビラヴド - 情報考学 Passion For The Future

  • 草祭 - 情報考学 Passion For The Future

  • なおみ - 情報考学 Passion For The Future

    ・なおみ 6歳の女の子と日人形の「なおみ」が古い洋館で過ごした少女時代の記憶。谷川俊太郎のひらがなの詩と、幻灯のように暗くざらざらした質感の沢渡朔の写真が、トラウマになりそうな強烈な印象を残す。 1982年出版の伝説的な絵の復刻。ある種のダークファンタジー。大人向け。おしゃれなカフェの棚に置いておくのに向いていそう。 「 なおみは いる わたしの うまれる ずっと まえから なおみは いた わたしのそばに 」 人形は変わらない。けれど少女は成長していく。人形と心が通うのは、ほんの短い間のこと。その出会いと別れのつかの間を見事に映像化した。思い出の中で凍結された時間のギャラリー。 なおみの無表情で真っ白な顔とまっすぐに凝視するまなざしが怖い。少女とだけ心が通じて会話をしているように見える。少女の生に照射されて人形は魂を帯びたように映る。死んでいるのか、生きているのかわからないのが怖いの

  • 人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く - 情報考学 Passion For The Future

    ・人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く 経済合理性という視点から世の中の仕組みを鮮やかに解明した名著。「ヤバイ経済学」級のおもしろさ。いきなり「アメリカでは、オーラル・セックスをする未成年の割合が10年間で2倍に増えたのはなぜか」から始まってびっくりするが至って真面目なである。 合理性は人類の行動のあらゆる場面を支配している。たとえば、きまぐれに思える男女の出会いも案外、合理的だ。お見合いパーティを統計的に分析すると男女のマッチングに法則が見出されるという。 「たとえば男性は太りすぎていない女性を好む。そうだとするとある夜のスピードデートに太りすぎの女性がいつもの数の二倍参加したら、その夜はデートを申し込む男性が少なくなるはずだ。ところがそうはいかない。男性陣がデートを申し込む割合はまったく変わらないのである。そのため、太りすぎの女性が二倍居ると、デートに誘われる太りすぎの

  • グラウンデッド・セオリー・アプローチ―理論を生みだすまで - 情報考学 Passion For The Future

    ・グラウンデッド・セオリー・アプローチ―理論を生みだすまで 来はフィールドワーク研究手法のだがビジネスマンが読んでも学べる部分が多い。分析の方法がわからない現象をどうひも解いていくかの考え方が見えてくる。 質的研究とは現象に関しての先行研究の蓄積が少なく変数が把握されていないときに用いられる研究手法のこと。対象へのインタビューや参加観察、手記や自伝、手紙、カルテなどの資料の読み込みを通じて、背後にある概念を抽出し、概念同士の関係を解明して理論にする。内容分析、KJ法、現象学、マイクロ・エスノグラフィー、ナラティブ・アプローチなど質的研究手法と並んで有力な手法が書のテーマ「グラウンデッド・セオリー」である。 「グラウンデッド・セオリー・アプローチは、データに基づいて(grounded)分析を進め、データから概念を抽出し、概念同士の関係づけによって研究領域に密着した理論を生成しようとする

  • もはや心理物理学 - 書評 - 心の脳科学 : 404 Blog Not Found

    2008年12月11日17:00 カテゴリ書評/画評/品評Medicine もはや心理物理学 - 書評 - 心の脳科学 中公新書編集部より献御礼。 心の脳科学 坂井克之 その曖昧でおとなしい書名と、そして典型的な中公新書の地味な装丁からは想像できないほど、鮮やかで艶やかな一冊である。なにしろ、修辞抜きで心の動きを観ているのだから。 書「心の脳科学」は、むしろ「心理物理学入門」とでも呼ぶべき一冊。 夢を「見る」のも夢じゃない!? 脳血流から画像再現、ATRが成功 : 経済 科学 ピックアップ : 関西発 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) というニュースが日出たが、書に詰まっているのは、こういう知見である。 目次 - 手入力 第1章 外の世界、内の世界 第1節 未来の脳社会 第2節 脳の中の世界地図 第3節 脳のアナリスト 第4節 見ることと、見えること) 第2章 「わたし

    もはや心理物理学 - 書評 - 心の脳科学 : 404 Blog Not Found
  • 刑務所の前 - 情報考学 Passion For The Future

    ・刑務所の前 (第1集) 猟奇的にして耽美的な作風で知られる異才の漫画家 花輪和一。私はこの人の漫画はほとんど保有している。花輪氏は90年代、モデルガンの趣味が高じて改造銃や実銃の所持で逮捕されたことはよく知られている。出所後に懲役3年の体験を漫画「刑務所の中」として描いたら、ヒットして映画にまでなったから。 「刑務所の中」は私も読んでいたのだが...。「中」でお腹いっぱいになり、「刑務所の前」という作品はもういいやと思って、買い忘れていた。ところが、むしろ、こちらの方がずっと花輪らしくて面白いのである。 ・刑務所の前 (第2集) もともと花輪作品の真骨頂は時代モノ。刑務所体験漫画などではない。江戸時代とか平安時代を舞台に、陰惨でドロドロした男と女の因縁や怨念を描くことにかけて、日有数の凄い人なのだ。自分を主人公に獄中生活を綴った「刑務所の中」のようなドキュメント漫画は飽くまで余技のはず

  • 情報革命バブルの崩壊 - 情報考学 Passion For The Future

    ・情報革命バブルの崩壊 ITバブルが崩壊どころか世界経済がやばいという昨今的状況ですが「書のテーマは、これら金が余っていたころに作られた情報革命のルールが、これから金が干上がっていくとき、どう変わっていくのかを見定めることにある。」という切り口で、ネット論客として知られる切込隊長山一郎氏が書いた新書。濃い週刊誌の巻頭特集記事×5みたいでタイムリーに面白かった。買うなら今なだ。 ・ネット空間はいつから貧民の巣窟に成り下がってしまったのか? ・ネット無料文化は終わる ・ソフトバンクの崖っぷち経営 など刺激的な論調が満載なわけだが、私が共感した部分は筋ではないような部分なのだけれども、2か所抜き出してみる。 まず一つ目は、新聞というメディアについて。そういえばちょうど朝日新聞が創業130年にして初の赤字決算というニュースが先日あった。そんな中で新聞各社の差別化について隊長はこう語る。

  • 「信用偏差値」―あなたを格付けする - 情報考学 Passion For The Future

    ・「信用偏差値」―あなたを格付けする 大変面白かったです。 今年後半でよく使うようになった電子マネーのnanaco。自宅と会社近所のセブンイレブンでほぼ毎日使う。いま確認してみたらポイントが(利用料金の約1%与えられる)が900円を超えている。いつのまにか10万円近く使っていることに気がついた。これにSUICA、家電量販店等のポイントを加えると年間に数十万円も、私はいわゆる電子マネーを利用しているのだった。 このによるとクレジットカードショッピング取扱高は毎年10%程度の割合で伸びている。2006年時点での総額が34兆円。発行枚数は2.9億枚で国民一人当たり二枚以上は持っている。これに対して電子マネーは2007年度に8444億円、2008年度に1兆3783億円、2012年には3兆2695億円に拡大すると見込まれている。クレジットカードと比較すると規模はまだ小さいがクレジットカードは月2.

  • 限界芸術論 - 情報考学 Passion For The Future

    ・限界芸術論 「今日の用語法で「芸術」とよばれている作品を、「純粋芸術」(Pure Art)とよびかえることとし、この純粋芸術にくらべると俗悪なもの、非芸術的なもの、ニセモノ芸術と考えられている作品を「大衆芸術」(Popular Art)呼ぶこととし、両者よりもさらに広大な領域で芸術と生活との境界線にあたる作品を「限界芸術」(Marginal Art)と呼ぶことにして見よう。」 鶴見俊輔の基準でわけていくと、 バレエ、歌舞伎、能は純粋芸術 ロカビリーやチャンバラのタテは大衆芸術 日常生活の身ぶりや労働のリズムは限界芸術 絵画は純粋芸術 紙芝居やポスターは大衆芸術 らくがきや絵馬や年賀状は限界芸術 詩は純粋芸術 大衆小説俳句は大衆芸術 手紙やゴシップやタナバタは限界芸術 他には、祭り、盆栽や酒の飲み方や遊女の身のこなし、花火、5千年前のアルタミラ洞くつの壁画などが限界芸術に相当する。宮沢賢