2016年9月10日、オランダのINGグループ傘下ING銀行がルーマニア・ブカレストに設置していたデータセンターで、極めてまれな障害が発生した。ガス消火設備の定期試験で発生したガス噴射音のため、サーバーとストレージに障害が発生。この結果、ルーマニア国内でのカード取引、ATM取引、インターネットバンキング、Webサイトなどが影響を受け、約10時間にわたって多くの取引が処理できなくなった。 今回の障害の原因と目されるのが、消火ガスの噴射で発生する「騒音」だ。ルーマニアのデータセンターに何が起きたのか。日本のデータセンターでも発生し得る事象なのか。専門家の解説を基に読み解く。 飛行機のエンジン並の大音量 ING銀行のブカレストのデータセンターは9月10日午後1時(現地時間)、データセンター内の火災発生に備え、ガス消火設備の定期試験を実施した。ガス消火設備とは、化学反応を起こしにくい不活性ガスをフ