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生物と本に関するlaislanopiraのブックマーク (104)

  • 『6度目の大絶滅』が今まさに進行中 - HONZ

    ニューヨークの観光名所アメリカ自然史博物館の一角に、生物誕生後の35億年の間に起きた5度の大絶滅を紹介する展示物がある。その展示物の銘版には、過去5度の絶滅は、隕石衝突含む地球規模の気候変動によっておきたものと解説され、そしてそれに続いて驚くべき一文が続く。「現在、6度目の大絶滅が進行中であり、今回の原因はひとえに人類が生態系の景観を変えたことにある」と。 約6500万年前の白亜紀末に恐竜ふくむ全生物種の70%が絶滅した大量絶滅にひとしい事態が今まさに起こっている。書では、『ニューヨーカー』紙記者の著者が世界のいたるところで起こっている生物の大量死の現場に赴き、それぞれの大量死の謎に迫っていく。そして書読者は、書を読み進めるうち、今回の大絶滅は私たち人類が知らず知らずのうちにひき起こしていることに徐々に気づかされることになる。 著者の現場への旅は中米パナマ共和国に生息する黄金のカエル

    『6度目の大絶滅』が今まさに進行中 - HONZ
  • 『ファーマゲドン』訳者あとがき by 野中 香方子 - HONZ

    バタリーケージ、クレート、ソウ・ストール。これらの言葉の意味を読者の皆様はご存じだったでしょうか。 バタリーケージとはブロイラー用のケージで、1羽あたりの面積はA4用紙1枚ほど。卵を集めやすくするために金網の床は傾斜しています。 クレートは子牛用の狭い檻で、子牛は向きを変えることも、体を伸ばすことも、横たわることもできないまま半年を過ごし、「柔らかく白い子牛肉」となって出荷されます。 ソウ・ストールは妊娠した雌豚用の、狭い檻で、豚は出産までの4カ月間、自らの排泄物がたまった床からわずか10センチ上のすの子状の床の上で、立ったり座ったりすることしかできません。家畜は、EUでは1997年になってようやく「繊細な感覚を持つ存在」だと認められましたが、その大半は今もこのような檻に閉じ込められています。 著者は、慈善団体、コンパッション・イン・ワールド・ファーミング(世界の家畜に思いやりを)のメンバ

    『ファーマゲドン』訳者あとがき by 野中 香方子 - HONZ
  • 『猪変』 イノシシはそこにいる! - HONZ

    シカやイノシシの被害で地方は悲鳴を上げている。その声は毎年大きくなり、もはや断末魔の様相を呈している。昨日の日農業新聞には、イノシシの処分に頭を悩ます福島県相馬市のニュースが出ていた。 東京電力福島第1原子力発電所事故に伴う出荷停止が続き、捕獲したイノシシの行き場がなく、相馬市では冷凍庫に入れて一時保管してしのいでいる。捕獲しても処分先がないためだ。狩猟税などコストも掛かることから狩猟者が減り、イノシシの生息数や生息域は広がり鳥獣被害は増加、狩猟者の負担は重くなるばかり。現場からは「この先、狩猟は続けられるのか。見通せない」などと切実な声が上がっている。2015 2.5日農業新聞 田畑の農作物を荒らすサル、シカ、イノシシを退治するには、現状では駆除するしか方法がない。その地域だけ囲い、侵入を防いだにしても、山がやせ細ってしまっている以上、被害はほかにいくばかりだ。野菜を植えても、収穫時

    『猪変』 イノシシはそこにいる! - HONZ
  • 『あんなに大きかったホッケがなぜこんなに小さくなったのか』 - HONZ

    ホッケの干物といえば居酒屋メニューの定番。大皿にもおさまらないくらい大きくて、仲間たちとワイワイつつく魚。家で焼こうとしようものなら、魚焼きグリルからしっぽがはみだしてしまうような。 ところが、そのホッケがいま、年々小さくなっているという。それこそアジの干物ほどの大きさに。しかも値段は高騰、居酒屋メニューのような庶民の味ではなく高級魚になってしまったというのだ。たしかに言われてみると、スーパーの鮮魚売り場で見かけるホッケは、こじんまりと品よく高い。なぜこんなことになったのか。 ホッケの漁獲量が減ってしまったのだ。もはや海に大きなホッケはほとんど見当たらなくなっているという。1998年の20万トンをピークに、2011年にはなんと!75%減のたった5万トンになってしまった。獲りすぎたのだ。 こうして獲りすぎて、いなくなってしまった魚はホッケだけではない。マイワシ、ニシン、マサバ、ウナギ…。クロ

    『あんなに大きかったホッケがなぜこんなに小さくなったのか』 - HONZ
  • 『生命の惑星 ビッグバンから人類までの地球の進化』でサイエンスリテラシーを鍛える - HONZ

    6,000円を超える価格、700ページに迫るボリューム、頻出する数式や化学反応式。このの表面的な特徴だけに着目すれば、購入までのハードルは随分と高い。しかし、このにはその価格以上の価値が間違いなくある。終盤まで読み進める頃には、「もっと読んでいたい」と思わずにはいられないストーリーがある。そして、この世界の成り立ちと仕組みを深いレベルで理解できる喜びがある。是非書店で書を手に取り、第一章だけでも読んで欲しい。続きが気になって、その足はいつの間にかレジへと向かっているはずだ。 書は、“Global Warming(地球温暖化)”という言葉を生み出した地球化学者ウォリー・ブロッカーによって1984年に出版された『How to Build a Habitable Planet』(邦題『なぜ地球は人が住める星になったか?』)の増補新版である。増補新版とはいっても、20年以上の月日で進歩した

    『生命の惑星 ビッグバンから人類までの地球の進化』でサイエンスリテラシーを鍛える - HONZ
  • 『現実を生きるサル 空想を語るヒト』際限なく広がる思考 - HONZ

    動物に人間の心を映し、親しみを覚える。これは普段誰もが何気なくやっていることだろう。ペットの行動に癒されたり、近所の野良に話しかけたり、動物園で気怠そうなライオンに同情したり……。振る舞いを人間的に解釈することで、彼らを身近に感じている。 こうした擬人化は、動物だけでなく物質や自然現象にまで及ぶ。「空が泣いてる」なんて言い方も聞くほどだから、動物の行動を人間に喩えるのはまだ自然なことなのかもしれない。 しかし書のように、「人間と動物の心のギャップ」を厳密に検証するとなると、一歩引いた冷静な見方が求められる。賢馬ハンスのような例を挙げるまでもなく、人間は動物の行動を大げさに解釈しがちだ。かといって、何でもかんでも疑ってかかっては、秘められた能力を見落としかねない。 観察された行動が高次で「複雑な」能力を示しているのか、もっと低次で「単純な」能力として説明できるのか、その見極めは難しい。プ

    『現実を生きるサル 空想を語るヒト』際限なく広がる思考 - HONZ
  • 『進化とは何か?』by 出口 治明 - HONZ

    「私たちはなにもので、どこから来て、どこへ行くのだろう」有史以来人間はずっとこの根源的な問いを考え続けてきた。人間は動物で星のかけらから作られている、そして進化を続けてきて今日の姿になったのだ、ということを現在の僕たちはよく知っている。僕たちが宇宙論や生物学や進化論が好きなのは、きっとどこかに自身のルーツを確かめたい気持ちがあるからに違いない。 書は、とりわけ個性的な天才学者、ドーキンスによる進化論の講義である。しかもただの講義ではない。1825年、ファラデーはロンドンの王立研究所でティーンズを対象にクリスマスレクチャーを始めた(ファラデーの「ろうそくの科学」という名レクチャーは、世界各国で翻訳されている)。この実演をふんだんに取り入れることで有名なクリスマスレクチャーに、ドーキンスも呼ばれたのである。書はその5回にわたるレクチャーを再現したものである。 第1章「宇宙で目を覚ます」。人

    『進化とは何か?』by 出口 治明 - HONZ
  • 『進化とは何か』編・訳者あとがき by 吉成 真由美 - HONZ

    「何かについてすべてを学び、すべてについて何かを学ぼうとせよ」 「きっぱりと決断して行動し、その結果を引き受けよ。優柔不断は何   の良い結果も生まない」 ──トーマス・ヘンリー・ハックスレー 「私たちはスポットライトの中で生きている」とドーキンスは言う。「『現世紀』というのは膨大な時間の流れの中の小さな一スポットライトに過ぎない」のだと。 このフレーズは、シェークスピア悲劇『マクベス』の中の “To-morrow, and to-morrow, and to-morrow”で始まる有名な一節を想起させる。マクベスの野望をかりたててきた夫人の死を知らされ、忍び寄る自身の最後を思いながらマクベスが独白する。 明日、また明日、そしてまた明日が 一日一日、ひたひたとしのびよる 過ぎ去りし時間の尻尾を目指して そしてすべての昨日は、バカどもに火をともし 死して塵となしてきた 消えろ、消えろ、はかな

    『進化とは何か』編・訳者あとがき by 吉成 真由美 - HONZ
  • 『現実を生きるサル 空想を語るヒト』人間らしさを知ることは、社会の未来を見据えること - HONZ

    ヒトとその他の動物を隔てるものは何か?それを様々なアプローチで描き出していくのが、書『現実を生きるサル 空想を語るヒト』である。人間らしさの根源を突き詰めることは、すなわち人間と機械の共生が叫ばれる現代社会の将来を占うことにも、つながっていくのかもしれない。 ビックデータやIT関連書籍の翻訳を数多く手がけられ、また「シロクマ日報」などのブログでも知られる小林 啓倫さんに、書のレビューを寄稿いただきました。(HONZ編集部) 企画や営業、開発など、世の中には無数の仕事がありますが、その大部分は「人間」を相手にしています。開発の仕事でも、開発されるモノが人間によって使われるのであれば、間接的にであれ人間を相手にしていると言えるでしょう(だから人間工学のような研究が存在するわけです)。そう考えると、私たちは日々仕事を通じて、人間とは何か?という問いを突きつけられているのではないでしょうか。

    『現実を生きるサル 空想を語るヒト』人間らしさを知ることは、社会の未来を見据えること - HONZ
  • そこは地上の楽園か?――『動物園の文化史 ひとと動物の5000年』(他)/今週のオススメ本 / シノドス編集部 - SYNODOS

    そこは地上の楽園か?――『動物園の文化史 ひとと動物の5000年』(他) 今週のオススメ / シノドス編集部 情報 #動物園の文化史#溝井裕一#日政治とメディア#逢坂巌 今回紹介するは動物園にスポットを当てた『動物園の文化史』です。先史時代から古代ローマ、中世ヨーロッパ、ナチスドイツ、現在まで、動物園を通してヨーロッパの自然観、動物と人間との関係を紐解いています。 そう書くと、ちょっと難しそうですが、特筆すべきは、随所にちりばめられているユーモラスな(ちょっと残酷な)エピソードの数々です。 たとえば、神聖ローマ皇帝のフリードリヒ二世は大規模な動物コレクションを有していました。しかも彼は諸地域を訪問する際、ライオン、トラ、ゾウやラクダを連れてまわり、さらに、「英国王ヘンリー三世の妹の結婚したときも、動物たちが華をそえた」というのです。(「動物が華をそえた」という表現を、書ではじめて目

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  • 「生物を好きになる教科書」が好きだから:日経ビジネスオンライン

    成毛 眞 成毛探偵社代表 1955年生まれ。書評サイトHONZ代表、インスパイア取締役ファウンダー、スルガ銀行社外取締役、早稲田大学ビジネススクール客員教授、元マイクロソフト社長。2014年、成毛探偵社代表に就任。 この著者の記事を見る

    「生物を好きになる教科書」が好きだから:日経ビジネスオンライン
  • 『赤の女王 性とヒトの進化』 男と女のラブ進化ゲーム - HONZ

    時代、地域や人種の壁を超えて共通する「人間の性」とは、どのようなものなのか。そして、その性はどのようにもたらされたのか。性の進化を理解することが、これらの謎を解く鍵であると著者は説く。 いくらでも多くの子孫を残せる男と、出産に多大なコストのかかる女。異なる戦略を持つ2つの性の軍拡競争にも似た競い合いは、人類の誕生から数百万年間休まず続いている。なにしろ、異性を魅了し子孫を残さなければ、自らの遺伝子は消えてしまうのだ。狩猟採集生活では一夫多は珍しく、農耕生活では一夫多がありふれたものであることなどを通して、男と女の進化を支えた戦略を理解すれば、性を巡る争いとしての恋愛がもっと上手になる、かもしれない。 「人間の性」という壮大過ぎるとも思われるテーマに挑む著者マット・リドレーの特徴は、その圧倒的な証拠の収集力とそれを1つのストーリーにまとめあげる論理の構築力にある。書においても、知

    『赤の女王 性とヒトの進化』 男と女のラブ進化ゲーム - HONZ
  • 絵筆を捨てて自然に学べ『子どもに伝える美術解剖学』 - HONZ

    著者の布施英利先生が行う絵画教室はとてもシンプルだ。絵筆を置いて、自然へと繰り出す。そして自分のはらわたが疼くのを確認したら、素直に絵に描いて表現しよう。「そんなに簡単に言われても」、と困るかもしれないが、自分を表現するには、自然を目の前にして、自分の中で何が起こっているのかを理解しなければならない。 書は2000年10月に『絵筆のいらない絵画教室』として刊行されたものが文庫化されたものだ。著者が養老孟司教授や三木成夫教授のもとで学んだ美術解剖学をベースに、人の身体・心がどのように進化してきたのか、その過程で絵を描くのは何を意味するのか、そしてなぜ自然が必要なのかを、言葉を噛み砕き、丁寧に教えてくれる。 美術解剖学とは、どのような学問なのだろう。それは古代ギリシャやエジプトまで遡るほど古い歴史がある。作品として花を咲かせたのはルネサンス期、代表画家はレオナルド・ダ・ヴィンチ。布施先生曰く

    絵筆を捨てて自然に学べ『子どもに伝える美術解剖学』 - HONZ
  • 高校教科書で教養を鍛え直すぞ!:日経ビジネスオンライン

    9月になって、2014年も残り3分の1に突入した。今年もいろいろなことがあったなとしみじみ思う。 ロシア・ソチで冬季五輪が開催され、インドネシアではケルート山が噴火した。 ウクライナではヤヌコヴィッチが失脚し、マレーシア航空370便は消息を絶った。プーチンはクリミアの編入を宣言し、チリ沖では地震が発生し韓国ではセウォル号が沈没した。タイではインラック首相が失職し、トルコの炭鉱では爆発事故が起きた。パキスタンの空港ではテロが起き、ブラジルではサッカーワールドカップが開催された。スペインでは新国王が誕生し、「イスラム国」なるものが生まれ、イスラエルはガザに侵攻した。 そして、西アフリカではエボラ出血熱が流行している。 オジサンの会話は愛、ではなく曖昧に満ちている 遠い目をしてS巻が言った。 「エボラ出血熱、またの名をエボラウイルス病……。ウイルスといえば、ウイルスは生物ではないと教わったときに

    高校教科書で教養を鍛え直すぞ!:日経ビジネスオンライン
  • 『エピジェネティクス』を理解するために パート2 - HONZ

    昨日に引き続き、「青木薫のサイエンス通信」番外編をお送りいたします。第2回は、エピジェネティクスを紹介する仲野徹のスタンスについて。サイエンスにも、身につけなければならない「構え」というものがあるのです。第1回はこちら 私が仲野さんの『エピジェネティクス』を読み始めてすぐにわかったのは、仲野さんという人は、巨人の肩の上に立って、立ちションをするような人ではないのだな、ということでした。 「巨人の肩」の話は、みなさんご存知のことと思います。アイザック・ニュートンが「もしも私がどうこう見ることができたのなら、それは巨人たちの肩の上に立っているからなのです」と言ったことは、知らない人でも知っているくらい有名ですね。そしてニュートンのそのフレーズは、シャルトルのベルナールの言葉を歌とする、歌どりであることもまた、よく知られているのではないでしょうか。 しかし、シャルトルのベルナールが実際何と言

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  • 『イマドキの動物ジャコウネコ』『裏山の奇人』-東海大学出版部「フィールドの生物学」の裏側 - HONZ

    はじまりはいつも研究所や大学の研究室といった仕事場に出向き、打合せをする。内容はほぼ執筆の依頼で、初対面である場合が多い。その際、私は事前に相手の方について下調べをほとんどしない。他の人から聞いたイメージをもって話をすることを避けたいからだ。なので、お目にかかるときには不安と期待でドキドキする。それは何度経験しても、相手がどんな方であろうとも同じで、ここで紹介するフィールドの生物学シリーズの著者についてもそうだった。 ところで私は創刊時から企画に携わってきたが、そもそもこのシリーズは、私のボスIと著者との話からはじまったものだ。宣伝チラシには「研究者が自身の体験談をふまえ、その楽しさ、苦労、醍醐味など研究者でしか得られない自然界やフィールドの魅力を伝えていくシリーズで、このを読んで、自然とそこに棲む生きものたちに興味をもち、将来、私たちの後継者となってくれることを期待します。(著者を代

    『イマドキの動物ジャコウネコ』『裏山の奇人』-東海大学出版部「フィールドの生物学」の裏側 - HONZ
  • 抱腹絶倒!ただの変人か、南方熊楠の再来か?『裏山の奇人』 - HONZ

    生き物に魅せられた怪しい男が、近所の裏山から地球の裏側までを徘徊する 変質者に対する注意喚起の看板ではない。れっきとした大学出版会が出したの帯に記載された宣伝文である。 しかもタイトルが『裏山の奇人』。「怪しい男」であり「奇人」でもあるその人こそ、書の著者・小松貴氏。アリと共生する生物・好蟻性生物の研究者で、『アリの巣の生きもの図鑑』の著者の一人でもある。(土屋敦の絶賛レビューはこちら。) 書は、卓越した自然観察眼の持ち主である著者が、さまざまな生きものたちと対等な目線でつきあう、いうなれば「現代の南方熊楠活動記」、もしくは「日版ソロモンの指輪」。描かれる生きものたちとの関わりは、抱腹絶倒の短編エッセイ集のようでもある。 2歳にしてアリヅカコオロギを同定し、小学生にしてスズメバチが飛んできて餌をねだるようになるまで手なづける。大学の裏山では夜の森で生きものたちを待ち伏せし、目の前で

    抱腹絶倒!ただの変人か、南方熊楠の再来か?『裏山の奇人』 - HONZ
  • わたしたちは星の材料でできている『あなたのなかの宇宙』 - HONZ

    宇宙を知るには、望遠鏡をのぞき、古生物を知るには、顕微鏡をのぞく。プレートテクニクス、または地球温暖化について知るには、私は何を理解すれば良いのだろう。自然科学は、理解に達すればロマンチックだが、それまでの過程が難しくて、なかなか進まない。特に、宇宙は物理や化学が大の苦手な私には手の届かない場所だった。 でも書を読んで、宇宙のビッグバンについて、はじめて理解出来た気がした。ビックバンで生まれた様々な原子が私の体を作っている。そのなかの電子の取引が、エネルギーを生み出し、分子同士を結合させているからだ。そういう意味で、ビッグバンと私たちの体は多いに関係している。『あなたのなかの宇宙』を見つけるには、天文学、古生物学、解剖学、地質学、遺伝学等、一気に視野を広げ、好奇心の赴くままに書を読むのがいちばんだ。 副題は、「生物の体に記された宇宙全史」である。137億年前のビッグバンから、太陽系、月

    わたしたちは星の材料でできている『あなたのなかの宇宙』 - HONZ
  • スパコン「京(ケイ)」はカイコ蛾脳の夢を見るか 『サイボーグ昆虫、フェロモンを追う』 - HONZ

    素直に驚いた。こんなことができるのか。こんなおもろい研究があるのか。若い頃に戻れたら、こういう研究をしてみたい。いずれ役にたつ、と書かれているが、そんなことはどうでもいい。純粋におもろい研究だ。 絹産業の歴史があるので、いまはかなり廃れているとはいえ、カイコ蛾を用いた研究は日のお家芸だ。産業的な利用だけではない、絹糸の主成分であるフィブロインというタンパクの遺伝子発現や、最近では、性決定のおもしろいメカニズムなど、世界に誇りうる基礎的な研究も多い。 残念ながら日人による発見ではないが、フェロモンの存在が最初に示されたのはカイコガである。そして、カイコガのフェロモンは、日からドイツへと送られたメスのカイコガ50万匹から純化され、化学的構造が決定された。 あの人はフェロモン系だ、とかいうことはあるけれど、幸か不幸か、ヒトにフェロモンはない。フェロモンというのは、異性を誘引する物質であり、

    スパコン「京(ケイ)」はカイコ蛾脳の夢を見るか 『サイボーグ昆虫、フェロモンを追う』 - HONZ
  • 『危険動物との戦い方マニュアル』オレはオニヒトデに勝てるのか - HONZ

    夏休みに恋人や家族と出かけた先でクマに出くわしたら、どう対処するか。ヘビに遭遇したらどう振る舞うか。こうした、真木よう子にいきなり求愛されるくらい小さい確率を気にかけてしまう妄想力が逞しいあなたにおすすめなのが書だ。いつもは家族の前では読めないばかり紹介している私だが、今回は世間が夏季休暇の直前と言うこともあり、家族と一緒に楽しめる一冊を紹介したい。 表紙を見て分かるように、子供を意識したつくりである。子供から大人まで楽しめると書いてある。実際、文の漢字には平仮名でルビがふられており、小さな子供でも読める。「こども扱いかよ」と突っ込まれそうだが、残念ながら、私も含めて世の成人の多くは、書で紹介されているクロドクシボグモとセアカゴケグモの区別もつかないはずだ。アマゾンでのハンティングが趣味なタフガイ以外こので十分に足りる。 計72の動物ごとに体の大きさ、生息地、襲われた時の危険性や

    『危険動物との戦い方マニュアル』オレはオニヒトデに勝てるのか - HONZ