「つまみ食いを我慢できる子は将来成功する」「目を描いた看板を立てると犯罪が減る」――。有名な心理学の実験を検証してみると、再現できない事態が相次いでいる。望む結果が出るまで実験を繰り返したり、結果が出た後に仮説を作り替えたりする操作が容認されていた背景があるようだ。信頼を失う恐れがあり、改めようとする動きが出ている。ノーベル賞のパロディー版として人気がある「イグ・ノーベル賞」は9月、ドイツの心
2019年3月で近畿大学を退職しました。 先日の行動経済学会で「今どういう状態なのか?」という問い合わせを山ほど受けたのと(ありがとうございます)、友人や共著者に「山根はいま何をしているのか」という問い合わせが殺到している現状を鑑み、自分できちんと発信しておこうと思ってこれを書いています。 問い合わせを受けまくった友人・共著者たち、お手数をおかけしました…。今後はこのURLをそっと差し出してください。 読むのがだるい人向けQ&A Q. 今どういう状態なの? A. フリーランスの研究者をしています。複数の民間企業と業務委託契約を結び、コンサルやデータ分析などをして面白いデータと日々触れ合っています。近々法人化の予定です。 Q. 研究者をやめたの? A. やめてません。むしろ研究者に戻るために大学をやめました。 Q. なぜ近大をやめたの? A. いやになったから Q. 日々どう? A. 最高
こういう一冊を待っていた。松下貢著『統計分布を知れば世界が分かる』である。経済学ではリスクの扱いが要になる。経営者が利益を最大化すべく合理的に設備投資をするには、リスクを期待値として見積れなくてはならない。ところが、リスクは、分散が大きくなると対応が著しく困難になり、分散が無限大に発散するベキ分布では期待値の計算すら不能になる。それでは、実際の設備投資の変動はどういったものなのか。松下先生の手法を使いながら検証してみよう。 ……… 設備投資のようなマクロ経済のデータは、せいぜい月次のため、分布を描けるほどの数を揃えるには無理がある。そこで役立つのが、松下先生の提唱する「ランキング・プロット」という手法である。これを使うと、鉱工業の接続指数(1978.1~2017.12)の480個という限られた数でも、滑らかな累積分布関数の曲線を描くことができる。この手法を用い、資本財生産(除く輸送機械)の
『誰が科学を殺すのか 科学技術立国「崩壊」の衝撃』(毎日新聞出版) 著者:毎日新聞「幻の科学技術立国」取材班 吉野彰氏のノーベル化学賞受賞という「良いニュース」の一方、名だたる科学者はこぞって「もう日本はノーベル賞を獲れない」と危機感を募らせています。 「経済最優先」の陰で着実に進行する「科学研究の破壊」は、一体誰が、なぜ実行しているのでしょうか? STAP細胞「捏造」事件など数々のスクープを放つ、毎日新聞科学環境部による書籍『誰が科学を殺すのか』の抜粋をお届けします。 ◆「選択と集中」はここから始まった! 小泉・竹中改革の何が問題だったのか? ◇「寝耳に水」の交付金削減 「私は賛成です。国立大学でも民営化できるところは民営化する、地方に譲るべきものは譲る、こういう視点が大事だ」 〇一年五月の参院本会議。民主党議員に「思い切って国立大民営化を目指すべきでは?」と問われた小泉純一郎首相の答弁
著者:毎日新聞「幻の科学技術立国」取材班出版社:毎日新聞出版装丁:単行本(ソフトカバー)(256ページ)発売日:2019-10-28 ISBN-10:4620326070 ISBN-13:978-4620326078 吉野彰氏のノーベル化学賞受賞という「良いニュース」の一方、名だたる科学者はこぞって「もう日本はノーベル賞を獲れない」と危機感を募らせています。 「経済最優先」の陰で着実に進行する「科学研究の破壊」は、一体誰が、なぜ実行しているのでしょうか? STAP細胞「捏造」事件など数々のスクープを放つ、毎日新聞科学環境部による書籍『誰が科学を殺すのか』の抜粋をお届けします。 「選択と集中」はここから始まった! 小泉・竹中改革の何が問題だったのか? 「寝耳に水」の交付金削減「私は賛成です。国立大学でも民営化できるところは民営化する、地方に譲るべきものは譲る、こういう視点が大事だ」 〇一年五
敗因は「人材の流動性」なのか アメリカ発のイノベーションが、日本よりも多いことは否めません。例えば、『人類の歴史を変えた発明1001』『世界の発明発見歴史百科』『1000の発明・発見図鑑』の3冊にリストアップされた404個のイノベーションの内訳を見ると、アメリカが279個と圧倒的1位で、次点のイギリスが53個、日本は24個で第3位となっています(ちなみにドイツは12個、フランスは7個)。 日本がアメリカに大きく後れを取っている原因の1つとして、近年の経営学で盛んに指摘されているのが、日本の「人材の流動性」が低いことです。日本では1つの企業でずっと働き続ける人が多く、多様性も少ない。会社のビジネスが陳腐化したとしても、なかなか清算できない。自社の既存ビジネスの強みを破壊するようなラディカルなイノベーションに挑戦する人が少ない、などの指摘が繰り返されてきました。 では、日本の流動性はどの程度低
文部科学省は9日、国立大学の教育研究や経営改革の成果を相対評価して運営費交付金を傾斜配分する新方式について、2019年度の各大学の評価結果を公表した。全86大学のうち16大学については、引用回数が多い論文をより低コストで生み出せた大学を高く評価。東京工業大が最も高い評価を受け、計4大学の交付金を上積みした。19年度の交付金の総額は18年度と同額の1兆971億円。各大学の規模などに応じて交付する
レオナルド・フィボナッチ『インドの九つの数字は9、8、7、6、5、4、3、2、1である。これら九つの数字とアラビアではzephiriumと呼ばれる記号0でもって、以下に示すように、任意の数字を表すことができる。』 (山本義隆著「一六世紀文化革命 1」P318よりレオナルド・フィボナッチ著「”Liber abaci”算数の書」(1202年:未邦訳)冒頭の山本による邦訳を孫引き) この一節で始まる1202年の数学書「”Liber abaci”算数の書」の発行が世界史上の画期であることは誰しもが認めるところだろう。商人で数学者のフィボナッチことピサのレオナルドは、本書でアラビア数字のイタリアへの導入、同時にそれらを用いたイスラム社会の十進法での整数と分数の計算方法を解説、最初の回帰数列であるフィボナッチ数列の考案、歴史的には修辞代数に分類される代数学の提唱などをまとめ、当時の商業数学の集大成であ
僕は #詐欺グラフ が何よりの大好物で、ネットやテレビで変なグラフを見かけるたびにニヤニヤしながらフォルダに保存しています。保存先のフォルダ名はズバリ「#詐欺グラフ」。 そんな詐欺グラフの世界を皆さんに共有したいと思い、筆をとりました。(2024/2/6 update) ネタ記事として、順次、ツッコミながら読んでいただければと思いますが、同僚や上司部下、取引先の「詐欺グラフ」に気づけるようにもなるため「ビジネススキルUP」にもつながるおトクな記事としても読むことができます 詐欺グラフとは詐欺グラフとは、一般的なグラフの作り方とは異なる「演出」を加えることによって意図的に錯誤を狙うグラフ のことを指しています。本来、単なる羅列では直感的に理解しづらい数値等を分かりやすく表現するものがグラフであるわけですから、自分の主張を誇大に伝えるために読み手を誤解させる詐欺グラフはかなり悪質なものと言える
日本の可能性を奪う「予算脳」の正体~限られた財源のもと節約ばかり… 今はもっと財源を求めてもいいのでは? 福祉や学術といった短期的に「成果」が出にくい事業に携わる機関には、公的な資金で活動をしている人々が少なくありません。なかには、決して金銭的に潤沢とは言えない環境に苦しんでいる人もいますが、彼らは限られた財源のなかでどうやりくりするかにばかり気を取られ、「新たな財源」を求めるという発想を持ちづらいように見えます。 しかし、それは健全なことでしょうか。社会学者の稲葉振一郎氏はこうした節約への固執を「予算脳」と呼んでいます。節約ではなく、むしろ新たな財源を求めることの可能性、そしてそうした要求をしてもよい、と言える条件について考えます。 「予算脳」という言い回しを最近私は時々用いているのだが、これについて書いてくれ、というのが今回のご注文であるので、この言葉づかいの意味を、というよりこの言い
「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である」。このダーウィンの名言を、若いビジネスパーソンへのメッセージとして援用する経営者は多い。 感じ方は人それぞれだと思うが、個人的にはサイエンスの理論を曲解し、都合よくビジネスに利用しようとする姿勢に違和感を覚えてしまう。 人間が自らの意志だけによって、自分たちの思う方向へ人体を進化させてきたというなら話は別だ。しかし自然淘汰における突然変異という概念や、適切な時期に適切な場所にいたことによる幸運という要素が、そこからはすっぽりと抜け落ちている。 本書の著者は、このような現象を「経営文学」と名付け、痛烈に批判する。経営学とは本来は社会科学の領域に属するはずのものだ。しかし、欧米などから輸入された経営論のスローガンが情念的な言葉の衣をまとい、意訳・誤訳されたまま流布するというケー
ソ連で生まれた1100代目の「ハエ」が、なぜ注目されているのか:水曜インタビュー劇場(45年以上前公演)(1/7 ページ) 耳元でプーン。オフィスや家のなかで、ハエが飛んでいてイライラしたことがある人も多いのでは。汚いイメージもあるので、「この世からいなくなればいいのに!」と思ったことがあるかもしれないが、そのハエに“お宝”が眠っているかもしれないのだ。 「はあ? なにバカなことを言ってるの? ハエは害虫。百害あって一利なし」と突っ込まれそうだが、なにもテキトーなことを言っているわけではない。福岡市に本社を構える「ムスカ」という会社が、ハエの一種「イエバエ」の幼虫を利用して、飼料や肥料を大量生産する予定なのだ。 ムスカといえばアニメ『天空の城ラピュタ』に登場するムスカ大佐を想像するかもしれないが、この会社はどんなことをしているのか。ひとことで言えば、選別交配を繰り返しているだけ。 「繰り返
政府は実現性は低いが成功すれば大きな成果が期待できる「ムーンショット型」と呼ばれる野心的な研究を後押しする。2018年度の第2次補正予算案に1千億円規模を盛り込む方向で検討に入った。産業や社会を一変させる可能性のある大胆な研究を推進し、将来の成長につなげる狙い。平井卓也科学技術相は30日の閣議後の会見で1千億円規模という金額について「具体的な数字は確定していない」としたうえで「そういう数字を目
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く