インディーゲームイベントを数多く取材していると、“売れるかはわかんないけど、イベントでめっちゃ盛り上がって強いゲーム”ってのがあるもんです。先日サンフランシスコで行なわれた“Day of the Devs”でみんな遊んで楽しんでいたのが、インタラクティブアートなどを手がけてきたJonah Warren氏による『Sloppy Forgeries』。

かつてタイにサパーンレックと呼ばれる、非合法のビデオゲームコピー市場として名高い場所があった。運河の上に市場が形成されていたというロケーションも含め、まさに闇市場としての禍々しいイメージを想起させた場所だ。現在はタイ政府によって一掃されてしまったという。 こう書いているが、筆者も結局のところ文献でのみ知っているにすぎない。だが国内にて無秩序で、禍々しく得体のしれない磁場を持つ場所にビデオゲームの取材として訪れたとき、真っ先に思い出したのはその逸話だった。 それは「現代美術ヤミ市」というイベントだ。7月21日~22日にかけて開催された。主催はカオス*ラウンジの黒瀬陽平氏。「ゲンロン8 ゲームの時代」にて賛否が分かれた座談会などでご存知の方も多いだろう。 「日本には現代美術のマーケットが無い、と言われる。」という問題を語り、「そもそも現代美術は、ゴミのようなものを芸術にする力を持っている。 そ
ゲームアートとは何か 「ゲームアート」とは一体なんだろう。「ゲームアート」あるいは「game art」というキーワードで、Googleで画像検索をしてみると、薄靄のかかった幻想的な風景や、いかついライフルや大剣を持って立っている、鎧や甲冑に身を包んだ人物たちのイラストが数多く表示される。その画像の参照先のサイトを閲覧すれば、どれも実際に販売され、流通しているビデオゲームに関係したイラストであることが分かる。 これらのイラストは、ゲームが制作されるなかで、その制作チームに所属するデザイナーたちが、ゲームの世界観や登場するキャラクターを描いた資料であったり、パッケージやWebページのために描いたイラストだ。コンピューターゲームの進歩と認知を目標にする非営利団体、Academy of Interactive Arts & Sciencesが運営するアワード「Into The Pixel」は、そう
『ゼルダの伝説 BotW』Nintendo Switch版パッケージ画(左)、カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ《雲海の上の旅人》1818年 ハンブルク美術館 ハンブルク(右)。 カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ(1774-1840)……ドイツのロマン主義を代表する画家。1818年に描かれた風景画《雲海の上の旅人》は、ドイツロマン主義を代表する傑作とされる。 (左画像はAmazon | 『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』より) 画面構成に注目すると、リンクの身体が縦長の画面の横の辺を、水平線が縦の辺をほぼ2等分している。さらにリンクの身長と足元の岩の高さは縦の辺の長さのおよそ3分の1。 つまり空、リンク、足元の岩で画面を3等分しているわけだ。幾何学的で安定した堂々たる構図である。 高山の岩の上に立ち、鑑賞者に背を向け、眼前に広がる険しい山々を見据える男。そして幾何学的な画面構成
文化庁メディア芸術祭、アート部門大賞は「Interstices / Opus I – Opus II」、アニメ部門は「この世界の片隅に」、「夜明け告げるルーのうた」ダブル受賞 今年で21回目となる「文化庁メディア芸術祭」の受賞作品が決定した。今回は過去最多となる世界98の国と地域から4192作品が寄せられた。 受賞者と審査委員 第21回文化庁メディア芸術祭 アート部門大賞 『Interstices / Opus I - Opus II』 Haythem ZAKARIA© Haythem Zakaria アート部門の大賞受賞作品は、チュニジア生まれ、フランス在住のアーティスト、Haythem Zakaria(ヘイサム・ザカリア)の映像インスタレーション『Interstices / Opus I – Opus II』。砂漠の風景を捉えた静的な「Opus I」と、海の風景を捉えた動的な「Opu
ゲームは、現代を代表する表現形式である。疑うならば、電車に乗れば良い。子どもも大人も、スマホを開き、ゲームに興じている。 これだけの大勢が日常的に接しているメディアである。人々の感性や認識に影響を与えないわけはない。しかし、そうであるにも関わらず、これまで、批評・研究は、正当な目を注いで来なかった。その理由は、人類が手に入れた新しい表現形式・メディア・芸術であるゲームの正当な価値を見誤ってきたからでもあるし、既存の方法論ではゲームを論じることが困難であった、という理由にも拠るだろう。 ゲームは、少なくとも映画が払われてきたのと同じぐらいには、注目され、論じられてしかるべき表現である。映画も生まれてまだ一〇〇年ちょっとしか経っていない新しいメディアであり表現形式であり、最初は単なる見世物であり神経を刺激するだけのものと考えられてきたが、二〇世紀における映画・映像が、単なる娯楽に留まらず、人々
相磯桃花は1993年大阪府生まれ。映像作品や平面作品をメインに、これまで2014年の「LITTLE AKIHABARA MARKET」(ROPPONGI HILLS A/D GALLERY)や、2016年の「BOYS LOVE」(新宿眼科画廊)をはじめとする多数のグループ展で作品を発表。また、雑誌『美術手帖』2016年8月号のメインビジュアルや、アイドルグループ「バンドじゃないもん!」メンバーによるソロ楽曲のメインビジュアルを務めるなど、活躍の場を広げている。 相磯の描く「萌え絵」と称されるアニメ調のキャラクターは、たんなる絵のクオリティの高さや可愛さだけで成立することなく、冷静な視線で暴かれていく自意識や承認欲求に加えてどこか不穏な空気を漂わせる。 「 私がした暴力 」と題された本展では、「キャラクターへの暴力」をモチーフにした作品を発表。育成ゲームなどにみられるプレイヤーによるキャラク
(ヴァルキューレたちは)戦死者たちの魂を集めて、それをオーディンの雄大なる楽園へと運んでいく。天井が黄金でできていて、たいまつではなく抜き放たれた剣の数々に照り映えるそこの「戦死者の大広間」、ヴァルハラで、戦士たちは夜明けから日暮れまで戦った。そのなかで斃れてしまった者たちもふたたび生き返り、そこで一同は神の宴を共にし、不死の猪の肉や角の盃に盛った尽きない蜂蜜酒をふるまわれた。 ――J.L.ボルヘス、M.ゲレロ著『幻獣辞典』、項目「ヴァルキューレ」より ゲームのなかに展開される虚構世界は、いつもヴァルハラめいている。RPGでも、FPSでも、STGでも、私たちはあらゆる魂をはじめからやりなおし、あらたな戦いに向かうことができる。先日、日本語版がリリースされた名作「VA-11 Hall-A」も、この類型の例外ではない。しかしその手段は、こんにちのビデオゲームにおいて、もっとも先進的なものだ。
ブラックマーケット――という言葉をご存じだろうか。 おそらく、多くの日本人には馴染みがないものだろう。違法コピーされたゲーム、密輸入されたゲームハード、ジェイルブレイクされたスマホ、さらには日用品や食品……あらゆる違法なものが集まる市場であり、実は世界のあらゆる国に存在している。その中には、大規模に展開しているものもある。 今回、世界のゲーマー事情を訊く連載「世界は今日もゲーマーだらけ」第二回で取り上げたいのが、この「ブラックマーケット」である。……と聞いても、多くの読者は、「そんな話、知って何か意味あんの?」と思うかもしれない。そこで本文の前に、一つマーケティング用語を紹介したい。それはBOP(Base of pyramid)という言葉だ。 BOPの人口を示した図 (画像はBOPビジネス支援センターより) これは年間所得が購買力平価(PPP)ベースで、3000ドル以下の低所得層を指す言葉
情報コンテンツサービス終了のお知らせ 2020年9月30日(水)をもちまして、以下コンテンツを終了いたしました。 【終了するコンテンツ】 Zing! 長らくご愛顧いただきました皆さまに感謝を申し上げますとともに、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。 トップページ - サイトマップ - お問い合わせ
とはいえ、この収録が行われた夜から、既に半年近く。 大変に恐縮ながら原稿の仕上がりが遅れてしまっている間に、VRを巡る状況は随分と変わってしまった。「VR体験を家庭にもたらす」として登場したPS VRは、今も世界的に品薄状態が続いている。現在もほとんどの人は家庭でVR体験が出来ないままだ。その状況で、このインタビューのテンションが、どう読者の目に映るかはやや不安でもある。 だが、その間にも『Rez Infinite』は数少ないPS VR体験者の間で、今も熱狂的なファンを生み出し続けている。あたかも「未来のコンテンツ」を幻視させる“オーパーツ”であるかのように――。その後、この作品は北米のゲームアワード「The Game Awards 2016」で「Best VR Game」を受賞。世界的にも高い評価を得るに至った。 (画像はThe Game Awards 2016 – Watch The
文豪とアルケミストと小林多喜二と日本共産党 - Togetterまとめ 『文豪とアルケミスト』というオンラインゲームで、近代文学の小説家(が現代に転生したもの)がキャラとして多数登場している中に小林多喜二も含まれており、それについて新聞『赤旗』が好意的に取り上げたところ、そのゲームのファンの一部が「政治利用だ」と憤慨しているという話。 それに対し、「小林多喜二はそもそも共産党で‥‥」などのツッコミが多数入っている。言い換えると、「元キャラの背後のコンテクストやコンセプト知ってるの?」。 一種の「断絶」である。 最初は「そういう文脈知らなくてゲームやってて面白いのかな」と思ったが、よく考えてみれば文脈込みで楽しむというのは、この「動物化するポストモダン」の時代には今や古典的態度だ。 「自分たちの好きなもの(蟹のハサミ持った「元反逆児」のキャラという虚構)が、嫌いなもの(左翼という現実)に紐付
Miltos Manetas Miracle(1996) http://miltosmanetas.com/filter/After-Videogames/MACHINIMA-Miracle-1996 Supermario sleeping(1997) http://miltosmanetas.com/filter/After-Videogames/VIDEOS-AFTER-VIDEOGAMES-1997-Supermario-sleeping Feng Mengbo Ah_Q (2002) http://www.artelectronicmedia.com/artwork/ahq https://www.youtube.com/watch?v=bnyRUmEKa2I Long March(2010) https://www.youtube.com/watch?v=tUhMPfMGwRA
2010年に『LIMBO』がリリースされて以来、白黒の影絵グラフィックで描かれた残虐な冒険は強烈な印象を与えてきた。全世界で300万本以上売り上げたこともさることながら、後のインディーゲームシーンでも未だにフォロワーは出続けている。 今でも『LIMBO』の影響下にある作品が溢れている6年後の現在、制作したplaydeadの新作『INSIDE』は『LIMBO』から一体どう変わり、どんなアプローチによって作られたのだろうか? アートスタイルで語られる緻密なストーリー ゲームをスタートすると、まず少年が森の中で駆ける。この冒頭のシークエンスこそ『LIMBO』を想起させるが、次の瞬間から全く別物であることがわかる。少し進むと森の奥から自動車の光が木々の合間を縫うように差し込む。車から降りた男たちが何かを探しはじめる。反射的に少年は身を屈める。おそらく彼らは自分を探しているのだ。 そう、『INSID
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く