今日は,今私たちがおります京都の町と水運との関係を主に,京都が都になった8世紀末から15世紀あたりまでを視野に入れてお話ししていこうと思います。 京都が都になる以前には,都は京都の南にあります奈良にありました(地図1)。奈良は大仏で有名な東大寺や世界遺産に指定された法隆寺があるところです。京都が平安京として都になったのは794年で,それ以降1868年の明治維新により東京に都がうつるまで,1000年余りのあいだ京都は日本の都でありました。 京都は内陸部の都市ですから,日本に於ける水運の要だったといえば,不思議に思われるかもしれません。まず,(地図1)により,京都の地理的な位置を,水運という観点から確認したいと思います。 京都の西には,隣接する大阪府から西に瀬戸内海が広がっています。瀬戸内海は,本州,四国,九州という日本列島を構成する島々に囲まれて,波も比較的穏やかで,製塩地,森林地帯,農産地