いま国会の特別委員会で、社会保障・税一体改革関係法案の審議が進んでいる。政治的争点の一つは、消費税を5%から10%に引き上げる税制改革法案である。 消費増税を巡っては、1)低所得層ほど消費税の負担が重いとされる「逆進性」、2)その対策としての「給付付き税額控除(負の所得税)」や「軽減税率」、3)インボイスの導入可否、4)マクロ経済に及ぼす影響、5)社会保障財源としての是非、などが議論されることが多い。 「消費税=比例賃金税」の同等性 このうち、1)は見かけ上の問題にすぎない。生涯を通じて見れば、「逆進性」は基本的に存在しない。家計間での遺産・贈与の移転が少ない経済では、「消費税=比例賃金税」という関係式が成立するからだ。比例賃金税は、労働所得の多寡を問わず、労働所得に対して同じ比率で課す税金のこと。すなわち「逆進性」は存在しない。 これは、遺産・贈与を受け取ることのない個人の生涯消費計画(