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ブックマーク / honz.jp (25)

  • 『そろそろ、人工知能の真実を話そう』シンギュラリティ仮説の背後にうごめくもの - HONZ

    『そろそろ、人工知能の真実を話そう』シンギュラリティ仮説の背後にうごめくもの解説 by 西垣 通 2010年代後半に入って、AI(人工知能)ブームの過熱ぶりは凄まじい。とりわけ、 その中核にあるシンギュラリティ(技術的特異点)仮説は、現代のグロテスクな神話と言ってもよいだろう。書『そろそろ、人工知能の真実を話そう』(原題は Le mythe de la Singularité、 2017)は、シンギュラリティが実際に到来するかどうかを冷静に見極めるだけでなく、 その背後にある文化的・宗教的なダイナミックスを、「仮像(pseudomorphose)」という概念にもとづいて容赦なくえぐり出してみせる。きびしい警告の書物である。 だが、著者は決してAI技術自体を否定しているのではない。むしろ、来のAI技術が、 シンギュラリティという怪しげな神

    『そろそろ、人工知能の真実を話そう』シンギュラリティ仮説の背後にうごめくもの - HONZ
  • 『非モテの品格 男にとって弱さとは何か』ルサンチマンを超えた先にあるもの - HONZ

    タイトルを見て思わず手に取った。面白そうだと思ったのではない。憤慨したのだ。 はっきり言って私はモテない。メディアに出れば、ネットの掲示板には「ブス」という心無い言葉が流れる。だから、モテないことには一家言もっている。 だが、このタイトルには全く同調できなかった。 男はたとえ生まれ持った容姿に恵まれなくとも、筋肉をつけ、身なりに気を使い、学歴や財力、権力、そして小粋なトークでもできれば、間違いなくモテるようになれるだろう。これら全ては後天的な努力で手にすることができるものばかりだ。努力が足りないだけなのに「弱さ」とは一体何事かと憤りながらページをめくった私は、後頭部を殴られるような衝撃を受けた。 「ふと、自殺した友人や知人たちの顔を、今でも思い出すことがある。」という書き出しから始まる冒頭には、社会の期待するマッチョな男性像に絡め取られ、声を上げることもできないまま死を選んでしまう男性たち

    『非モテの品格 男にとって弱さとは何か』ルサンチマンを超えた先にあるもの - HONZ
  • 『少女の私を愛したあなた 秘密と沈黙15年間の手記』 成就できない愛、そして執着 - HONZ

    この話が小説ならよかったのに。小説なら、おぞましいながらも美しい悲劇として描けるものを。 7歳の夏、著者のマーゴ・フラゴソは彼女が育ったニュージャージー州ユニオンシティのプールで51歳のピーター・カランに出会う。精神の病を抱える母と、その母と娘を養うために働く父、ルイ。しかし口を開けば罵倒しかできない父親から逃れるため、母娘は逃避先を探していた。偶然出会ったピーターは親切だった。彼の家に招かれると、そこは動物たちの楽園だった。ゴールデンリトリバーとコリーのハーフ犬、ポーズに心を奪われ、珍しいオウムやワニに興味を示すマーゴ。家の中で怯えながら過ごしていた母、キャシーはピーターの前では寛ぎ、夫の暴力や自分への仕打ちを告白できるのだった。 しかしその家はピーターのものではなかった。同居してるイネスというヒスパニック系女性とそのふたりの息子のもので、ピーターは元錠前師の器用さを重宝がられ、居候さな

    『少女の私を愛したあなた 秘密と沈黙15年間の手記』 成就できない愛、そして執着 - HONZ
  • 『たのしいプロパガンダ』 大衆煽動は娯楽の顔をしてやってくる - HONZ

    タイトルに違和感を持つ人は多いかもしれない。政治宣伝を意味する「プロパガンダ」と聞けば、権力者を讃える映像や音楽を嫌々に観たり聞いたりする印象が強い。そして、その映像は退屈きわまりなく、楽しいわけがないからだ。 書を読めばその考えは一変する。ナチスはもちろん、欧米や東アジア、そして日でかつて展開されたプロパガンダの実例が豊富に並ぶが、「プロパガンダの多くは楽しさを目指してきた」と著者は語る。銃を突きつけるよりも、エンタメ作品の中に政治的メッセージを紛れ込ませ、知らず知らずのうちに特定の方向へ誘導することこそ効果的だろうと指摘されれば、確かにその通りだ。 中でも、「プロバガンダの達人」として紹介されるのが、北朝鮮の故・金正日。北朝鮮と言えば、将軍様を讃える映画や個人崇拝の歌の数々が頭に浮かぶ。「どこが達人なんだ!」と叫びたくもなるだろうが、金正日の発言からは意外にも硬軟交えて人民を操縦し

    『たのしいプロパガンダ』 大衆煽動は娯楽の顔をしてやってくる - HONZ
  • 『信頼はなぜ裏切られるのか―無意識の科学が明かす真実』 - HONZ

    信頼の裏切りがニュースにならない日はほとんどない―最近では、フォルクスワーゲンが排ガス規制を逃れるために不正なソフトウェアを搭載していたことが発覚し、ドイツ自動車業界の信頼性が揺らぐ事態となった。そうしたことがニュースになるのは、信頼の裏切りが社会に重大な影響を与えるからだが、逆に言えば、人間社会は信頼の上に成り立っていると言ってもよく、信頼はあらゆる人間関係―プライベートでもビジネスでも―において根をなしている。信頼の重要性は誰でも認めるだろうし、信頼は誰にとっても身近なものだろう。 しかし、「信頼」は手強い代物でもある。なぜなら、人を信頼するということは、自分の運命や成功を一部なりとも人の手に委ねるということなので、そこには当然リスクがあるからだ。自分には自分の、他者には他者のニーズがあって、それらはぶつかり合うし、それぞれのニーズも刻々と変わっていく。人生で成功するためには、単に誰

    『信頼はなぜ裏切られるのか―無意識の科学が明かす真実』 - HONZ
  • 『世界を破綻させた経済学者たち 許されざる七つの大罪』 - HONZ

    主流派経済学にひそむ欺瞞 2008年にアメリカで勃発した金融危機は、起きるべくして起きた出来事ではあった。 リスクが大きいローン債券を証券化した「デリバティブ」(金融派生商品)が主役を演じたバブル崩壊劇であったが、そんな危険物を扱う市場を透明にしようとする努力はクリントン政権時にわざわざ禁止されていた。個々のトレーダーたちは成功すれば莫大な報酬を得る一方、失敗してもダメージは比較して小さい仕組みだったから、おのずと高リスクの取引にのめり込んでいった。なかでも証券の値下がりリスクに備える保険商品であるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)は住宅市場の過熱とともに住宅ローン担保証券の損失に対して広く用いられるようになっていたが、検査が厳格でなく、しかも発行者には準備金を積み立てる義務がなかったため、保険大手のAIGが保証金の

    『世界を破綻させた経済学者たち 許されざる七つの大罪』 - HONZ
  • 『慈悲深き神の食卓 イスラムを「食」からみる 』 - HONZ

    カイロの道端で著者は「それまでの生涯で見た一番粗末な事(パンと小さな一束のネギ)」をしている男性2人から手振りで「いっしょにべないか」と誘われる。その仕草はごく自然であった。著者の眼は啓かれる。ムハンマドは「二人前のべものは三人に十分である」と語り残したではないか、と。書は、「」を通して、ともすれば誤解のされやすいイスラムの教えの質に迫ろうとする力作である。 イスラムのと言えば、厳しい物禁忌から連想される制限の多いきわめて禁欲的な事、あるいは千夜一夜の物語から思い浮かぶ手の込んだ料理の並ぶ贅沢な卓のイメージが連想されるが、クルアーン(コーラン)は、「べたり飲んだりしなさい。だが度を越してはならない」と中庸を教えているのである。 「同じ習慣をもつことによって、集団的アイデンティティが成立、存続するのは一般的である」のだから、何もイスラムが特殊なわけではない。日にも多

    『慈悲深き神の食卓 イスラムを「食」からみる 』 - HONZ
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    プロレスには人生の大切な全てが詰まっている!『パパはわるものチャ... 2018年09月23日 プロレスは人生の縮図だ。 人生では勝つことも負けることもあるけれど、勝ってばかりだと面白くないし、反対に負けてばかりでもやるせない。 絶対に勝たなければいけない時もあるし、勝ちを譲った方が良い場面...

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  • 【連載】『世界の辺境とハードボイルド室町時代』第3回:信長とイスラム主義 - HONZ

    信長とイスラム主義 高野 僕は、清水さんが書かれているような歴史を読んでヒントを得て、現代のアジア・アフリカの辺境のことを想像することが多いんです。やっぱり現地の人の気持ちを理解するのはとても難しいし、特に紛争地となると、外国人である僕が何度通って話を聞いても、真相はなかなかわかるものじゃない。確信めいたものをつかむのはすごく大変で、そこに至るヒントとしては日史の知識がすごく役に立つと思っているんです。 清水 それは責任重大だ(笑)。 高野 たとえばアフガニスタンでもソマリアでも、内戦のさなかに「イスラム主義」の過激派がどーっと出てきますよね。そのときの感じは、織田信長が出てきたときの感じに近いんじゃないかなって、ちょっと思っているんですね。 というのは、人々は初めからイスラム主義を支持していたわけじゃないんだけども、国内に戦国武将みたいな連中がたくさんいて、それぞれ争っていると、暮

    【連載】『世界の辺境とハードボイルド室町時代』第3回:信長とイスラム主義 - HONZ
  • 【連載】『世界の辺境とハードボイルド室町時代』第2回:「バック・トゥ・ザ・フューチャー」 未来が後ろにあった頃 - HONZ

    人気ノンフィクション作家・高野 秀行と歴史学者・清水 克行による、異色の対談集『世界の辺境とハードボイルド室町時代』。第2回は「「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ーー 未来が後ろにあった頃」について。未来の指す方向から読み解く、時間と空間の転換点とは?(HONZ編集部) ※第1回はこちら 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ーー 未来が後ろにあった頃 清水 日語に「サキ」と「アト」という言葉があるでしょう。これらはもともと空間概念を説明する言葉で、「前」のことを「サキ」、「後ろ」のことを「アト」と言ったんですが、時間概念を説明する言葉として使う場合、「過去」のことを「サキ」、「未来」のことを「アト」と言ったりしますよね。「先日」とか「後回し」という言葉がそうです。 でも、その逆に「未来」のことを「サキ」、「過去」のことを「アト」という場合もありますよね。「先々のことを考えて……」とか、「後

    【連載】『世界の辺境とハードボイルド室町時代』第2回:「バック・トゥ・ザ・フューチャー」 未来が後ろにあった頃 - HONZ
    lotus3000
    lotus3000 2015/08/19
    アトサキの転換という時間意識の変化がもたらしたもの。/センゴクで貨幣による抽象的な欲望がでてきたのがこの頃だという指摘を思い出す。
  • 【連載】『世界の辺境とハードボイルド室町時代』第1回:かぶりすぎている室町社会とソマリ社会 - HONZ

    8月26日発売の『世界の辺境とハードボイルド室町時代』は、人気ノンフィクション作家・高野 秀行と歴史学者・清水 克行による、異色の対談集である。「世界の辺境」と「昔の日」は、こんなにも似ていた! まさに時空を超えた異種格闘技の様相を呈す内容の一部を、HONZにて特別先行公開いたします。第1回は「高野秀行氏による前書き」と「かぶりすぎている室町社会とソマリ社会」について。(HONZ編集部) はじめに by 高野 秀行 私はふつうの人が行かないアジアやアフリカなどの辺境地帯を好んで訪れ、その体験をに書くという仕事をしている。こんなことで生活できるのはありがたいと思うが、一つ困るのは話し相手がいないことだ。 たとえば、ここ5年ほど通って取材を行っているアフリカのソマリ人。彼らは数百年前から続く伝統的な社会システムを現在でも維持しており、それに従って内戦も和平も恋愛 も海賊行為も行われている。

    【連載】『世界の辺境とハードボイルド室町時代』第1回:かぶりすぎている室町社会とソマリ社会 - HONZ
    lotus3000
    lotus3000 2015/08/19
    同時代のできごとと過去を合わせてみることの重要性。これが人文知のもっとも重要なものではないのか?
  • 『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』文明再起動マニュアル - HONZ

    先週末30年ぶりにシリーズ続編として公開された『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は突き抜けて凄まじい、破壊的なエンターテイメントだった。崩壊した地球文明の後に残った脳筋の男共が滅茶苦茶に改造されもはや原形が何だったのかさっぱりわからない車とバイクに跨り、何故か火を吹くギターを持って、裏切り者の女共を追いかけ上映時間の殆どをカーチェイスに費やす。走れども走れども砂漠以外何も見えない、荒廃した大地。資源は限られ少ない物資をヒャッハー!! と、暴力によって奪い合う、力こそ正義! な地獄絵図な世界が広がっている。 しかし、仮に核戦争なり宇宙人の侵略なり異常気象なり隕石の衝突なり、原因をどこに求めるにせよ、文明がいったん崩壊してしまったとしたら、当にそんな破滅的な状況になるのだろうか? 失われてしまった文明はもはや戻らないのか? 逆に復興できるとしたら、どうやって? 書は書名である『この世界

    『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』文明再起動マニュアル - HONZ
  • 『格差の世界経済史』 姓で読み解く階級社会の不都合な真実 - HONZ

    姓を手がかりに、歴史に埋もれたビッグデータを掘り起こした著者は、残酷な現実を突きつける。 基盤的な、または相対的な社会的流動性は、社会学者や経済学者が一般的に考えている水準よりはるかに低い。 つまり、従来考えられていたよりも、わたしたちの人生はその生まれによって決定されており、人の努力や意志で階級の階段を昇るのは従来考えられていたよりも困難だというのだ。時代・地域を問わない低い社会的流動性は、経済格差の大きなチリやペルーだけでなく、社会福祉の充実したスウェーデンなど北欧諸国でも変わることはなく、チャンスの国アメリカとて例外ではない。さらに驚くべきことに、この低い社会的流動性を向上させる政策などないという。北欧に見られる教育の無償化も、あらゆるものを破壊した第二次世界大戦も、人類史上最大規模で知識階級を虐殺した文化大革命でさえも、社会的流動性を向上させることはなかった。上流は上流のまま、下

    『格差の世界経済史』 姓で読み解く階級社会の不都合な真実 - HONZ
  • 『奴隷のしつけ方』奴隷を中州に捨てるべからず - HONZ

    『奴隷のしつけ方』と衝撃的なタイトルだ。著者はマルクス・シドニウス・ファルクスというようだ。古典なのだろうか。書を手に取り、パラパラとページをめくると違和感を覚える。マルクス・シドニウス・ファルクスとは何者なのか。記憶の糸を手繰る。しかし、思い出せない。書の帯には「何代にもわたって奴隷を使い続けてきたローマ貴族の家に生まれる。」とある。書店でスマートフォンを取りだし、検索してみる。ウィキペディアでも見つからない。謎は深まる。 答えを求めてページをめくる。翻訳者のあとがきを読んだとき、謎が解けた。 当の著者はジェリー・トナーという男だ。解説者として表紙に名前がある。ケンブリッジ大学の古典学研究者のようだ。そう、著者とされるマルクス・シドニウス・ファルクスとは架空の人物だ。書は古代ローマ帝国時代の奴隷という存在がどのようなものであったかを、架空の人物に語らせ、各章の末尾に物の著者トナ

    『奴隷のしつけ方』奴隷を中州に捨てるべからず - HONZ
    lotus3000
    lotus3000 2015/06/19
  • ホント!? 『反省させると犯罪者になります』 - HONZ

    犯罪者を反省させればさせるほど、累犯者が増える。それどころか、ちょっと悪いことをした人を反省させることを繰り返していけば、その家系からいずれ犯罪者が生まれるかもしれない、と著者は主張する。 うそだろ? とまず思う。しかし書を読み進めれば、多くの人が「体感」として腑に落ちるはずだ。 ポイントは「反省すると犯罪者になる」ではなく、「反省させると……」だということ。そしてその「反省させる」とは、具体的には、子どもの頃から(少なくとも私は)言われ続けた「言い訳するな! 反省しろ!」といった態度のことを指す。こういったシチュエーションでの「反省させる」には、必ずといっていいほど「言い訳するな」と「相手の気持ちになって考えろ」という言葉がセットになっているが、何よりこれがいけない、というのだ。 著者はLB指標の刑務所で更生支援をしている。HONZの読者ならおなじみの言葉かも知れないが、Lはlongの

    ホント!? 『反省させると犯罪者になります』 - HONZ
  • 文化を牛耳る『平山郁夫の真実』 - HONZ

    2009年に他界した平山郁夫といえば、東山魁夷、岡太郎と並び日で最も高名な画家の一人として知られる。人の絵を飾っている方もいるかもしれない。 国内において一番知名度があり、値段が高く、画壇ヒエラルキーの頂点にいた事実でいえば「平成の国民的画家」は間違いなく平山郁夫だろう。なにより「芸術家は貧乏だ」という常識を覆す美術界のモンスターだった。 平山自身は画家でありながら、納税額は1995年の長者版付で6億4277万円、年間収入は10億を超えた。ふつう画家と呼ばれる多くの人達は、描いてて楽しい純粋な心からスタートし、家族を顧みず、己の世界に没頭するため金や政治とは無縁、それが一般的なイメージではないだろうか。 ノンフィクションライターである著者の大宮知信氏は、なぜ平山の作品に億単位の値が付き、法案を通したりと権力を持っているのか疑問だった。著者は言う 芸術家はえてして貧乏だと思っていた。そ

    文化を牛耳る『平山郁夫の真実』 - HONZ
  • 『ラテン語図解辞典』 新刊超速レビュー - HONZ

    文字通り『ラテン語図解辞典』である。見出し語約500、図版約700点、この一冊で古代ローマの文化と風俗に関するラテン語の根を知ることができる。 たとえば”abacus”。原義は石・大理石・土器などの矩形の厚板。その厚板を使って作られたのが器棚やそろばんであり、ともに”abacus”である。図版によれば、古代ローマそろばんはケタが決まっていたらしい。右の2ケタは小数点以下を表し、左端は100万の単位だった。なんとなく、古代ローマの建築精度や穀物収穫量などが想像できて面白い。 たとえば”acus”。ラテン語では針またはヘアーピン。この辞典にはないが、現代英語でも”acus”は外科用の針の意である。新しい髪飾りのブランド名として、”acusを接頭辞にして新語を造語すると、英語圏では流行るかもしれない。 たとえば”aegis”。「メデューサの首がついたミネルウァ女神の防身具。メディーサは、その

    『ラテン語図解辞典』 新刊超速レビュー - HONZ
  • 『ラッセンとは何だったのか? ─消費とアートを越えた「先」』 - HONZ

    イルカやハワイの海をモチーフに、バブル期を一世風靡した米画家クリスチャン・リース・ラッセン。 日では1980年から90年代にかけて異常なほど人気が高まり、多くの版画・ジグゾーパズルなどの商品が消費されてきた。しかし、これまで新聞を含め美術マスコミは「コメントに値しない」と彼の作品が正面から論評されることはなかった。書はラッセンが受容される心理と欲望、彼の正体についてニュートラルな立場から論評している極めて価値ある一冊となっている。 確かにラッセンアートは売れに売れた。作品に登場するイルカやクジラ、美しい海の魚達はドラマティックに太陽の光が差し込み、波は緑や紫にも彩られる。リアルに描かれる木々や山と浮かぶ星空も幻想的だ。購入者は、そのリゾートなイメージから「リッチで文化人」な優越感に浸ることもあるだろう。 美術界からなぜラッセンが忌み嫌われるのか、理由はさまざまだ。書によると経済的な成

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  • 『60歳からの青春18きっぷ』『水彩画プロの裏わざ』 - HONZ

    新潮社のY編集者からいただいただ。そろそろ準備しろということであろうか。四捨五入するとまだ50歳である。無礼者。ぞろ目になる9月になってから読んでみるかと一旦は書庫に入れた。じつはおとめ座なのだ。 とはいえ、ヒマ人にとっては目を逸らすことができないだ。正直「青春18きっぷ」はどうでもよいのだが、紹介されている50あまりの旅のプランをつい見入ってしまう。各プランには地図とサンプル時刻表などが付属している。 たとえば博多発1泊2日「九州の小京都、日田・豊後竹田を歩く」プラン。博多から鹿児島線の普通列車にのり、鳥栖でディゼルカーに乗換え日田で下車。天領日田を見物してから別府温泉へ向かう。二日目は日豊線で大分経由で豊後竹田へ。帰りは阿曽の外輪とトンネルで抜けカルデラへ、赤水-立野間でスイッチバックを体験して熊へ到着である。 このあたりはまったく足を踏み入れたことのない地域だ。博多で仕事

    『60歳からの青春18きっぷ』『水彩画プロの裏わざ』 - HONZ
    lotus3000
    lotus3000 2012/11/13
  • NODE No.9 書評 『すずしろ日記』 - HONZ

    『北斎漫画』が好きだ。何千人もでてくる人物はそれぞれに可笑しみがあり、当時の風俗を知る画像情報でもある。 『洛中洛外図屏風』も好きだ。金箔を使った狩野派による屏風絵だ。もちろん、諸国の大名などが京を知るための画像情報が分である。 ところで書の著者である山口晃によれば「イギリスが狩野派を讃えるのをあてこすって、フランスが「北斎がすごい」と持ち上げた」のだという。さもありなん。 さて、その山口晃の絵が好きなのだ。洛中洛外図屏風のような構成に、北斎漫画のような登場人物、つまり大和絵の典型を油彩で描いているのだ。 しかし、山口のテーマは時空を超越した日である。同一画面に侍や足軽もいるし、テレビカメラクルーもいる。合戦図では後ろ脚がバイクになっているメカ騎馬も出てくるし、パソコンを使う侍やヘルメット姿のそば屋の出前もでてくる。 大和絵独特の鳥瞰「吹き抜け屋台」で描かれている御屋敷の中を見ると、

    NODE No.9 書評 『すずしろ日記』 - HONZ
    lotus3000
    lotus3000 2012/11/08
    どういう単語を学ぶのか。それへの戦略についての本かな。