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ブックマーク / d.hatena.ne.jp/FUKAMACHI (33)

  • 今もこれからも、すてきないい町 - 深町秋生の序二段日記

    三陸の旅を終えて以来、虚脱状態が続いている。 山形が停電から復旧し、テレビやネットで情報を追い続けていたが、この世のものとは思えない津波の映像に震え、ぶらぶら歩いていた釜石の商店街が波に呑みこまれ、あとはもうひたすら恐ろしかった。 地震当日の午前中は、宮城県松島のカフェで原稿を書いていた。午後に山形で用があり、久々に帰郷したところで地震に遭った。その用事がなければ、「いいところだな」と、太平洋岸の町をうろついていたと思う。 最近は、ずっと旅をしていた。 三陸をうろつく前の週は、福島の郡山やいわき市に。海を見ていると、原稿執筆のモチベーションが維持できるという理由で、今年の冬は沖縄や福島、仙台、三陸をぶらつきながら、わりとストイックに原稿に向かっていた。旅をしながら、同時にカンヅメでもあったのだ。 プライベートな空間では原稿がまったく書けないので(個室に入るとロクなことをしない)、家には帰ら

    今もこれからも、すてきないい町 - 深町秋生の序二段日記
    ma-rusuke
    ma-rusuke 2011/03/17
    「被災地に飛んでいきたい」という激烈な熱情よりも、ずっと静かに関心を持ち続ける。
  • 禁断に片足突っ込むノンフィクション「物乞う仏陀」 - 深町秋生の序二段日記

    強烈なノンフィクションを読んだ。 05年に発売された石井光太の『物乞う仏陀』である。08年に文春文庫として発売されて、先日それを読んだのだが、かなり感情を揺さぶられる。こんなノンフィクションがあったんだなあと素直に驚いた。 じつは母から「これおもしろいから読め」と半ば無理やり押しつけられたのだが、しばらく放ったらかしにしていた。だって「アジアの物乞いや麻薬売人、ストリートチルドレンらと暮らし、最底辺に生きる人々を赤裸々に描く」という内容だからだ。 ちょっと……なあ、と読むのを保留していた。バックパッカーの旅行記や体験記、社会派ジャーナリストのノンフィクション、人気マンガ家や作家もいろんな形でアジアなるものにトライしている。つまりあれだろ。「どうしようもなく貧乏で法もいい加減だし、人々は筆舌に尽くしがたいほどしんどい想い(それこそ曾野綾子なんかが「当の貧困とはこれだ」みたいにドヤ顔で言い

    禁断に片足突っ込むノンフィクション「物乞う仏陀」 - 深町秋生の序二段日記
  • 一億総ヤクザ - 深町秋生の序二段日記

    うつくづくなんというかアナーキストでノーフューチャーな気分だ。安全ピンをシャツや耳にいっぱい刺して、発煙筒をもくもくと焚きながら街を練り歩きたい。アンチクライスト。ロンドンコーリング。女王陛下。 朝青龍の引退に続き、スノボ選手の服装問題(べつに問題でもなんでもないことを、さも問題であるかのように扱う世の中がすくいがたい病気だと思う)などを見ると、怒る前におそろしくなってくる。 この恐怖感はべつに今に始まったことじゃなく、成人式に参加した数万人のうちに含まれるごくごくわずかなお調子者のために社会面を数段ぶち抜きで報じた新聞(私の故郷の地元紙は社会面の3分の2ぐらい使って、酔っぱらってガラスを割ったバカに筆誅をくわえていた。社説もばっちり説教モード。新成人を祝福するどころか、みんな憎悪しているのがよくわかった)や、豊田商事会長刺殺事件やロス疑惑や松サリン事件を経てもまるで変わることのないメ

    一億総ヤクザ - 深町秋生の序二段日記
    ma-rusuke
    ma-rusuke 2010/02/17
    品格クレーマーは恐喝ヤクザのように見えてしまう。普段は「マスゴミ」呼ばわりしていても、こういうときはマスコミがくれるバイブをよろこんでケツに突っ込むネット住民ばかりであふれかえる。
  • 変な造語で支持者減 - 深町秋生のベテラン日記

    政治系ブログを読んでいて、首をひねることが多い。なんでかねえ。 政治系であるからして、「自分の考えを広めたい」「支持者を増やしたい」という野望に満ちている世界だけれど、「当に増やす気があるのか?」と疑問に思うときがある。というのも狭いフィールドにしか通用しない「一元さんお断り。会員制オンリー」みたいな気持ちの悪い造語がやたらと多いのだ。来なら広く支持者を獲得しなければなければならないジャンルだというのに。 なにしろ政治系であるから当然もめる。議論になる。議論にすらならなくて罵詈雑言が飛び交う世界(もっぱらそれが主流か)でもあるから、レッテル貼りや揶揄や中傷の道具として造語が日々生産されている。なかには出来がよくて感心させられることもあるが、まあたいていは気持ち悪い。 たとえばどんなに説得力のあるエントリに出会っても「マスゴミ」という無神経な造語をやすやすと使う文章を信用しない。もともと

    変な造語で支持者減 - 深町秋生のベテラン日記
    ma-rusuke
    ma-rusuke 2010/01/16
    無神経な造語をやすやすと使う文章を信用しない。過激というのは実に簡単なもので、抑制をきかせて平易であることが世のなかで一番難しかったりする。
  • 古典名作をあなたの街へ。伊藤聡「生きる技術は名作に学べ」 - 深町秋生の序二段日記

    http://d.hatena.ne.jp/zoot32/ さてナイスガイブロガー空中キャンプさんの著作「生きる技術は名作に学べ」がついに登場。 と同時に読破した。送ってくれてありがとう。ブログと同じく軽妙かつポップな文章のおかげであっという間に読み終わってしまった。やはりブログで膨大な量のテキストを書いているだけあって、初めてのとは思えないこの読みやすさは特筆に値する。 カミュの「異邦人」、ヘッセの「車輪の下で」、トゥルゲーネフの「初恋」、アンネ・フランク「アンネの日記」、ヘミングウェイ「老人と海」、スタンダールの「赤と黒」、トーマス・マンの「魔の山」などがセレクトされている。内容は敷居の高そうな西洋古典名作10作を、空中キャンプ流にその内容をきわめてわかりやすく紹介。その名作に秘められたエッセンスをおもしろく読者に提示するというスタイル。読んだことのない作品があっても、「あー、そうい

  • 幸福実現党という花火 - 深町秋生の序二段日記

    この不況で全国の花火大会が中止に追い込まれている……が、まるでそんな大衆のガッカリ感を補うかのように刹那的な二寸玉を打ち上げているのが幸福実現党と幸福の科学である。 http://www.zakzak.co.jp/top/200907/t2009072910_all.html(ドクター・中松、幸福実現党から出馬…人直撃!) http://www.zakzak.co.jp/top/200907/t2009072302_all.html(幸福実現党・大川出馬「宇宙人に日支配させない」) ついに宗教団体のトップも出馬ということで、政治という俗の世界に顔を突っこんじまった教祖の宗教を、今後誰が信じるのかわからないけれど、ミスター泡沫と名づけたいドクター中松をかつぐなどタブロイド紙や私のようなぼんくらの心を賑わせている。最高だ。まあ花火は危険がともなうので、当選という名の事故だけは勘弁してほしい

    幸福実現党という花火 - 深町秋生の序二段日記
    ma-rusuke
    ma-rusuke 2009/08/06
    本当に苦しいときには、人は神頼みはしない。ちょっと前までのスピリチュアルブームも、新新宗教の台頭も、好景気時代に起きた
  • 深町秋生の序二段日記

    http://wwws.warnerbros.co.jp/grantorino/#/top(「グラン・トリノ」公式サイト) 昨日公開の「グラン・トリノ」今年ナンバー1映画かも。魂が震えた。 それぐらいすばらしい。なによりも気高さを感じさせる。イーストウッド映画の代表的作品の一つとして記憶されるだろう。 「チェンジリング」、硫黄島二部作と大金が動く作品が続いたが、「グラン・トリノ」はびっくりするぐらいに金がかかってない(笑)。有名スターといえばイーストウッド自身であり、あとおもに登場するのはほぼアマチュアのアジア系の若者、それにモン族の人々である。舞台は、デトロイトの元中流階級向けの住宅街であり、貧しい移民が住みついた現スラム地域である。衰退するアメリカを象徴するような場所だ。 「ミリオンダラー・ベイビー」以来、久々に俳優イーストウッドが帰ってきたわけだが、これがとにかくすごい。イーストウッ

    深町秋生の序二段日記
    ma-rusuke
    ma-rusuke 2009/04/28
    「まだ人間として学ばなければならないことはたくさんある」とイーストウッドはインタビューで答えている。
  • 深町秋生の序二段日記

    いやあ、すごいもん見た。魂消たよ。 映画ファンやアメコミ好きにとってはひとつの「事件」と化している「ウォッチメン」の映画版。いよいよ日でも劇場公開となったが、なるほどこれはすごい。改めてハリウッドはどんどんおもしろくなっていくなあと思った。イラク侵攻の失敗と悪政と金融危機によって、格的に21世紀型ニューシネマの時代に突入したのだなあと思った。 昨年の映画界の話題をさらった「ダークナイト」でも、正義が混沌にぐいぐい呑みこまれていく暗黒物語が展開されていたが、「ウォッチメン」はさらに危うさを追求したエクストリーム大作に仕上がっていた。三分に一度の割合で噴出する容赦のない暴力も大変すばらしく、火あぶりや油ぶっかけ、指折り腕折り叩きつけ、切断感電木っ端微塵と、病的なほどに取り揃えられた暴力メニューの豊富さにエクスタシーを覚えたことも書いておく。暴力を見せる(魅せる)という意味では、「ダークナイ

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    ma-rusuke 2009/03/31
    いつもながらアツイレビュー。自分が冷戦の怖さとかをいまいち実感できないのが悲しい。
  • 深町秋生の序二段日記

    この恐慌下で一層歯止めがきかなくなるのは「若者離れ」であろう。うむ。 いやなんの話かといえばあれだ。これまでだって「若者の○○離れ」はうんざりするほど経済誌や新聞でも伝えられてきた。車、家庭用ゲーム機、ブランド品。活字。外。その他いろいろ。 しかし若者の悲惨な窮状や、シビアな金銭感覚を考えれば、高価な奢侈品や豪快なエンジン音を轟かせるスポーツカーになんか金をださなくなるのは当然だろうが、今回話したいのは「若者が商品から離れる」のではなくて、その逆である。「商品が若者から離れる」時代が格的に到来しそうだなあと思ったのだった。もう昔からそういう傾向が続いていたとは思うけれど、けっこうあからさまにそれが表れる時代になるのではないかと。 先日、なにかの雑誌で、「コンビニ第三の雄 ファミマの躍進」というような記事を読んだ。正確な見出しは忘れたが。とにかくまあそれで社長のインタビューなんかが載って

    ma-rusuke
    ma-rusuke 2009/03/25
    この恐慌下で一層歯止めがきかなくなるのは「若者離れ」であろう。「商品が若者から離れる」時代
  • 深町秋生の序二段日記

    今回は自分にも言い聞かせるつもりで。 というのは、先日「FACTA」誌を読んでいたのだが、そのなかに池田大作の「新・人間革命」がどうも売れていないらしいという興味深い記事があった。どうやら10万部ぐらい(まあ普通にベストセラーだけど)ではないかという。巨大団体トップの大命というべき著書の販売がはかばかしくないようで、世帯数800万を謳ってるけど、そこんとこ果たしてどうなのよ、という話であった。 「へえ、10万部程度ねえ。ふーん、意外としょっぱいもんだな」 と、思ったけど、まあけっきょくはよくわからないのであった。 創価学会という団体は、ご先祖様を大切にしようという従来の仏教の教えとは違い、地方から出てきた孤独な都市在住の次男坊や三男坊とかに向かって「信じていれば生きている間に裕福になれるよ」と現世利益を説いた高度成長期の機運にぴったりの宗教だった……と思う。「裕福になろうじゃないか」と資

    深町秋生の序二段日記
    ma-rusuke
    ma-rusuke 2009/03/02
    敵がいなければアイデンティティーが保てない。 反対派が陰謀論に走り実際よりも強大なものと思い込むということがあるのではないか、というお話。
  • 傑出したアーティスト一青さん - 深町秋生のベテラン日記

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090117-00000002-jct-ent(一青窈、ドロボーに異例の呼びかけ「お金を世の中のために使って」(J-CASTニュース) - Yahoo!ニュース) わはははは。 みんな大好き(私だけか)一青さんの異例すぎる呼びかけに心洗われました。 しかしもう4年ぐらいしこしこブログを書いてきて、政治や社会や映画評やPerfume論とかいろいろやったけれど、けっきょく一番読まれたのが「一青さんのPVを馬鹿にして炎上させたやつ」であって、このあたり私自身大変残念だなと思う次第であります。 しかしこの心洗われる発言に対する支持者が見当たらん。あのときはさんざんファンに噛みつかれたのに。ブログやコメ欄は罵倒ばかりである。「お前もドロボー(過去の不倫騒動を持ち出して)じゃないか」とか「そんな呼びかけにドロボーが応えるわけがない

    傑出したアーティスト一青さん - 深町秋生のベテラン日記
    ma-rusuke
    ma-rusuke 2009/02/09
    同情コジキ――数万円は痛いよね。
  • 深町秋生の序二段日記

    先日、夕飯どきにNHKの動物番組をぼさっと見ていた。 北海道に生きるキタキツネの親子の生態というやつで、天敵であるワシと戦ったり、巧みにネズミを捕ったりと見所満点。とにかくキツネの赤ちゃんというのが超かわいいの。 と、いっそギャル文字で記したくなるほど愛らしい。 だけど人里に近いところで住んでいたきつねの母親は、ある日車で轢かれて死んでしまうのである。路上でぐったりしている母ぎつね。しかし子供たちは寝ているだけだと思ってお母さんを起こそうとするのだ。おっぱいをせがんだり、どうにかして目を覚まさせようとして首のあたりを噛んだり、引っ張ったりするけれど、すでにお母さんキツネは生きてはいない。周囲にはハエも飛んでいる……。 「うおー、泣けるぜ」とごはん茶碗を持ちながら思ったし、じっさいウルっときたのだけれど、動物番組でああいうシーンってこれまで何十回と見てきたような気がする。親が死んじゃって、そ

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    ma-rusuke 2009/02/08
    涙をカツアゲしやがって。
  • 深町秋生の序二段日記

    ちょっと前の話になるが、自衛隊の特殊部隊における「はなむけ」格闘訓練は驚いたねえ……。 それにしても陰惨な事件であるにもかかわらず、やっぱり思わずぐっときてしまうのは「はなむけ」なる雅やかな言葉が登場したことだろう。学生のときにならった紀貫之の土佐日記を思い出してしまった。馬のはなむけ。 昔から隠語が好きだった。ジャーゴンとかスラング。その世界に脈々と受け継がれる年季の入ったものもあれば、どういう風の吹き回しか、奇跡的とさえ思えるほどポエティックな言葉がひょっこり生まれることもある。 だいたいリンチ殺人一つとっても、自衛隊は「はなむけ」と言い、相撲界は「かわいがり」、オウム真理教は「ポア」と呼んだ。それぞれの世界観がなかなか反映されている。 もともと隠語は、表立って言えないし、縁起も悪く、後ろめたい行為であるからこそ自然と生まれた語句でもある。あと関係者以外の人間を小ばかにする意味でも使わ

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    ma-rusuke 2009/01/26
    自衛隊は「はなむけ」と言い、相撲界は「かわいがり」、オウム真理教は「ポア」、連合赤軍は「総括」
  • 深町秋生の序二段日記

    アメリカが清らかだったことはかつて一度もない。われわれは移民船のなかで純潔を失い、それを悔んだことは一度もなかった。アメリカの堕落を特定の事件や状況のせいにすることはできない。最初からないものを失うことはできないのだ。 「アメリカン・タブロイド」J・エルロイ さて町山さん(id:TomoMachi)の新刊「アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない」を読んだ。 忙しい忙しいと言いつつ、こうして読了&感想文アップをしているのは、このに収録されている週刊現代での連載コラム「アメリカで味噌汁」をすでにほとんど全部読んでいたからでもある。 町山さんのコラムによって、「アメリカという国に対する見方が変わった」という人は多い。週刊現代連載時にはあの屠畜ルポで有名な内澤旬子さんのイラストが載っていて、最終回だっただろうか、「アメリカは大嫌いだったけど、町山さんのおかげで見方が変わりました」とか、正

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    ma-rusuke 2009/01/25
    カッコよかったアメリカ、ひたすらダサいアメリカ この東北のオヤジたちとアメリカ人の間にはなんの差もない
  • 深町秋生の序二段日記

    闇金ウシジマくんはこれまでも何度も取り上げてるが、最新刊12巻を経て、さらにぐっと文学性が増し、なんだか手の届かない高みに達した感があり、びっくりしてしまった。 連載当初こそはトサン(十日で三割)というハッタリ感ばりばりの闇金世界と、コミックらしい味付け濃い目のキャラクター、それにギトギトの暴力描写、倫理や道徳を軽くフライングした世界観で世の暴力グルメの舌を満足させてきたのだが、ついに最近では文化庁メディア芸術祭推薦作品に選ばれるなど(「いかにこの国がダメになっているのかを執拗に描いた作品に、国が優秀作品として推薦してしまうのだからなかなか懐深いというか。まあ別に役人が選んだわけではないんだろうけどかなり喜劇だ)、徐々にこのマンガは変化しつつある。 初期は最低なヤンキーや、怠惰なニート、ショッパホリック(買い物中毒)に陥ったOL、パチンコ狂いのフリーターなどの生態を濃密に描き、彼らに懲罰を

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    ma-rusuke 2009/01/04
    戦後、幸福のスタンダードなモデルとされたサラリーマンのファミリー層というのが、現代ではもっとも身動きのとれない最悪の地獄だという真実をこの作品では描かれている。
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    http://www.nnn.co.jp/news/080601/20080601001.html(谷口ジロー「遥かな町へ」 独の漫画賞ダブル受賞) 谷口ジロー氏がドイツでこういう賞を受賞していた。ヨーロッパでの人気がすごいのは知っていたけれど、改めてすごいなと。 4月に出た新刊「冬の動物園」をちょうど読んでいたところだった。 これはマンガ家の卵だった氏の自伝的な物語であり、彼が得意としている(と私が勝手に思っている)昭和を舞台にしたものだ。昭和40年〜43年。ふとしたきっかけで京都の染物問屋から東京のマンガ家のアシスタントに転身した青年の、先が見えないけれどマンガと格闘しながら、病弱な女の子に恋をし、二人で自作マンガのストーリーを製作するといった瑞々しい恋愛をからめた青春記である。胸がしめつけられるような想いにかられながら読んだ。 帯にはでっかく「懐かしい」と書かれていて、ちょっと鼻白む

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    http://d.hatena.ne.jp/samurai_kung_fu/20080529#p1(横断歩道を手を挙げて渡る「アフタースクール」) 当にそうなんだよなあ……。 「アフタースクール」は面白そうだが、侍さんの後半の言葉に共感を覚えた。公序良俗を守る善人たちの物語がいかに多いことか。 ちょっと仕事で、何年かぶりに松田優作版「野獣死すべし」を見たが、やっぱりかなり狂っていた。初めて見たのは高校のときだったと思うが、「アクションスター松田優作が華麗にキメキメにスタイリッシュに撃つ殴る」映画だと、すっかり遊戯シリーズと混同していたのだが、「なにか見てはいけないものを見てしまった……」と絶句した覚えがある。 なにしろガキのころのことだから、すっかりスレた今なら「たいしたことはないだろう」と思ったらやっぱりかなりクレイジーだった。そして現代日に足りないものはすべてここにあるとも思った。

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    ma-rusuke 2008/10/13
    野獣死すべし
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    卑劣な軍事政権の犬ども死ね!! バリバリ、ドーン!! バラバラ! ゴキ! グチャ! ブオーン!! ドカーン! という「ドキ! 切株だらけの殺戮大会」ですばらしかった。「ランボー 最後の戦場」の話。「ザ・暴力」という巨大なアイスクリームに、ほんのちょっと箸休めのウエハース程度にシンプルな物語がのっかっているだけで、とにかく最初から最後までゴアゴア描写の電車道である。 シンプルとはいえとにかく内臓が漏れ、血が大量にバシャバシャ流れるアルトラ暴力世界と善良なボランティアらの価値観を織り交ぜることで実存的な問いを観客に発し、戦争文学ともいうべき高尚ささえ感じさせてくれた。スタさんの老獪さを感じさせる一となった。ミャンマー軍の非道な虐殺で民衆の手足はちぎれ、面白半分に蜂の巣にされ、子供でさえもグサっと刺し殺されていたが、逆にそれをやっつけるランボーにしても軍隊を同様にぐちゃぐちゃに吹き飛ばしたり、

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    ma-rusuke
    ma-rusuke 2008/10/13
    「ロッキー」と「ランボー」はアメリカという親から生まれた表裏一対の兄弟みたいなものかもしれない。
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    「希望(ホープ)。それをけっして忘れちゃいけない」 などと「ショーシャンクの空に」では温かい感動を与えていたダラボン監督だが、やってくれた。 5月公開のキング原作のホラー「ミスト」である。これが当にやばい。さる機会があって見ることができたのだが、ラストは壮絶すぎて開いた口がふさがらなかった。なにを考えているのかと。おそらく今年ナンバー1位に選ぶのではないかと思えるくらい印象が無駄に強かった。 メイン州西部を激しい嵐が襲来。暴風雨によって家の窓ガラスまで破壊されてしまった中年男が、幼い息子を連れてスーパーマーケットへと買い出しにでかける。しかし突如濃密な霧が発生しては、あっという間に街を覆いつくす。主人公ら買い物客と店員はスーパーに閉じこめられてしまう。しかも霧に包まれた外には得体の知れないなにかがうろついているようだ。無理に建物の外へと出て行った者たちは、そのなにかに攻撃されたのか、この

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    「ノーカントリー」「クローバーフィールド HAKAISHA」そして5月公開の「ミスト」(海外盤DVDにて)を立て続けに見てしまった。 今日は公開されたばかりの「クローバーフィールド HAKAISHA」を紹介。どれも共通するのは「人間には知恵もあるし勇気もあるし愛もある。立派なもんだ。だがな……くたばるときはあっけなくくたばるんだよ!!! みっともなく! あっさりと!! ゴミのように! わーははは!!!」 という作り手の底意地の悪い主張がどれもこめられている。(一番たちが悪いのはフランク・ダラボンの「ミスト」。容易に立ち直れないほどのダメージを観客に与えるのだが後日ゆっくりと紹介)これが最近のハリウッドのトレンドというやつかもしれない。だいたい景気が悪化したり、バブルが崩壊したり、戦争が泥沼化すると、こうした「逆人間賛歌」というニューシネマでカウンターな作品が登場したりする。以下、多少ネタバ

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