相関関係が因果関係を示すとは限らないことは、みなさまよくご存知であろう。有名な例は朝食と成績の関係である。朝食摂取と良好な成績に相関関係があることは、朝食をきちんと食べる学生ほど学校の成績が良いというデータからわかる(こういう研究を観察研究という)。しかしながら、朝食をきちんと食べることが良い成績の原因かどうかはなんとも言えない。因果関係がなくても、朝食と成績の相関関係が生じることはありうるからだ。たとえば、教育に熱心な家庭環境が朝食摂取と良好な成績の両方に影響を与えている場合は、朝食摂取と良好な成績に因果関係はないが相関関係は生じる*1。だとすると、家庭環境をそのままにして、ただ朝食だけ食べるようにしても成績は上がらない。 「朝食を食べれば成績が上がる」と言いたいのであれば、もともと朝食を食べていなかった生徒集団を、朝食を食べさせる群(介入群)と朝食を食べさせない群(対照群)の二つに分け