「さて、今日は、スパイスの話をしようと思う」 「南インド料理のブログだから、当然やな」 「正確には、スパイス信仰の話になる」 「信仰、とはずいぶん大上段に構えたな」 「カレーをひとに振る舞ったことのある人ならわかるかと思うが、食べた人が味の感想を述べるとき、まず、スパイスについて言及することが多い」 「そりゃ、カレーだから、スパイスなんじゃないのか」 「スパイス使い云々、スパイスが立っている、スパイスがふわっとくる、スパイス感がつよい、などと形容することが多い。カレー好きなら、クミン、コリアンダー、カルダモン、などのスパイス名を出すこともあるが、大体、それは外れているな。作った本人でないと、どんなスパイスが入っているかなんて、わからないもののようだ」 「まあ、混ざってしまうと、スパイスの香りなんて、たどるのはほとんど不可能やな」 「少なくともミールスでは、使っているスパイスなんて、量も種類