握力は、成人におけるさまざまな疾患のリスクと関連のあることが知られている。では、この握力を鍛えることで疾患リスクを下げることはできるのだろうか? また、握力も全身の筋力と同様にスポーツによって高めることができるのだろうか? これらの疑問を考察した、順天堂大学スポーツ健康医科学研究所の安部孝氏らの論文が、「順天堂醫事雑誌」に掲載された。 握力と健康リスクとの関連を、既報文献と順天堂大のデータを用いて検討 握力は現在、非侵襲的に健康リスクを評価可能で測定コストをほとんど伴わない、簡便に利用可能なマーカーとして位置付けられている。既にサルコペニアの診断やフレイルの判定に用いられており、疫学研究からは、心疾患、糖尿病、癌、認知症、および死亡リスクなどとの関連が示され、それらの関連は、年齢やBMI、飲酒・喫煙習慣、教育歴などの交絡因子を調整してもなお有意と報告されている。 このように、握力が低いこと