前回は、過剰さが生み出す「ココロの満腹感」について書きましたが、本音ではそれはどうなんだろうな、と危機感を抱いています。もし、「減らす」ことで喜びが得られたら、満足感を味わえたら、経済がうまく回ったとしたら。まったく逆のことですが、成功すれば、人類史上の大転換になるかもしれません。 そんなことを夢想しつつも、人間の欲望はさらなる欲望を生む。刺激を与えられれば、さらなる刺激が欲しくなる。情報はガン細胞のように増殖を続け、人間の感度は低下するばかり。過剰なモノは、人間から考えることを奪っていく。どれが本当の喜びか分からなくなってしまいました。 とはいえ、人類の根本願望は、「増やす」こと。民族学者折口信夫は、「冬(ふゆ)」という言葉は、「ふえる」「ふやす」という古代語の生き残りだと言っています。みなさんもご存じの通り、冬の祭りには「鬼」の姿を現すものが多い。それは、冬の間に精霊の増殖を行うための