これほど期待感を高めておいて、肩透かしを食らわせてきた物語は他にないんじゃないでしょうか。 世界に5000万人の患者がいるアルツハイマー病の治療薬開発です1,2)。 この物語をちょっと昔の話から始めてみましょう。 始まりは1900年代のドイツ。精神科医のアルツハイマー博士が、亡くなった認知症患者の脳を詳細に観察したんですね。すると、脳が萎縮していたりとか、異常な堆積物が存在することを発見して、その結果を学会で発表しました。 アルツハイマー博士3) その発表がきっかけで、そういった脳の状態の患者がアルツハイマー病と呼ばれるようになっていきました。発見者の名前が病名になるのはよくある話です。 さて、異常な堆積物があったわけですから、これが病気の原因だろうと考えて、こいつは何者だと研究者たちは調べ始めました。 それで、この堆積物をなんとか脳から抽出して分析したところ、タンパク質の破片の塊であるア
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