「人肉は飲み物だ」 なぜカニバリズム芸人をはじめたのかというインタビュアーの問いに、彼はそう答えた。 「発端から話すなら、ギャル系大食い芸人の台頭だな」 「はあ」 「デブキャラ・大食いキャラではかぶる芸人が多すぎるんだよ。そこにギャル系ときたもんだ。キャラはかぶらないし、細い体で大食いという意外性もある。テレビ映えもいい。何よりTシャツがグレーじゃない」 「Tシャツ関係あるんですか?」 「関係ないな。で、まあ、わしも他の大食い芸人との差別化を図るために人食に乗り出した、それだけのことさ」 「それだけのこと、というわりには人食のために肉体まで改造なさっていますが?」 「肉体改造など些細なことだよ。このカラダにしたのは、視聴者のためを思ってだ」 そういって、下あごからへそまで一直線に伸びるジッパーを上げ下げした。開いたジッパーの奥でピンク色のひだひだがびくんびくんと波打っている。 「人食という