8月19 一ノ瀬俊也『東條英機』(文春新書) 8点 カテゴリ:歴史・宗教8点 『日本軍と日本兵』、『皇軍兵士の日常生活』(ともに講談社現代新書)などの著作で知られる著者による東條英機の評伝。生い立ちから処刑までを丹念に描いています。今までのイメージを大胆に覆すという形ではないですが、東條の航空戦への見方を詳しく見ることで「精神主義一本槍」的なイメージに関しては多少なりとも修正がなされていますし、父・英教の軍での処遇を詳しくとり上げることで東條のある種の硬直性の背景がうかがえるようになっています。 また、永田鉄山、石原莞爾、武藤章、田中新一と昭和期の陸軍を動かした人物は何人かいますが、十五年戦争を「完走」した人物というと、やはり東條になるわけで、東條を追うことで日本が長い戦争に突入し、敗北する過程もわかるようになっています。 目次は以下の通り。第1章 陸軍士官になる第2章 満洲事変と派閥抗争