ミステリアスな国 ほほ笑みの国 ミャンマー(旧ビルマ)で2010年11月7日、20年ぶりとなる総選挙が実施された。軍事政権は「民政移管」と自負するが、議会メンバーには軍関係者が多く、国際社会からは「見せ掛けの民主化」と非難を浴びている。 人権を重視して経済制裁を続ける米欧やそれに歩調を合わせる日本を尻目に、中国やタイ、韓国はミャンマーを魅力的な市場とみて、進出を加速している。 ミャンマーの実態が秘密のベールに包まれている一因は、軍事政権が外国人記者の入国をほとんど認めていないからだ。記者は幸運にも、09年6月に同国を取材する機会を得た。ミャンマーの市場としての潜在力や、「秘密首都」ネピドーの様子を報告しよう。 (時事通信社記者 新井佳文) 「当機は間もなく、ヤンゴン国際空港に到着します」-。機内アナウンスが流れた。まばゆい夜景を期待して窓から見回したが、地上には漆黒(しっこく)の闇が広がる