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ブックマーク / cruel.hatenablog.com (20)

  • ラヴジョイは「冷笑系」:非ビリーバーの優位性 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』を勝手に翻訳している話をした。 cruel.hatenablog.com で、引き続きやっていて、第2講もいまのところ、なかなかおもしろい。まだ前半だけだけれど、言われていることはやはり単純だ。 頻出する観念として「異世界性」と「この世性」みたいなのがある。 異世界性は、来世の天国で処女が17人!とか、この世が気にわんから異世界転生するなろう小説みたいなもの欲しげな話とはちがう。そういう異世界転生って、この世の価値観のまま自分の都合のいい世界になるってことで、「この世性」の権化。 当の異世界性というのは、この現実は現実ではなく、永遠不変の絶対的な善の世界があるのよ〜みたいな話。 この手の論者はみんなインチキ。なんだけれど、西洋思想では圧倒的にこの異世界性が大きな影響を持つ。宗教なんてみんな神さまだのといったありもしないものを押しつけるという理屈で、この異

    ラヴジョイは「冷笑系」:非ビリーバーの優位性 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    medihen
    medihen 2024/01/16
    "むしろ茶化せる、バカにできるというのは、ある意味でその議論のエッセンスを把握できているということでもある場合が多い、とぼくは思う"
  • ロシアの攻勢と新世界の到来 (2022/02/26): 侵略成功時のロシアの予定稿 全訳 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    訳者まえがき まちがって公開されたとおぼしき、ロシアウクライナ征服に成功していた場合のロシア国営通信 RIA予定稿の全訳。すぐに引っ込められたが、Wayback Machineにしっかり捕捉されていた。すごい代物。いくらでも言いたいことはあるが、読めば多くの人は同じことを考えるだろうし、ある100年近く前のドイツの人が書いた文章との類似も明らかだとは思う。 以下のツイート経由で存在を知った。ありがとうございます! 1 “The resolution of the Ukraine question.” A mistakenly published Russian article gives us a chilling insight into the neo-imperialist thinking in Russia that drives Putin’s decision to inv

    ロシアの攻勢と新世界の到来 (2022/02/26): 侵略成功時のロシアの予定稿 全訳 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    medihen
    medihen 2022/03/02
    「われわれ」と「あいつら」の線引きは群体として生きる人間の基本属性なんだろうけど、それが常にトラブルの種となる。/ 欧州・中国間関係への言及は大ロシア主義の先にロシア主導の「大ユーラシア主義」があると?
  • ケインズ「H.G・ウェルズ『クリソルド』書評」 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    最近、初版諸般の事情でケインズの伝記をいっぱい読んでいるんだが、うーん、スキデルスキーのものすごい分厚い三巻とかがんばって見ているんだけど、平板だなあ、という感じ。分厚いのだと、その物量にうんざりしてそういう印象になりがちだというのもあるので、あとで再読はするけど。 John Maynard Keynes: Volume 2: The Economist as Savior, 1920-1937 作者:Skidelsky, Robert発売日: 1995/01/01メディア: ペーパーバック John Maynard Keynes: Fighting for Freedom, 1937-1946 作者:Skidelsky, Robert発売日: 2001/12/01メディア: ハードカバー チェ・ゲバラのいろんな伝記をたくさん読んだときもそうだけど、長く分厚く詳しい伝記を書いても、手当た

    ケインズ「H.G・ウェルズ『クリソルド』書評」 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    medihen
    medihen 2020/09/14
    ケインズの文章をもっと読みたくなる。「見事なビーフ」とか「巨大で濃厚な卵」とか食べ物論法が楽しい。
  • ウィリアム・ギブスン:意匠だけのファッションショー小説 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary ウィリアム・ギブスンの1990年代三部作と、2000年代三部作は、いずれの小説としての体をなしていない。ストーリーはどれもほぼ同じで、まったく必然性のない探索を、まったく必然性のないアート系女子が、大金持ちに依頼され、必然性のないところをうろうろして、最後に目的のものが見つかっても何も起きない。途中の必然性のない場所や出会う人々のスタイル、ファッションといった意匠をやたらに並べ立てるだけのファッションショーでしかない。1980年代の大傑作のおかげで万人の期待が大きく、駄作でも深読みしてもらえていたが、かつては鋭敏だったファッションアイテムへのセンスや社会観もすでに停滞し、作家としての価値はすでにないも同然ではないか。 はじめに:ギブスンの意義 ウィリアム・ギブスンはそれなりに特別な作家だし、ある時点では文化的にとても重要な役割を持っていた。ぼく個人にとっ

    medihen
    medihen 2019/10/15
    自分の中では、(最初の三部作以降の)ギブスンと永野護が同じところに入ってる気がする。作家の細部へのこだわりを楽しむタイプ、というか。
  • ストーレンハーグ『エレクトリック・ステイト』拙訳についての論難は不当だと思うのです。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary シモン・ストーレンハーグ『エレクトリック・ステイト』の山形の翻訳について、アマゾンレビューで悪口が出ているけれど、山形自身は不当だと思う。その主張と山形の言い分は以下の通り。 話者が二人いるのを、一人だと誤解している! → まさか。一人称を見なさい。訳し分けてます。原文でもその差は、内容で判断するしかないんです。 それをごまかすため重要な一文をわざとぬかした! → ぬかしてません。原著にはバージョンが二つあります。その差です。 そのもう一人の話者は絵に出てくる男なのだ!→ その解釈は明らかにまちがっています。山形が正しいかどうかは、続編 and/or 映画をお楽しみに! 2刷りから、削除された文章がこっそり追加されているのに他の部分がそのままだ!→ 文章の追加は原著者の意向を確認した結果です。他の部分はまちがっていないので修正の必要がないのです。 The

    ストーレンハーグ『エレクトリック・ステイト』拙訳についての論難は不当だと思うのです。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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    medihen 2019/07/29
    なんにせよ『エレクトリック・ステイト』は買わねば。
  • AI ハリー・ポッターの衝撃 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    『ハリー・ポッターと巨大な灰の山らしきものの肖像』 AIにハリポタ全巻喰わせて、新作を生成させたそうな。まあご覧あれ。 Botnik Studios こいつを見て、あまりに感動してしまいました。この支離滅裂、異常な構想力、唐突な破綻ぶり。デスイーターたちが何だか知らないけど無意味にやおいらしきものを始めるところ。人工知能には創造性がないとかいっている連中がいるけれど、これでも、あるいはアルファゼロの囲碁でもそうだけれど、むしろ人工知能が明らかにしているのは、ぼくたち人間の知能や創造性と称するものがいかに制約されていて、型にはまっているかということだと思う。ウィリアム・バロウズが人間の矮小な構成力とキャパシティでほんの片鱗だけやってみせたことを、人工知能は鼻くそほじりながら(比喩的に)一瞬でやってのけている。 追記:このプロセスについてもう少し詳しく見た人がいる。これは当にほぼカットアップ

    AI ハリー・ポッターの衝撃 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    medihen
    medihen 2018/01/10
    "AIにハリポタ全巻喰わせて、新作を生成させたそうな"
  • 宗教経済学の可能性など。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    テロの経済学 作者: アラン・B・クルーガー,藪下史郎出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2008/08/01メディア: 単行購入: 4人 クリック: 68回この商品を含むブログ (18件) を見る えらい経済学者に質問。信仰に篤い人の経済モデルってだれかやってないんですか? 信仰とか自爆ジハーディストとかの行動は不合理と想われがちだし、それを合理的なものとするためには結構面倒なモデルが必要だけれど、もっと単純な効用最大化モデルが組めるはずじゃないかと。 つまり、いちばん単純な現世 (earth) の効用をたとえばUe として、来世 (heaven/hell) の効用をUhとすれば、Ue+Uh を最大化するようにして、なんだっけ、世代重複モデルだっけ、それを組めば、来世での効用を増やすために現世で頑張るとか、そういうのをモデル化できるんじゃないかと〜 その際にどういう割引率を使う

    宗教経済学の可能性など。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    medihen
    medihen 2015/06/10
    “カトリック教会において何やら宗教経済学ともいうべきものが異様な発展を遂げ、人々の行動を規定するようになったパラレルワールドSFみたいなの”
  • 華麗なるギャッビーと戦争 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary フィッツジェラルド『華麗なるギャッビー』は、当初それほど評判はよくなかったし、フィッツジェラルドも晩年は不遇だった。だが、第二次世界大戦の米軍兵士慰問用の推薦図書に含まれたことで、その命運は変わった。つらい戦場の兵士にとって、この小説は華やかで豊かな夢のアメリカのイメージを喚起する小説として人気を博したのだった。そして、それがフィッツジェラルドの戦後の読者層を確保したことで、彼は再評価されるに到ったという。 華麗なるギャツビー (角川文庫) 作者:フィツジェラルドKADOKAWAAmazon フィッツジェラルドの『華麗なるギャッビー』は、アメリカ金ピカ時代を描いた大傑作で、村上春樹が訳しなおしたりしている。作者存命中は全然売れず、その死後にフィッツジェラルド再評価の気運が高まって大ブレイクを果たしたというのも有名なところ。 村上訳『グレートギャッビー』の

    華麗なるギャッビーと戦争 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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    medihen 2015/04/27
    “第二次世界大戦では、出征するアメリカ兵のために、士気を高める小説を配ろうという運動が起きて”
  • エゴサーチ: 富岡日記とSF業界の後編 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    (承前) で、2014年5月に『富岡日記』関連の話題以外で、もう一つ山形が話題にのぼっている話が……大森望が日 SF 作家協会に入れなかった話。その原因は、巽孝之と小谷真理が大森望にずっと私怨を抱いているから、ということなんだが、それをさらに悪化させたのは、山形が聞きかじってきて裁判のタネにもなった小谷揶揄の替え歌にあって、何やらその替え歌に大森が関与していたという邪推があるとかないとか。 『オルタカルチャー日版』の「真相」 まずはっきり言えることは、その替え歌をぼくに教えてくれたのは、大森望ではなかったこと。具体的にだれかは覚えていないし、なんだか裁判のときにもやたらにしつこく訊かれたので、いっしょうけんめい記憶を探ったんだけれど。でも大森ではなかった。 その現場となった宴会には大森望もきていたとのことだけれど、これすら今となってははっきり記憶にない。宴会自体も一時間もいなかったはず

    medihen
    medihen 2014/05/22
    “ぼくはこれが、SFをめぐるアカデミズム至上主義的な方向性と、もっとお気楽な従来型ファンダムとの対立だと考えている。”
  • Duff McDonald The Firm: McKINSEY & THE INVENTION OF AMERICAN BUSINESS (2013) 査読評価書 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    マッキンゼー―――世界の経済・政治・軍事を動かす巨大コンサルティング・ファームの秘密 作者: ダフ・マクドナルド,日暮雅通出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2013/09/21メディア: 単行この商品を含むブログ (7件) を見る 昔、査読したの邦訳が出版されたので、査読書をおいておく。なお、文中にもあるけれどぼくが読んだのはまだ未定稿。実際に出版されたものは、以下の査読書よりある程度は改善されている可能性が高い(章の構成など明らかに変わっているので、少し整理された模様)。その点はご留意を。なお、この査読書を読んだ出版社は、このの翻訳権取得を見送っている。 Duff McDonald The Firm: McKINSEY & THE INVENTION OF AMERICAN BUSINESS (2013) 査読評価書 平成24年9月26日 山形浩生 1. 概要 現代のビジ

    Duff McDonald The Firm: McKINSEY & THE INVENTION OF AMERICAN BUSINESS (2013) 査読評価書 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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    medihen 2013/09/30
    “現代のビジネスコンサルティング企業の創始者であり、今なおその重鎮の一つと目される、マッキンゼーの社史を描いた本”
  • Naim The End of Power 査読: 目新しさに欠け提言も弱い。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    The End of Power: From Boardrooms to Battlefields and Churches to States, Why Being In Charge Isn’t What It Used to Be 作者: Moises Naim出版社/メーカー: Basic Books発売日: 2013/03/05メディア: ハードカバー クリック: 4回この商品を含むブログ (1件) を見る 0. Executive Summary お金と権力は一極集中していると思われている。金持ちはますます金持ちになり、すべては大企業に支配され、軍事力はアメリカが一手におさえ、という具合。しかし実際には、そうした既存権力は弱まっている。えらい人々――ローマ法王、各国大統領、大企業CEO――も、先代ほどの権力は持っていない。 書は、これまでの権力はどのようなものだったかを、マッ

    Naim The End of Power 査読: 目新しさに欠け提言も弱い。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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    medihen 2013/08/29
    ”情報技術はロングテールとかマイナーなプレーヤーを可能にする一方で、既存組織の大型化をももたらす原動力にもなり得る”
  • Voice 2013年6月号:コラムがちょっとおもしろい。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Voice (ボイス) 2013年 06月号 [雑誌] 発売日: 2013/05/10メディア: 雑誌 Voice は、ありがたい雑誌ではあって、この10年くらいにわたり、曲がりなりにもリフレ派の主張をずっと掲載し続けてくれた。ほかの媒体だと、何か他のネタでこじつけてリフレネタに持っていったりとか、いろいろ苦労もあったけれど、ここでは少なくともストレートなリフレ紹介もできたし、またぼく以外にもいろんなリフレ派がそれなりに強い主張を長い論考で掲載できた。 むろん、そうでない記事もたくさんある。大前研一の、読まないほうがいい各種の論説とか、日下公人のくだらない論説とか、無内容な曾野綾子の日記連載とかお気楽の限りを尽くした山折哲夫の巻末コラムとか。でも、世の総合誌というものの性格上、そういうのがあるのは仕方ない。そんな中に多少なりともまともな記事が出ていること自体が評価されるべきだと思う。 で、

    Voice 2013年6月号:コラムがちょっとおもしろい。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    medihen
    medihen 2013/05/08
    ”「作為の契機」、つまり何かを意図的にやること自体がよくなくて、自然に任せるのがいいのだ、という発想があるんじゃないか、というもの”
  • グリック『インフォメーション』:意味を求める人間と、自走する情報のちょっと悲しい別れ - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    インフォメーション―情報技術の人類史 作者: ジェイムズグリック,James Gleick,楡井浩一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/01メディア: 単行購入: 1人 クリック: 13回この商品を含むブログ (24件) を見る 人は常に情報に支配されてきた。遺伝子に刻まれた情報がぼくたちのあり方を規定し、情報の扱いが生存を決め、文明の興亡をもたらす。だからこそ情報の蓄積、形式化、伝達は急激に発展し続け、情報の量も増大を続ける。そしてエントロピーという概念を通じて情報は物理世界と接続され、この宇宙すべても実は壮大な情報の渦にすぎないという情報宇宙論にまで至る―― これがこの長大な『インフォメーション』の全体像だ。もちろんその大部分は、コンピュータやインターネット、そしてその背後に流れる情報理論の進展となる。だが優れた科学ライターであるグリックは、鈍重な年表ではすませなかった。事

    グリック『インフォメーション』:意味を求める人間と、自走する情報のちょっと悲しい別れ - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 鈴木『なめらかな社会とその敵』&ヒース『ルールに従う』:社会の背後にある細かい仕組みや前提を明らかにする野心的な試み…… but you ain't see nuthin' yet. - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    なめらかな社会とその敵 作者: 鈴木健出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2013/01/28メディア: 単行購入: 8人 クリック: 299回この商品を含むブログ (47件) を見るルールに従う―社会科学の規範理論序説 (叢書《制度を考える》) 作者: ジョセフ・ヒース,瀧澤弘和出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2013/02/08メディア: 単行購入: 6人 クリック: 430回この商品を含むブログ (14件) を見る 『なめらかな社会とその敵』の想定読者は三百年後の未来人。だが古代人の評者にも、その意気込みはわかる。まったく新しい通貨システム! しかもお金の意味すら変え、社会自体の変革まで射程に入れる遠大さだ。 著者は、題名通りのなめらかな社会を夢見る。人々の有機的なつながりを保ち、様々な関係性の途切れない世界。現代の金銭取引はそれを荒っぽく分断する。投票も白か黒か

    鈴木『なめらかな社会とその敵』&ヒース『ルールに従う』:社会の背後にある細かい仕組みや前提を明らかにする野心的な試み…… but you ain't see nuthin' yet. - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    medihen
    medihen 2013/03/28
    人類補完計画。
  • 鈴木『なめらかな社会とその敵』ヒース『ルールに従う』:社会の背後にある細かい仕組みへの無配慮/配慮について、あるいはツイッターでなめ敵とかいって喜んでる連中はしょせんファシズム翼賛予備軍でしかないこと - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    なめらかな社会とその敵 作者:鈴木 健発売日: 2013/01/28メディア: 単行 未来のための社会像? 『なめらかな社会とその敵』の想定読者は三百年後の未来人。そこからすれば評者は未開の土人だ。しかしその未開人にも、謙虚な筆致に隠れた著者の熱意と意気込みはわかる。新しい通貨システムの案出など、ジョン・ローの不換紙幣やデヴィッド・チャウムの電子通貨以来かもしれない。しかもその射程はそもそもお金の意味すら変え、社会自体の変革を夢見る遠大なものだ。 著者は、題名通りのなめらかな社会を夢見る。人々の有機的なつながりがたもたれ、様々な関係性の途切れない世界。現代のお金による取引はそれを荒っぽく分断する。投票も一かゼロかの粗雑な選択を迫る。だが、インターネットを使えば、お金も投票もまったくちがった形態を持ち得る。関係性を保ち、様々な評価のフィードバックもある通貨システムもできる。粗雑でない細やか

    鈴木『なめらかな社会とその敵』ヒース『ルールに従う』:社会の背後にある細かい仕組みへの無配慮/配慮について、あるいはツイッターでなめ敵とかいって喜んでる連中はしょせんファシズム翼賛予備軍でしかないこと - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 三浦『シビリアンの戦争』:シビリアンコントロールは本当に有効か? - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    シビリアンの戦争――デモクラシーが攻撃的になるとき 作者: 三浦瑠麗出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2012/10/19メディア: 単行購入: 13人 クリック: 615回この商品を含むブログ (14件) を見る 書は、ぼくたちの多くが慣れ親しんでいる軍や戦争に関する基的な考え方に大きな疑問をつきつけるだ。従来の発想では、軍人は戦争大好きだとされる。だから平和を愛する文民が彼らの活動を常に監視し、抑えなくてはならない。これが文民統制(シビリアンコントロール)の発想だ。 でも近年の多くの戦争の実態はちがう、と著者は指摘する。軍人たちは、戦闘で真っ先に死傷するのは自分たちだ。だから勝算のない無意味な戦争にはきわめて慎重だ。むしろ文民たちのほうが、独裁政権打倒とか対テロとか、その時の勝手な思い込みと勢いで、軍人たちを(民主主義のおかげで!)戦争に引きずり込んでいる、と。すると、文民

    三浦『シビリアンの戦争』:シビリアンコントロールは本当に有効か? - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    medihen
    medihen 2012/12/19
    ハインライン『宇宙の戦士』みたいだけど、ちょっと違うか。→”本書は、ここでこれまた恐ろしい提言を持ち出す。戦争抑止には、国民の相当数がその当事者として軍隊的な体験を積むべきではないか、と。”
  • 関『東日本大震災と地域産業復興』: 震災復興の歩みから日本産業の将来像を見通す - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    東日大震災と地域産業復興 II: 2011.10.1~2012.8.31 立ち上がる「まち」の現場から 作者:関 満博発売日: 2012/10/15メディア: 単行 東北震災以来、もう二年近く。ニュースだけ見ていると、国としての初動の遅れ、空疎な文明論を並べて増税の口実にされただけの復興会議、さらに最近判明した復興予算の流用など、特に国レベルの対応のまずさばかりが伝わってくる。また一部では原発事故への過度の不安から、瓦礫受け入れなど復興への協力すら拒否しようとする人々までいるのは悲しいことだ。 だがもちろん地元の企業や人々は着実に復興を進めている。書は震災の直後、東北各地の特に製造業を中心とした産業復興の様子を、中小企業へのたんねんな取材調査で継続的に描き出す。それも「がんばりました」の一時的な美談集ではない。多種多様な企業の事業復活が、震災から一年半のそれぞれの時点で東北全体の産業

    関『東日本大震災と地域産業復興』: 震災復興の歩みから日本産業の将来像を見通す - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ゲンスラー『とてつもない宇宙』:宇宙ヤバイ。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    とてつもない宇宙 ---宇宙で最も大きい・熱い・重い天体とは何か? 作者: ブライアンゲンスラー,松浦俊輔出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2012/11/09メディア: 単行購入: 13人 クリック: 672回この商品を含むブログ (2件) を見る いやあ、ぼくが書評を書くまでもなく、ネットですでに見事な書評があるので以下に引用。 ヤバイ。宇宙ヤバイ。まじでヤバイよ、マジヤバイ。 宇宙ヤバイ。 まず広い。もう広いなんてもんじゃない。超広い。 広いとかっても 「東京ドーム20個ぶんくらい?」 とか、もう、そういうレベルじゃない。 何しろ無限。スゲェ!なんか単位とか無いの。何坪とか何ヘクタールとかを超越してる。無限だし超広い。 しかも膨張してるらしい。ヤバイよ、膨張だよ。 だって普通は地球とか膨張しないじゃん。だって自分の部屋の廊下がだんだん伸びてったら困るじゃん。トイレとか超遠い

    ゲンスラー『とてつもない宇宙』:宇宙ヤバイ。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    medihen
    medihen 2012/11/20
    宇宙ヤバイ(^o^) ”これをこのまま書評欄で使えたらなあ。”
  • Neuwirth Stealth of Nations: 事例はおもしろいが、政策提言は…… - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Stealth of Nations: The Global Rise of the Informal Economy 作者: Robert Neuwirth出版社/メーカー: Pantheon発売日: 2011/10/18メディア: ハードカバー クリック: 27回この商品を含むブログを見る しばらく前に(2011年12月)依頼された査読書。事例はおもしろいんだが、非合法経済を経済にとりこめと政府に言っても、政府も困るよな。どっかに治外法権を作ってそこでは何でもありにするとか……でも、大目に見る、お目こぼしする、というのと「発展を助ける」というのはまた話がちがうし。正規の事業として認めるといっても、絶対正規化できそうにない商売もかなりあるし。レッシグがコードで言っていたように、規制はあっても実質的にそれが(テクノロジーの制約で)適用されない場所が必要、という話ではあるし、その通り。が、そ

    Neuwirth Stealth of Nations: 事例はおもしろいが、政策提言は…… - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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    medihen 2012/11/09
    山形先生によるシステムDの本の詳細紹介。
  • honz『ノンフィクションはこれを読め』:まあ、ぼくの足もとにも及びませんな。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ノンフィクションはこれを読め! - HONZが選んだ150冊 作者: 成毛眞出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2012/10/24メディア: 単行購入: 2人 クリック: 99回この商品を含むブログ (8件) を見る こののもとになっている Honz という試みについては、かつてこのように酷評したし、その成果であるこのもその期待を裏切るものではなかった。 Honzにある書評のほとんどに共通するダメなところというのは、基的に、評者がを読んで「おもしろかった」というのを、そのの中だけで閉じて言っていることだ。そのの範疇を出る書評がほとんどない。 たとえばHonzで最近見かけた、ユニクロ柳井『現実を視る』の書評というか紹介。 これ、実は小学校の読書感想文と大差ないものだというのはすぐわかると思う。あらすじやいくつかおもしろいエピソードを紹介して、最後に「ぼくももっと勉強しな

    honz『ノンフィクションはこれを読め』:まあ、ぼくの足もとにも及びませんな。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    medihen
    medihen 2012/10/31
    よい書評とは、というか、志の高い書評とは、ということか。
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