タグ

ブックマーク / honz.jp (35)

  • 『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』つらく、悲しく、身近に迫る死 - HONZ

    読み進めるのが苦しい一冊だった。登場する人々が長く抱えてきた生きづらさが、とても他人事に思えなかったからだ。壮絶な「現場」の描写も相まって、一読するだけでも相当な根気がいるであることは、あらかじめ断っておきたい。 書は日の社会問題の一つである孤独死の現状と特殊清掃の現場、そして亡くなった人々と特殊清掃人たちの人生を綿密な取材によって浮き彫りにした迫真のノンフィクションである。著者は1982年生まれのフリーライターで、事故物件公示サイト「大島てる」を通して大島てる氏と知り合ったことをきっかけに特殊清掃の世界に興味を持ち、ビジネスニュースサイト等で孤独死に関わる記事を多数執筆している。昨年末に東洋経済オンラインで発表した大量孤独死の未来を憂慮する記事は大反響となり、トータルで450万PVを超えるアクセスを記録。高齢者だけでなく若年層からの関心も高かったそうだ。 著者が書の取材を開始した

    『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』つらく、悲しく、身近に迫る死 - HONZ
    medihen
    medihen 2019/04/13
    令和は大量死の時代になるんだろうな。/ “著者の試算によれば、日本において現在およそ1000万人が孤立状態にあり、そのうち約8割がこのセルフネグレクトであるという”
  • 『武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50』芸術的思考 - HONZ

    芸術的な一冊だ。 私達は、さまざまな問題を解決しようとするとき、ついつい今ある意見をまとめがちになる。ただその意見自体が的を得ているのかどうか気づかない場合、粘り強く思考し続けて解決に導くプロセスが、哲学と芸術で非常に似ている。 ドイツの現代アーティスト、ヨーゼフ・ボイスは思想・政治教育に精通し、政治経済と環境問題の常識を問い直しつづけた。彼の表現自体、フェルト素材を使用したピアノが作品の場合もあったし、人自らウサギの遺体を抱きかかえるなどパフォーマンスもあった。観た人は様々な解釈をしたが、ボイスの作品コンセプトは「社会彫刻」で決してぶれなかった。これは「地球上に住まう人間は、能動的にこの世に関与すべき」という意図で、常識や習慣に流されることなく、自分の頭で状況を判断し、自らの意志で生きていこうよ、というメッセージだ。 そして書においては、デカルトの項が秀逸なので抜粋する。彼は「我思

    『武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50』芸術的思考 - HONZ
    medihen
    medihen 2018/09/25
    "本書のカテゴリはおおまかに「人」・「組織」・「社会」・「思考」に分けられ、どこから読み進めても良い構成"
  • 「時間」そのものに興味がある人すべてにオススメしたい──『タイムトラベル 「時間」の歴史を物語る』 - HONZ

    「タイムトラベル」といえばこれを読んでいる多くの人は「あーはいはい」とその意味するところをすぐに理解してくれるだろう。空間のように時間を移動することができて、未来に行ったり過去に行ったりできるアレのことだ。もちろんタイムトラベル事象は我々の生活の身近なところにあるものではないけれども、邦画でも洋画でも、漫画でも小説でも「タイムトラベル」が出てくるものはいくらでもあるから、なかなかこの概念を知らぬままに生きるのも難しい。 しかし、この「タイムトラベル」という概念はいつ頃生まれたのだろうか。あまりにもよく知っている、よく(フィクションの中で)用いられているものだから、神話の時代からあるだろうと思ってしまうが、実はその起源はごく浅いと著者はいう。 (……)古代人には、永遠の命、生まれ変わり、死者の国といった概念はあったが、時間旅行という概念はなかった。現代人には馴染み深い「タイムマシン」など、ま

    「時間」そのものに興味がある人すべてにオススメしたい──『タイムトラベル 「時間」の歴史を物語る』 - HONZ
    medihen
    medihen 2018/09/05
    "時間についての考証の流れ、物理学的な意味での時間の変遷、哲学的、SF的、文学的な探求など、さまざまな観点から”時間”とは人間にとって何なのかを解き明かしていく一冊"
  • 『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』 - HONZ

    私は、1年のうち少なくとも3ヶ月は、海外で恐竜化石調査を行っている。主な調査地は、モンゴル・アラスカ・カナダ・中国、そして日である。2017年4月には、北海道むかわ町穂別から発見された日で最初の大型恐竜の全身骨格について、発表をした。全長8メートルのハドロサウルス科という恐竜で、全身の8割以上が揃っている、世紀の大発見だ。私の研究は、それだけではない。恐竜から鳥類への進化の過程についても研究をしている。爬虫類的な恐竜から、鳥型の恐竜へと進化していくそのプロセスに注目しているのだ。脳の進化、消化器官の進化、翼の進化など、「恐竜の鳥化」というものをキャリアのテーマとしている。私だけではなく、世界中の恐竜研究者の成果によって、最近では「鳥は恐竜である」ということが定着してきた。つまり、世界中の鳥類研究者は、“恐竜研究者”ということになる。 * 最初に『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』が出版され

    『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』 - HONZ
    medihen
    medihen 2018/07/06
    "ワニ類と鳥類の間をフラフラと行ったり来たりしているアイドル的な存在である恐竜を、ワニ類学者と鳥類学者の間で必死に取り合っているというのが現状"
  • 『消された信仰「最後のかくれキリシタン」-長崎・生月島の人々』世界遺産から黙殺された人々 - HONZ

    ユネスコの世界遺産委員会で、日の「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界文化遺産に登録されることが決まった。国内では22番目の登録遺産となる。 この「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、長崎から熊にまたがる12の構成遺産からなり、その中には、現存する国内最古のキリスト教関連建築物で国宝の大浦天主堂(長崎市)なども含まれる。 一時の熱狂的なブームは去ったとはいえ、世界遺産への登録実現は、観光客を呼びたい地方自治体にとっては悲願だろう。今回も2015年の申請では登録に至らず、資料の内容を修正した上で再挑戦し、登録へとこぎつけた。 実はこの再挑戦の過程で、不可解な修正がなされていたことはあまり知られていない。第24回小学館ノンフィクション大賞受賞作『消された信仰 「最後のかくれキリシタン」-長崎・生月島の人々』は、冒頭でいきなりこの謎を提示し、読者を一気に歴史ミステリーの世界

    『消された信仰「最後のかくれキリシタン」-長崎・生月島の人々』世界遺産から黙殺された人々 - HONZ
    medihen
    medihen 2018/07/06
    "生月島は、「かくれキリシタン」の組織的な信仰がかろうじて残る最後のエリアだ。にもかかわらず、なぜかその信仰は、「ほぼ消滅」したことにされているのである"
  • あなたはなぜ特定の色を好むのか?──『好き嫌い―行動科学最大の謎―』 - HONZ

    あなたは何色が好きですか? と聞くと大抵の人はペラペラとこんな色が好きですと答えてみせる(僕は灰色だ、地味だから)。初対面同士の飲み会ならなんか嫌いなものorべたいものでもあります? と聞くものだし、映画小説など、作品を鑑賞する際にも、好みは密接に関わってくる。巨大人型ロボット物は嫌い、という人もいれば巨大人型ロボット物ならなんでも大好き! という人もいるものだ。 その違いはなぜ発生しているのだろうか? べ物に関してはアレルギーなどがあるだろうが、そうでない場合は何が関係しているのか? 育ってきた環境の違いか、進化論的に脳に組み込まれているのか? 日々の選択は現在、未来の嗜好にどのような影響を与えていくのだろうか。ひょっとしたら、好き嫌いは完全にただの思いこみだったりするのかもしれない。書『好き嫌い―行動科学最大の謎―』はそうした好き嫌いに関連した行動科学についての一冊である。 た

    あなたはなぜ特定の色を好むのか?──『好き嫌い―行動科学最大の謎―』 - HONZ
    medihen
    medihen 2018/07/03
    ”星評価、レビューと実際の好みの関係性を追った第1章「誤りは私たちの星評価にあるのではなく、私たち自身にある」"
  • 『史上最大の決断』 - HONZ

    今から遡ること、70年前の1944年6月6日。北フランスのノルマン地方の海岸で史上最大の作戦が行われた。「ノルマンディー上陸作戦」だ。この上陸作戦は連合軍の格的な反攻作戦の一環で、上陸後ノルマン地方の都市、カーンを軸にし連合軍が大きく右回りをしながらドイツ軍の主力を撃滅するという「オーバーロード作戦」の初戦として行われた上陸戦だ。 アメリカ、イギリス、カナダ軍を中心に300万に及ぶ将兵が従軍。1944年6月6日に敢行された上陸作戦だけでも、機甲、空挺合わせ39個師団が参加し、13万3000名の将兵、1万4000台の各種車両、1万4500トンの補給資材が戦艦6隻、戦闘艦艇1070隻に護衛された、6000隻もの艦船舟艇によってノルマンディーに運び上げられた。さらに彼らの護衛のために2万機に及ぶ戦闘機、爆撃機、輸送機が飛んだという。まさに史上最大の作戦というに相応しい大規模の作戦である。 LC

    『史上最大の決断』 - HONZ
    medihen
    medihen 2018/05/15
    『アメリカ海兵隊』は軍事ものとしてもビジネスものとしても大変おもしろかったし、これも読んでみよう。
  • 『合成生物学の衝撃』テクノロジーが欲望を生み出し、欲望が科学を生み出す - HONZ

    「話し上手は聞き上手」などとよく言われるが、物事の質の多くは、その行為の内部ではなく外側に潜んでいる。生物学の分野に今、急速に訪れている変革も、それと近いものがあるだろう。 生物の研究者ならずとも、「人間とは何か」ということを深く理解したいと願うのが人間の常だ。だがここで重要になってくるのは、理解するとは何かということの定義である。 かつてリチャード・ファインマンはこう言った。 自分で作れないものを、私は理解していない。 この実に工学的な思考が、2000年以降の生物学を席巻しており、それが新しい分野として結実し始めているのだ。書は今、最も勢いのある科学分野と言われる「合成生物学」の最前線を、毎日新聞科学環境部記者・須田桃子氏の取材により様々な角度から描き出した一冊である。 合成生物学の大きな流れの一翼を担ってきたのは、トム・ナイトやドリュー・エンディといったMITの工学者たちである。生

    『合成生物学の衝撃』テクノロジーが欲望を生み出し、欲望が科学を生み出す - HONZ
    medihen
    medihen 2018/05/09
    "生物学を「工学化」するーーそのようなコンセプトで彼らが夢見たのは、伝統的な生物学を掘り下げることではなく、トランジスタやシリコンチップに代えてDNA配列と細菌を用い、「生物マシン」を作るということ"
  • 『県都物語』新刊超速レビュー - HONZ

    これまで、多くの場合、日の都市は無個性だと揶揄されてきた。大都市の駅前はどこも無性格で、金太郎飴のようにどこを見ても同じ、これといって特徴のない駅前ビルや似たような看板が続く……。 駅前、繁華街などのエリア単位、あるいは個別の建物やお店といった単位の個性ならば目につきやすい。一方でもっと大きなレベル、都市のデザインの個性となると、なんとなく歩くだけでは見えてこないもの。仕事で月に1、2回国内出張に出かけるが、オフィスの密集する中核都市のようなところほどかえって特徴が掴みづらく、一見すると新鮮さに欠ける感じがする。 しかし、建物単体だけではなく、まちのでき方から地形、都市の骨格となる幹線道路の構成などをじっくり見ていくと、それぞれの都市はかなり個性的で、類型化することすら難しいほどであると感じるようになってきた。 書は都市計画の第一人者が、47の県庁所在地(東京都については東京駅周辺)の

    『県都物語』新刊超速レビュー - HONZ
    medihen
    medihen 2018/03/23
    "本書は都市計画の第一人者が、47の県庁所在地の成り立ちを、実際に訪れた経験と豊富な資料をベースにたどり、各県都の個性を浮かび上がらせていく1冊"
  • 『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』スタンダードの求心力と辺境の遠心力 - HONZ

    読書会のやり方は人によって様々だと思うが、面白く実施するためにはいくつかの条件がある。たしかに同じような読書量のメンバーが集まり、をネタに好き勝手言い合うだけでも、それなりの楽しさはあるだろう。 しかしそれを継続的に習慣化していくためには、少なからず妄想のような会話にリアリティが伴ってくる必要がある。HONZの例で言えば、サイエンスの話に触れながら、ふと感じた疑問に答え合わせのできる状況が整えばグッと面白くなるのだ。だからHONZの朝会にわざわざ大阪からやってくる大学教授の存在には、得難いものがある。 また信じられないようなノンフィクションを前にそれに近しい体験をしたことのある人の話が加わった時にも、盛り上がりを見せることが多い。自分では想像するしかなかったことが、誰かの体験と地続きになることで、一気に自分ごと化するような感覚が味わえるのだ。 そういった意味で書に収められている読書

    『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』スタンダードの求心力と辺境の遠心力 - HONZ
    medihen
    medihen 2018/03/22
    "世界の辺境を主戦場とするノンフィクション作家・高野 秀行、そして日本中世史を専門とする大学教授の清水 克行。この2人が互いに8冊の本を指名し、足掛け2年間をかけて語り合った"
  • 『すごい廃炉 福島第1原発・工事秘録<2011~17年>』一般メディアが語らない前代未聞の巨大な"現場" - HONZ

    新国立競技場の建設が佳境に入った。2月からは屋根工事もはじまり、20基もの大型クレーンが同時に動き回る様子は壮観だ。敷地面積11万3000平米、総工費1500億円を超える巨大現場である。完成すると6万8000人の観客を飲み込むという。 いっぽう、福島県双葉町・大熊町ではそれをはるかに凌ぐ規模の工事が進んでいる。敷地面積は30倍の350万平米、総工費は50倍の8兆円。完了まで30〜40年かかると見積もられている福島第1原発廃炉工事だ。 新国立競技場を47都道府県それぞれに建設するような規模なのだが、その全貌が一般のメディアで語られることはない。あまりに専門的すぎるからだ。 書は土木専門誌「日経コンストラクション」に不定期掲載されている巨大現場のレポートのまとめである。それゆえに、文は土木関係者向きのお硬い内容になっている。 そもそも前代未聞の現場である。放射能に汚染されたガレキの撤去や無

    『すごい廃炉 福島第1原発・工事秘録<2011~17年>』一般メディアが語らない前代未聞の巨大な"現場" - HONZ
    medihen
    medihen 2018/03/16
    "本文は土木関係者向きのお硬い内容"なのに、写真が篠山紀信だと。
  • 哲学と科学の間。文系がハマる脳科学本 『脳の意識 機械の意識』 - HONZ

    物質と電気的・化学的反応の集合体にすぎない脳から、なぜ意識は生まれるのか。書は、この謎に気鋭の脳神経科学者が迫った一冊だ。現代科学の最前線の知見を手がかりに、「人工知能」ならぬ「人工意識」の可能性に切り込む。「幼少期が終わり、大きな転換点を迎えている」この分野の現状をまとめ、これからを見通した非常にエキサイティングなだ。 私は近ごろ、女性を見て、オンナを意識することが少なくなった。への愛が深いからなのか、歳をとったからなのか、はたまた悪い病気でも潜んでいるのだろうか。でも書を読んで、「女性を見る」ことができるだけでも、スゴイことなんじゃないかと思うようになった。このの「意識」とは、物質にすぎない脳が「何かを見る」という感覚意識体験のことである。 「見える」「聴こえる」などの感覚意識体験、いわゆる「クオリア」。我々一般人には当たり前過ぎて、それが「意識」だという認識すらないかもしれ

    哲学と科学の間。文系がハマる脳科学本 『脳の意識 機械の意識』 - HONZ
  • 『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』 AI研究が明らかにした人間の弱点 - HONZ

    書店で、テレビで、ツイッターで、AIの二文字が踊っている。創造性あふれる小説の執筆や複雑なビジネスオペレーションの効率化など、これまで人間にしかできないと思われていた知的活動を、最新のAIが軽々と成し遂げたことを伝えるニュースは引きも切らない。 特に、将棋や囲碁のトッププロをAIが打ち破ったニュースは驚きとともに世界に伝えられた。ウサイン・ボルトより早く走る車やそろばん名人を凌駕する計算能力を示すコンピュータは当たり前のものとなったけれど、将棋や囲碁のように複雑でクリエイティビティが要求されるゲームは、大きな脳を持つホモ・サピエンスの専売特許のはずだった。そんな得意分野における人類最高峰がAIに敗れてしまったのだ。 AIブームは過熱するばかり。今後もAIは成長を続けることで人間の知能を追い越すというシンギュラリティ理論や、AIが人間に牙をむくことになるというAI脅威論も広まっている。果たし

    『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』 AI研究が明らかにした人間の弱点 - HONZ
    medihen
    medihen 2018/02/23
    "数理論理学を専門とする著者は、AIが持つ原理的な限界も丁寧に解説しながら、わたしたちがAIの何を恐れるべきかを的確に示してくれる"
  • 『物流は世界史をどう変えたのか』物流が国家や歴史を変えた? - HONZ

    2017年3月、英エコノミスト誌は「脅威のアマゾン帝国」という特集を組んだ。その冒頭で、今後10年以内に売上高は50兆円に達するだろうと予測している。事実、17年の売上高は19兆円を超え、米国のEコマース市場の50%に迫る勢いだ。 アマゾンはこの巨大な売り上げを支えるための物流システム構築に余念がない。16年、海運ではNVOCC(船舶を持たない貨物運送事業者)の事業を開始。空運では40機の専用貨物機を順次離陸させると発表している。 日の小売業の平均物流コストは売上高の5%弱だが、16年度だけでもアマゾンは売上高の13%もの資金を物流につぎ込む。アマゾンは物流で世界を支配しようとしているように見える。 『物流は世界史をどう変えたのか』は紀元前12世紀に地中海で活躍したフェニキア人、17世紀に世界初のヘゲモニー国家になったオランダ、19世紀の大英帝国誕生、20世紀に衰退したソ連などの国家の盛

    『物流は世界史をどう変えたのか』物流が国家や歴史を変えた? - HONZ
    medihen
    medihen 2018/02/23
    "紀元前12世紀に地中海で活躍したフェニキア人、17世紀に世界初のヘゲモニー国家になったオランダ、19世紀の大英帝国誕生、20世紀に衰退したソ連などの国家の盛衰について、物流の側面から概観した好著"
  • 『レッド・プラトーン 14時間の死闘』ある小隊の対タリバン攻防戦 濃密な描写による記録文学 - HONZ

    読後感はひとこと「凄絶にして重厚な戦争映画を飽きることなく最後まで観てしまった」である。 400ページを超える大部であり、行間も狭くて、文字がぎっしりと詰まっているレイアウトだ。読み通すまでには数日かかるであろう。 しかも書はアフガニスタンの一拠点における14時間の攻防戦を記述しているだけの、いわば記録文学だ。にもかかわらず、大切な仕事を後回しにしてまでも読みふけってしまうほどの力をもつ稀有な作品である。 2009年10月3日、アフガニスタンの山岳地帯にあるアメリカ軍前哨基地が奇襲された。守備側はアメリカ陸軍の50名。攻撃側は300名を超えるタリバン部隊だ。 撤退が想定されていたこの基地の装備は貧弱で、友軍のアフガニスタン軍が敵前逃亡するなかでの奇襲である。タリバン部隊は事前に基地を綿密に偵察しており、作戦はよく練られたものだった。 敵陣地攻撃にあたっては戦闘力3倍の法則が知られている。

    『レッド・プラトーン 14時間の死闘』ある小隊の対タリバン攻防戦 濃密な描写による記録文学 - HONZ
    medihen
    medihen 2017/11/10
    "読者はまるで自分がその基地にいるような気分になり、本文と冒頭に提示されている地図をなんども見比べながら読み進めることになるだろう"
  • 熱くて面白い。不思議な科学本『サルバルサン戦記』 - HONZ

    著者の岩田先生は、不思議なを書く人だ。自身の専門である感染症を核にして、抗生物質、ワクチン、さらにはパニックに対するリスクコミュニケーションなどを明快に論じると同時に、自らの知見、思い、そして生き方の根的な思想までもを、人に伝えようとする。つまりは「啓蒙的な」を書く人と言えるのだが、その思いが非常に強く、とにかく伝えたいことがいっぱいあるので、「啓蒙的」という枠を壊すようなパワーを持ったを次々と上梓しているのだ。 例えば、漫画家・石川雅之と組んだ『絵でわかる感染症 with もやしもん』などは、完全に専門的な内容なのに、イラストと文章で誰でも面白く、かつわかりやすく読めてしまうという不思議なだった。医学や看護学を学ぶ学生がコアな読者対象となろうが、版元は医学専門書の出版社から出されたわけではなく、講談社だ。あらゆる人に、徹底的に感染症を理解してもらいたいという、著者の熱い思いが感

    熱くて面白い。不思議な科学本『サルバルサン戦記』 - HONZ
    medihen
    medihen 2015/03/24
    “本書は、サルバルサンの開発者・秦佐八郎の奮闘を描いた「科学ノベル」だという。新書という形態でありながら「小説」ということにまず「?」と思う”
  • 『本は死なない』キンドル開発者、読書についてかく語りけり! - HONZ

    アマゾンが電子書籍読み放題サービスに参入するというニュースがある。これは月額9.99ドルの契約を交わすと、約60万タイトルの電子書籍が読み放題になるというサービスだ。日ではいまひとつ普及していない印象が拭えない電子書籍だが、アメリカでは事情が異なるようだ。書の記載によると、アメリカの出版業界の市場調査を専門とした機関の報告で、2012年までに成人の24・5パーセントが日常的に電子書籍を読んでいるという調査結果が出ているそうだ。 社会学者エヴェレット・ロジャーズの著書『イノベーションの普及学』によると、革新的な技術が消費者に普及するまでには5つの段階をふむという。消費者全体の2・5パーセントを「革新者」と呼び、最も早い段階で新しい技術に反応し購入する層。次が「初期導入者」で13・5パーセント。これに次ぐのが34パーセントを占める層で「初期多数派」といい、ここまで消費者のほぼ50パーセント

    『本は死なない』キンドル開発者、読書についてかく語りけり! - HONZ
    medihen
    medihen 2014/07/18
    “この革命の重要なプレーヤーが、子供のころから本が大好きで紙の本をこよなく愛する男だと知った今、根が保守的な私の心の中にあった電子書籍という大きな変化に対する不安は見事なまでに払拭された”
  • 東北が日本を支える。『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている』 - HONZ

    今ここに、数冊の文庫がある。角川グループパブリッシング発行、どれも2011年3月以降に印刷されたものだ。私の目には、他の文庫とそれほど違いはないように見える。軽く、柔らかい文庫。しかし、印刷された物語とはまた別の、ある物語を秘めた。今ここにあるこのは、もしかしたら未曾有の大震災を奇跡のように生き残った紙で作られたものかもしれないのだ。 2011年3月11日、14時46分。東北地方を襲った地震と津波。いわゆる東日大震災は、宮城県石巻市に大きな被害をもたらした。石巻市の当時の人口は16万2822人、総務省統計局によれば津波による浸水範囲内人口は11万2276人、石巻市の発表した震災による死者は3270人、行方不明者は436人。数字で見るだけでも、恐ろしいことが起こったとわかる。そしてこの震災は、石巻市にあった日製紙の基幹工場である石巻工場にも、壊滅的な被害をもたらしていた。 敷地

    東北が日本を支える。『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている』 - HONZ
    medihen
    medihen 2014/06/27
    “出版業界が8号を待っている”
  • 『「科学者の楽園」をつくった男 大河内正敏と理化学研究所』 殿様がつくった夢舞台 - HONZ

    いつまでもヨーロッパの模倣をするということは、甚だ面白からぬことであろうと思いますし、またいかにして日固有の……少なくとも東洋固有の材料もしくは事業を研究し、発明して起こさなかったならば、邦の産物を世界に広く売り広めて世界の富を邦に吸収することは覚束ないと思われるのであります。それゆえに何か新たに有益なる発明研究をしなければならぬと思います。 1913年、100人を超える政治家や財界人たちを前に「国民科学研究所設立について」と題された大演説を行ったのは、酵素研究やアドレナリンの発見などで知られる化学者、高峰譲吉。イギリス、アメリカに留学し、日と欧米との研究能力の差をよく知っていた高峰は、「国民科学研究所設立」の必要性を切実に感じていた。しかし、高峰がこの演説で要求した2,000万円という金額はあまりに大きく、“日主義の父”渋沢栄一の呼びかにもかかわらず、財界人からの反応は芳し

    『「科学者の楽園」をつくった男 大河内正敏と理化学研究所』 殿様がつくった夢舞台 - HONZ
    medihen
    medihen 2014/06/12
    “この研究室には研究員が三十人ほどいる。各人が三十年に一回の割合で基礎であれ応用であれ社会に認められる仕事をしてくれれば、研究室は安泰である”
  • 『宇宙探査機』 新刊超速レビュー 大型本フェア第3弾! - HONZ

    まずはカナダ国民に感謝しなければならない。書は大型フルカラー390ページ(索引含め)のいわゆる豪華なのだが定価は4000円。同種の大型に比べれば圧倒的に安いのだ。それもそのはず、書の制作にあたってはカナダ政府から助成金が出ているというのだ。何のためにカナダ政府が助成したのさっぱりわからないし、どの程度の金額だったかもわからないが、ありがたいことである。 これまでロケットのは宇宙飛行士のなどは大量に出版されているが、宇宙探査機のは「はやぶさ」関連を除いてほとんど見たことがない。考えてみるとロケットは探査機を宇宙にぶっ飛ばすために使われる輸送機であり、来は探査機のほうが主役なのかもしれない。 「しんかい6500」や「ダイオウイカ」で注目を浴びているJAMSTEC(海洋研究開発機構)がどちらかというと、技術開発よりも自前の科学研究に重点をおいているように見えるのに対し、JAXA

    『宇宙探査機』 新刊超速レビュー 大型本フェア第3弾! - HONZ
    medihen
    medihen 2013/09/10
    “ソ連のデザインはあきらかにスチームパンクの世界に属しているのだ”