米国防総省は8月、中国の軍事力に関する年次報告書で、中国人民解放軍が核・宇宙兵器に加え、「サイバー戦争における攻撃能力を着実に向上させている」と警告した。 報告書は、中国軍によるサイバー戦の主目的は〈1〉敵情報の盗み出し〈2〉敵の兵站(へいたん)・通信ネットワークなどを攻撃して敵の行動を妨害〈3〉戦闘時にサイバー戦を展開し、攻撃の相乗効果を高める――の3点にあると指摘。また、米政府などのコンピューター網に対する膨大な量の侵入行為の中に「中国発とみられる」ものも含まれていたと指摘した。 ウィリアム・リン国防副長官は7月、同省関連のネットワークから開発中の兵器システムなどに関する機密情報を含む2万4000件のファイルが今年3月に盗み出されたことを明らかにした。専門家などの間では、中国政府の仕業との見方が根強いが、副長官は特定の国名に言及するのは慎重に避けた。