ITや通信関連に詳しい弁護士の高橋郁夫氏。高橋氏は「ネット中立性の問題は海外では幅広い分野にまたがって議論がされているが、日本では“通信の秘密”を前提として大部分が論じられており、ネット中立性で議論される範囲が狭い」と語る。ただ日本では当然と考えられている“通信の秘密”そのものにこそ、もう一度議論すべき点があると訴える。 海外では、日本の主な論点である利用と対価の公平性にとどまらず、どこまでパケットの中身を見てよいのか、有害トラフィックに関する考え方、著作権侵害に関する考え方、インターネットプロバイダーのボトルネック的役割と公平競争の考え方など、幅広いテーマで議論されている。 ただ日本では、利用と対価の公平性以外の論点は、電気通信事業法の第4条にある「通信の秘密」によって既に論じられているテーマでもある。 「通信の秘密」とは、(1)積極的知得の禁止、(2)窃用の禁止、から成り立つ。その解釈