中川前財務・金融相が閣外に去り、麻生首相が憔悴(しょうすい)している。政権運営上の痛手にとどまらず、信頼しきった「盟友」を失った精神的なダメージが大きいようだ。 「厳しい決断を自分でされた。意思を尊重したい」。中川氏の辞任表明直後、記者団とのやりとりで、首相に覇気はなく、目は潤んでいた。 首相は、自民党政調会長や経済産業相を歴任した中川氏の政策面の力量を信頼していた。ただ、首相にとっては、「お友達」としての存在の方が大きかった。福岡の財閥の長男として生まれた首相は「金目当てに近寄ってくる人間も多い。他人を簡単に信頼するな」と育てられたという。同じ世襲議員で政治思想も似ていた中川氏は数少ない心を許せる友人だった。 かつて中川氏は、麻生氏の会合で「こんな下品な会合は初めてだ」とあいさつしたことがある。痛烈なユーモアを好む首相の性格を知り尽くした発言に、周辺は「麻生のことをよくわかっている