「複」の意味は意外と忘れられている 企業で働いていると、損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)とキャッシュフロー計算書(CF)の関係などは大雑把に理解できるようになるものだが、「現代の企業会計は複式簿記なんですよ」と言われた時に、なんでそんなネーミングになっているかを説明しろと言われると、意外とできない人が多いのではないだろうか。「仕訳」について日々考えざるを得ない経理部の人たちは分かっているとは思うのだが、それ以外の部署で売上を入力したり出費を入力したりしている人たちは、仕訳を意識することも少ない。 貸借対照表の右と左が対応していることを「複式」と呼んでいるわけではないし、貸借対照表と損益計算書がつながっていることを「複式」と呼んでいるわけでもない。後述するように、取引を「借方」「貸方」に分けて記録するのが複式簿記ではあるが、これは貸借対照表の左右を「借方」「貸方」と呼んでいるのとは(無