2018年5月21日、登山家・栗城史多は35歳の若さでこの世を去った。8回目エベレスト挑戦中での事故だった。死因は下山中におきた滑落時の衝撃による鈍的外傷と診断されている。 私は、2015年に栗城本人から映画を依頼され、2019年に栗城事務所・小林幸子マネージャーと父・敏雄さんと話し合って同意を得て、栗城の映画製作をしている。現在、彼が撮りためた膨大な映像素材の確認と整理も終わり、関係者インタビューもある程度集まった。 死後も議論は続いている 生前、栗城を「3.5流の登山家」とテレビ番組で言い放った登山家・服部文祥は、今年行った映画のインタビュー終了後に、こう呟いた。今も彼のために動く人がいるのかと。 栗城は、賛否両論ある登山家であった。死後も彼に関する動画や本が出されている。ほとんどは批判的な論調だ。5周忌を迎えた今、追悼の意味を込め、映画の取材で得た情報やインタビューを元に、新しく生ま