「アラスカは、地球温暖化における『炭鉱のカナリア』です」。 写真家の松本紀生さん(49)の言葉です。松本さんはアラスカの大自然に魅了され、25年以上にわたって通い続けてきました。神秘的なオーロラや動物たちの迫力ある姿にレンズを向ける中で、気候変動の生々しい爪痕も目の当たりにするようになりました。 ところが、これまでその現実を誰かに伝えることができなかったといいます。いったいどういうことなのか、愛媛県松山市に暮らす松本さんを訪ねました。 (おはよう日本ディレクター 梅田慎一) 松本さんは毎年1~3月と6~9月の2回、アラスカで過ごします。季節ごとに様変わりするアラスカの表情を狙うためです。 松本さんの撮影スタイルは極限の環境の中、たった一人で撮影を行うこと。特に冬には北米大陸最高峰のデナリ(6190メートル)とオーロラの共演を撮ろうと、飛行機で氷河に降り立ち、-50℃になることもある氷の上で