思いもかけない知らせが、北海道小樽市に住む石川憲さんに届いたのは、平成16年の夏の盛り。駒大苫小牧高校が北海道勢として、初の甲子園制覇を成し遂げた日だった。東京で小学校教師をしていた姉の千佳子さんの遺体が足立区内で見つかったという。 ▼その26年前、当時29歳の千佳子さんは、小学校の警備員だった男に殺害され、男の自宅床下に埋められた。事件が発覚したのは、この家が区画整理で立ち退きを迫られ、男が自首したからだ。15年の公訴時効の成立で、男は起訴を免れた。 ▼家族はそれまで、千佳子さんの行方を必死に捜してきた。北朝鮮による拉致も疑った。男にせめてもの償いをさせようと、損害賠償を求める訴訟を起こす。それでも、男から謝罪の言葉はない。昨年4月に最高裁が賠償を認めるまで、「金目当てでは」との陰口もたたかれた。 ▼時効が、犯罪被害者とその遺族にとっていかに残酷な制度であるか、世間に強く印象づけた。「警
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