踏切のようで踏切でない。遮断機も警報器もなければ、踏み板すらなく、住民らが線路の敷石に足を取られながらも恐る恐る横断する。これは「勝手踏切」と呼ばれる“非正規の踏切”だ。文字通り住民が勝手につくった踏切もあるが、京都府宇治市にあるJR奈良線の「勝手踏切」は少し“勝手”が違う。「鉄道ができる前からあった生活道路」(地元住民)だからだ。JR西日本は踏切を閉鎖したい意向だが、住民は「生活道路を閉鎖されては困る」と存続を要望。警報器や遮断機の設置を望んでいるが、「勝手踏切」は放置されたまま。正規の踏切に昇格させることも難しいのが現状という。「勝手踏切」はなぜ放置されてきたのか。(大竹直樹) “赤信号”なら横断 《渡る前 よく確かめよう みぎ・ひだり》 《危険!! 自転車・手押し車での横断は禁止です》 細い路地の先に立ちはだかるフェンスに、こんな文言が書かれた看板がいくつも並ぶ。京都府宇治市五ケ庄の