アジア経済は、生産年齢人口が従属人口比で高まる「人口ボーナス」を追い風に高成長を続けている。ところが、少子高齢化の波はアジアにも押し寄せている。 アジア諸国が日本のように人口減少に転じるのは、早い国でも25~30年先のことであるが、中国やシンガポール、タイでは全人口に占める生産年齢人口の割合が2010年頃をピークに低下に向かう見込みであり、「人口ボーナス」は終焉に近づいている。 アジア経済は世界経済のエンジンとして今後も持続的な拡大が見込まれるものの、人口動態からみると転機に差し掛かりつつあるといえる。 人口ボーナスが成長の追い風に アジア経済は持続的な成長により世界経済における存在感が高まっている。国際通貨基金(IMF)によると、世界経済に占めるアジアのシェアは90年の7.3%から2008年には14.8%と18年間で倍増した。 アジア経済が拡大してきた一因として、生産年齢人口の増加率が高
日米関係は想像以上に深刻な危機にある。今後、米国はどういう外交・軍事オプションを用意しているのか。私(加藤昭)は、米国防総省(ペンタゴン)が日米安保崩壊を視野に入れた独自リポートを作成したという情報に入手した。対日政策を担当するM・シファー国防次官補代理の側近A氏に聞いた。 −−ペンタゴン・リポートの内容は? 「対日政策チームがアジア・太平洋地域の安全保障に関する報告書をまとめたのは事実だ。第1の提言は『日米同盟の見直し論』。軍事同盟の相手として日本はふさわしいのかという疑問だ。過去10年間、日米間では『新防衛ガイドライン』が策定され、台湾有事を想定した共通の戦略目標が保持されてきた」 −−それが変化した? 「米国が強く要請したにもかかわらず、鳩山由紀夫政権はインド洋での給油活動を中止し、米軍普天間飛行場の移設問題では優柔不断な態度を取り続けている。歴代の米国政府は、日本にNATO
<検証> オキナワになぜ米海兵隊が必要なのか--。米軍高官が「抑止力」以上の「主たる理由」を日本側へ新たに伝えてきていることが関係者らの証言で明らかになった。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題の迷走は結果として米軍の「本音」を引き出し、鳩山政権の掲げる「対等な日米関係」を築く一歩になるのだろうか。(3面に「転換期の安保2010」) ◇「崩壊時の除去、最重要任務」日本側に伝達 東京・赤坂の米国大使館。2月17日午前、日米の防衛当局幹部による会合がひそかに開かれた。呼びかけたのは来日中の米太平洋海兵隊(司令部ハワイ)のキース・スタルダー司令官。アジア太平洋に展開する海兵隊の最高指揮官である。 日本側から西原正・前防衛大学校長ほか研究者数人。防衛省陸上幕僚監部の番匠幸一郎・防衛部長と統合幕僚監部の磯部晃一・防衛計画部長も同席した。 日本滞在中の司令官は多忙を極めた。合間を縫うように招集
映画「父親たちの星条旗」の原作者で、このほど第二次大戦での日米開戦の原点を探った新著「インペリアル・クルーズ」を出版したノンフィクション作家、ジェームス・ブラッドリー氏(56)が産経新聞の取材に応じ、日露戦争当時のセオドア・ルーズベルト大統領の「人種理論」を反映したアジア外交が、その後の開戦の火種を作ったとの見方を明らかにした。 同書は、19世紀以降の米国の帝国主義的アジア・太平洋政策を追う中で、日露戦争末期の1905年、ルーズベルトによってアジアに派遣されたタフト特使と桂太郎首相との間に交わされた覚書「桂−タフト協定」を、後の日米対立の原点にすえた。 協定は、韓国における日本の優越的立場と、米国のフィリピン統治を相互に認めるという内容だった。だが、ブラッドリー氏は、ルーズベルトは当時の米支配階級の間に珍しくなかった白人至上主義的な「人種理論」の持ち主だったと断じた上で、「日本をアングロサ
2009年の日本の工作機械生産額は、前年比56.5%減の58億8890万ドル(約5300億円)と大幅に落ち込み、1982年以来続いていた生産額世界一から3位に転落した。首位は成長が著しい中国、ドイツは2位を維持した。 米調査会社ガードナーの調べをもとに日本工作機械工業会がまとめた。 中国は、主要国の生産額が世界同時不況で落ち込むなか、同8.9%増の109億5千万ドルで、前年の3位から一気に首位になった。ドイツは同35.2%減の78億2160万ドルだった。日本は82年に米国を抜いて首位となり、世界のものづくりを支えてきた。 工作機械は、金属部品などを削って加工する機械で、その生産状況は設備投資の先行指標とも言える。中国は政府の景気対策効果も後押しし、不況からいち早く立ち直った。一方の日本は内需の回復が遅れ、円高で輸出も厳しいままだ。最近は生産が回復しているが、「中国の需要など輸出主導の
調査研究本部研究員 笹沢教一 1月から米カリフォルニア大学バークレー校の大学院で「日本報道論」を教えている。半年間の講座のテーマには、私が長く科学記者をしてきたことから、最先端から伝統工芸まで幅広く扱う「ものづくり」、そして、基地移転問題で揺れる「沖縄」を選んだ。 講義の初日、ありきたりではないがそれらしい日本の風景を紹介しようと、スライドの冒頭にお台場のガンダムを登場させた。が、学生たちは実物大のアニメロボット像だということはわかってくれたようだが、残念ながら何のロボットかがわからない。 「トランスフォーマー?」「じゃあボルトロン!」。後者は、80年代に日本で放映された「百獣王ゴライオン」などをシリーズ化した米国の番組で、こちらではガンダム以上に根強い人気がある。トランスフォーマーも日本の玩具がルーツだし、あたらずといえども遠からず。まあよしとしよう。とにかく、日本のアニメロボットが長年
【ソウル=牧野愛博】米政府が韓国政府に対し、弾道ミサイル防衛(BMD)体制への参加につながる地域BMD協議を打診していたことがわかった。慎重な韓国側に米国側は働きかけを続ける構え。米韓同盟を重視する李明博(イ・ミョンバク)政権が、共同技術研究などの試験的な参加に踏み出す可能性を指摘する声も、韓国内では出ている。将来、日米韓がBMDを共同運用することになれば、日韓両国が新たな防衛関係の構築を迫られる。 韓国政府筋によると、米政府が地域BMD協議を打診したのは、昨年12月にワシントンで開かれた米韓双方の外務・防衛局長級協議。今年秋に両国防相が参加する米韓定例安保協議(SCM)で扱う議題の一つとして応じられるかどうかを打診した。長距離弾道ミサイルの迎撃ではなく、北朝鮮が保有する短・中距離ミサイルからの防衛を想定しているという。 従来、金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)両元政権は
政権交代から半年がたった。 残念なことであるが、今、日本を失望感が覆っている。 失望とは、事前の期待値と事後の実現値との差が大きければ大きいほど、起きるものだ。 昨年の総選挙前に国民の民主党政権への期待は、非常に大きかった。大き過ぎたのかもしれない。自民党への失望がそのまま民主党への期待に移り、「政権交代すれば自民党よりは少なくとも何かましな政治をしてくれるのでは」「自民党にお灸をすえる」という思いが加わって、バブルを呼び込んだのだった。 ああ、われわれ国民は、この政党を選んでしまったのだ。やりきれない思い、失望と怒りと、またか、の思いが交錯する。 この失望感を、「何だったんですか?政権交代って」と言い表したい。 ネガティブ情報ばかりの政権 われわれは、いまだに政権交代の利益を一切実感できていない。それどころか、ネガティブな情報ばかりを耳にする。 日教組など組織ぐるみの選挙違反行為を裏づけ
平和ボケよろしく、日本の景色や思い込みを基にアジアの他国も同じだろう(中国は例外にせよ)と推測することは、大いに認識を誤る結果をもたらす。 いま1つ、軍縮論議を長年仕切ってきた大西洋両岸の戦略家たちに、この際議論を委ねていては危ういということをも意味する。ロンドン、パリ、ブラッセル、フランクフルト、それからワシントンの人たちに任せて能事足れりとするわけにはいかない。 欧州正面でだけなら、この10年に起きたことは西側勢力の東漸(とうぜん)であり、北大西洋条約機構(NATO)の外延的拡大であって、その結果軍事的緊張は確かに激減した。 だがこの事実を他に類推されたのでは、アジアの力学は全く見えなくなる。この点は後でまた触れることにする。 別表は、アジアの主だった国々で、国防予算が過去10年のうち何倍になったかを示す。 現地通貨で見るのが肝心
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