「冒険者のための組合なァ……。無理じゃねェか? ただでさえ何も決まんねぇんだぜ?」 冒険者ギルド設立に向け暗躍を始めた俺である。 場所を長屋前に移し、ヘグン相手の企画プレゼンだ。 「いいかヘグン、逆なんだ。大勢で話し合っても時間の無駄だ。お前の顔を見ればわかる。相当揉めただろう?」 心の弱みにも積極的につけ込んでいこう。俺は悪のニンジャである。 「まァな、どいつもこいつも好き勝手言いやがる。一度決まったことも後になって蒸し返しやがってよォ……」 まずはこの男を落とさねばならない。 俺もベンチャー業界に身を置いていた人間である。いかがわしい詐欺師まがいの人間も多い界隈だ。悪の成金たちの手口にも多少は通じている。 ヘグンは連日の会議で精神をやられ判断力が鈍っている。良からぬことを吹き込むにはベストのタイミングだろう。 「人数の問題なんだ。どんな人間だろうが、十人も集まれば半分はルーみたいになる