脱亜の先駆 ユーラシアの英雄像に「アジア」の趣はない(カザフスタンの首都アスタナ) Shamil Zhumatov-REUTERS 明治以降、日本で「アジア」というと、だいたい中国や朝鮮半島、東南アジアを指す。地理的に遠い東南アジアは別として、短刀のように日本列島腹部に突き付けられた感じの朝鮮半島、強烈な圧迫感を覚えさせる中国大陸と日本は対立するか、敬して遠ざかる時期が長かった。日本にとって「アジア」とは終始、地政学的に扱いにくい対象で、「脱亜入欧」は理想的な政治像として理解されてきた。 モンゴル高原や中央ユーラシア諸国のアジア観も、日本と共通している。モンゴルの首都ウランバートルやカザフスタンの首都アスタナで「アジアうんぬん」と語ると、「それってどこのこと?」と嫌みを言われることもしばしばだ。モンゴル人やカザフ人など、ユーラシアの遊牧民は歴史的に自らをアジアの一員として位置付けはしない。