嶋田毅(グロービス経営大学院 教授) 【第10回】 2008年09月30日 『相手の術中にハマる』 ~極端な条件出したもん勝ち?~ ――「ビジネスの落とし穴」その(10) 今回も、前回に引き続き、交渉に関連する落とし穴について紹介していく。テーマは、交渉の現場でも多用されている「アンカリング」だ。アンカリングという言葉は聞き慣れない人もいるかもしれない。しかし、次に挙げる事例を見てもらえば、ビジネスシーンでよくあるケースだと理解してもらえるはずだ。 【失敗例】ITコンサル会社 荒川人事部長のケース 「最初の提示に引っ張られすぎた」 荒川氏は中堅ITコンサルティング会社の千住ソリューションで人事部長を務めている。業界の特性上、どうしても従業員は多忙となってしまうのだが、その結果、体を壊して辞めてしまう人も少なくない。あるいはより良い条件を求めて転職するなど、人材の流動性も非常に高い。