日本製鉄によるUSスチールの買収劇は、日米両政府を巻き込んだ国際交渉に発展。約18カ月におよぶ対立を経て成立した。バイデン政権による買収禁止令などに屈することなく、最終的に“交渉好き”のトランプ氏から譲歩を引き出すことに成功。当初の失敗から迅速に方向転換し、米国の流儀に素早く適応した日本側の対応を海外メディアは高く評価している――。 二転三転した買収劇 2025年6月13日、日本製鉄の交渉団は歴史的勝利を手にした。ジョー・バイデン大統領が拒否し、ドナルド・トランプ大統領も一時反対していた2兆円規模の買収を、ついにトランプ氏が認めたのだ。 これを受け日本製鉄は同日、急ピッチでUSスチールとの最終調整を進行。日付が変わる頃、ついに最終的な合意に漕ぎ着けた。アメリカを相手にベテラン交渉者としての本領を発揮した日本製鉄の森高弘副社長は、米ワシントン・ポスト紙に、「深夜にオフィスを後にした時、やっと
