1月17日に緊急出版される広野博嗣『奔流 コロナ「専門家」は、なぜ消されたのか』(講談社)が発売前から話題になっている。当事者である西浦博氏自身が、自身のXで「自分で言ったこととはいえ、この国に関するエピローグの締めくくりを読んでつらい気持ちになってしまいました」と語っている。 政権と世論に翻弄されながら危機と闘ったコロナ感染症「専門家」たちの悲劇とは何だったか? 弩級ノンフィクションの一部を紹介しよう。 英国の「その後」はなぜ日本と段違いなのか 西浦博が「完全にディフィーテッド(敗北)」と悔しそうに総括したこともあった。 それは政府に参画して分析を提供する専門家の層の厚みにおいて、疫学の先進国に彼我の差を見せつけられたことだ。22年2月に世界に先駆けてコロナの規制を全廃した英国は「その後」が優れていたという。 「緩和の後、英国は1年以上にわたってオックスフォード大学やケンブリッジ大学が国