6月23日、関西電力は美浜原発3号機(福井県美浜町)を約10年ぶりに再稼働させた。3号機は運転開始から40年以上が経っている。このような老朽原発を動かすのは、東京電力福島第一原発事故後、初めてのことだ。日本の原発の歴史がまた一ページめくられた瞬間だった。 福島の事故を教訓に、原発の運転は原則40年とするルールができた。だが、事故対策を強化した新規制基準に適合すれば、1度だけ最長20年間延長できるという例外規定がある。それを基に、原子力規制委員会は2016年、美浜3号機と高浜1、2号機(福井県高浜町)の運転延長を認可していた。 あとは、関電が地元の同意を得られるか。それが今年のテーマだった。まず、高浜、美浜両町長が2月に再稼働に同意した。最後に残ったのが、杉本達治知事の判断だった。いつ、何を表明するのか、取材で探りつづけた。 知事は昨年来、関電に条件を課していた。最も高いハードルが、使用済み