――『ジョゼ虎』の劇場公開から半年以上が経ちますが、あらためて本作を振り返っていかがでしたか? タムラ そうですね。本作は全体的に丁寧に作られてはいるけれど、パッと見は演出や物語が革新的なものではない。いわゆる見たことのない強烈な視覚体験を得られるようなタイプの映画ではないと思っているんです。しかし、僕自身が一番力を注いだのはそこではありません。どちらかというと『ジョゼ虎』はバランスで勝負しようと思った作品なんです。むしろバランスこそが突き抜けるよう目指しました。たとえば、「絵」と「物語」のバランス。 ――たしかに、『ジョゼ虎』はビジュアルと物語の両方が非常に高いクオリティだったと思います。 タムラ 絵にこだわりすぎると話がないがしろになる。話にこだわると絵が固くなる。どうしてもどちらかに片寄ることが多いんですよ。それはアニメで物語を描く表現者が抱える課題のひとつだと思っています。ほかにも
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