原発事故で避難した人たちの生活が困窮している。特にやむなく自主避難に至った人たちの生活は苦しく、2017年に住宅提供を打ち切られた今、未来への不安と孤独にさいなまれ自死した母子避難者の母親まで現われた。 事故から立ち直っていく人たちがいる一方で、助けを求める人たちが声をあげられなくなっている。こうしたメディアが報じない「不都合な真実」を、若手女性ジャーナリストで『地図から消される街』の著者・青木美希氏が描く。 子どもの未来を守る、その一心で 2018年1月10日、筆者は神奈川県の公園を訪れた。風が緑地を吹き抜け、ササや下草を揺らす。サクラやタケなど多種多様な木々が茂る雑木林。ドングリや落ち葉の中で、二股に分かれ、遊歩道を覆うように空に伸びるコナラが茶色の木肌をさらす。 54歳になる一人の母親が2017年5月、この木に洗濯物用ロープをかけ、首を吊った。子どもたちと福島県から東京に避難していた
![国から見捨てられ命を絶った、とある「母子避難者」の悲劇(青木 美希) @gendai_biz](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/71a92c14e6cf5c3297ef61f00a7906e2ed6553ca/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fgendai-m.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2Fd%2Ff%2F1200m%2Fimg_df779c136a51c67fee081160e2ab1e7066349.jpg)