共働きで年収が増えたのに豊かにならない。膨らむ税と社会保険料の負担が、低所得者に重くのしかかる。それでも先が見えない老後を前に、お金をため込む。大和総研の試算から見えてくるのは、人口減対策を怠った結果迎えた、こんな平成の家計の姿だ。(大日向寛文) 「消費税8%の今が住まいの買い時!」。5月中旬、東京都北区の住宅展示場を訪ねると、税率引き上げまで1年以上あるのに駆け込み購入を誘う青いのぼり旗が風でなびいていた。 消費税がかかる建物代を都の相場の約4千万円として、来年10月に消費税率が10%に引き上げられれば、増税分はざっと80万円。 「これだけではありません」と、展示場で開かれた増税対策セミナーで講師の金子千春さんは強調した。併せて買う家具、住宅のローンの手数料や引っ越し代……いずれも消費税がかかる。メモを取りながら聞いていた30代女性は「できれば増税前に家を建てたい」と言った。 消費税が導